日曜日に「Mr.サンデー」の放送が終わって やっと解放されました(^^)
今回はホント辛かった(><) 自分自身が 今回のテーマの何がおもしろいのか まったくわからなかったからです。
なのでこのブログで 放送のお知らせもしませんでした。 すみません(^^;
テーマは スマホのアプリ「LINE」。 若者の間で爆発的人気の メールみたいな機能の コミュニケーションアプリです。
使っておられる方なら おわかりでしょうが LINEにはスタンプと呼ばれる 大きなイラストがあって
何千種類もあるスタンプが 微妙なニュアンスを表現してくれるから
自分の気持ちを伝えるのに最適な スタンプを選んで
文字を使わずに スタンプのやりとりだけで 意思疎通をする若者たちが 増えてきているんです。
それが新しいコミュニケーションの形なんだとか。
それはそれで奇妙な現象なんですが だから何なの?って話で
「これぞ新しいコミュニケーションだ!」 なんてワクワクしたり 肯定的にとらえたりする気分には なれなかったので
去年からこのテーマをやってくれと 番組から頼まれていたのですが ずっと断っていたんです。
でも「Mr.サンデー」のスタッフは ほとんどの人がLINEをやっているので
やってない私の驚きとか疑問が 新鮮なリアクションにつながるから 「LINEをやってない信友さんが番組にするのが 一番いいんだけどなぁ〜」と ネタ会議のたびに言われて
もう断れない雰囲気になったので お受けしました。
だけど 私がなぜLINEをやってないかというと 理由は簡単。
やりたいと思わないからなんですよ。
そもそも 私のポリシーとして 気持ちを伝える時は きちんと文章を考えて伝えたい。 (あるいは映像を撮って伝えたい。)
既成のスタンプなんかに 頼りたくない。
こう思っているので。
LINEのスタンプは さすがブームになるだけあって つい笑っちゃうような センスのあるふざけた絵柄のものが多いので
それを送ると 自分がおもしろい人なんだと 簡単に錯覚できちゃう。
自分が何かを生み出したわけじゃなくて 既存のスタンプを選んでるだけなのに。
これってとても危険だと思う(><)
それに 今回取材させてくれた人たちは とても魅力的な人たちで これからもおつきあいしたいな… と思う人たちばっかりだったけど
私にはみんな LINE依存症みたいに見えた。
…というか仲間依存症?
暗号みたいなスタンプのやりとりをして 盛り上がれる相手がいることで
自分にはこんなふうに「内輪受け」できる 仲間がいるんだって思えて 安心するらしいけど
そもそも仲間がいないとダメなの?
仲間がいないと 自分のアイデンティティが保てないなんて 本末転倒な気がする。
それって結局 「あの人は友達いないんだ」って 周りに思われることが 怖いだけなんじゃない?
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今回取材をして 一番心に残ったのは ある大学1年生の女の子のケースでした。
「スタンプ会話のおもしろさとは違う話だから」 という理由で 放送ではエピソード自体が まるまるカットになったんですけど(^^;
その子によると 最近の大学1年生は 入学前からLINEでつながっていて いろんなグループができていると言うんです。
入学式の頃にはもう いろんな仲良しグループができてるから 「入学式デビュー」だと 友達の輪に入るのが かなり難しいんだって。
彼女たちは高3の冬に どこの大学に行くかが決まると まずはtwitterで 「○○大学××学部△△学科に入学します」 と自己紹介をつぶやき それが他の新入生にリツイートされて
3月のうちに 同じ学科やサークルや 気の合った人同士で 個人的にケイタイ番号を交換して LINEでつながるらしい。
だから大学の入学前から LINE上で学科とかサークルとか さまざまなグループができていて
そこに入らないと 情報も回って来ないし
「あの子LINEに招待したのに断った子じゃない?」 って言われるとイメージダウンになるから
居場所がなくなるのが怖くて とにかくいろんなグループに入るらしい。
彼女はLINEを 「大学で友達とうまくやっていくための義務です」 と言い切っていた。
その子の入学式に 取材に行って驚いたけど
式場で新入生がみんな スマホ画面の写真と見比べながら 「ああ○○ちゃんね」と ハンドルネームで呼び合っていて
LINEではいじり合う仲だったのに 面と向かうと緊張して話せなかったりして
LINEの方が喋りやすかった…って 凹んでいたりしておもしろかった。
その子は自分でも 「LINEに振り回されてる」と自覚していて 本当にしょっちゅうケイタイをいじっていた。 (たぶん起きている時間のほとんど ケイタイいじってたんじゃないか???)
彼女はグループ内での動向を 常時チェックしていて
所属しているグループの中で 派生して別のグループができたり ましてやそこで飲み会なんてあると 「ああ私はハブられたんだ(「村八分」の意味)」 と思ってかなり傷つくのだとか。
夜中のうちに いろんなグループLINEでの会話が 3000交わされてて 朝起きて 慌ててそれをひたすらチェック… なんて日もあったらしい。
そんなにまでして どこかに所属してないと不安なのって 絶対おかしいでしょ?
神経をすり減らしてまで つながらなくちゃいけない関係って もうその時点で 仲間とは言えないでしょ…
そんなことも 番組に盛り込みたかったんだけど
「あくまでも 絵だけ会話のおもしろさだから」 って何度も念を押され 軌道修正され
LINEのステマ(*)みたいな番組になってしまった。
自分が疑問を抱いてるツールを 何で宣伝しなくちゃいけないの?
ああ恥ずかしい(><)
もう50代なんだし がんもいつ再発転移するかわからないんだし
自分のやりたくないことに 時間・体力・気力を使うのは 人生の無駄!
これからは 自分が心からおもしろがれるネタをやろう!
そこのワガママだけはきっちり通そう!
3日間のカンテツ(完全徹夜)が終わって寝て まともにものが考えられるようになった私の 今の決心です!
信友直子(ドキュメンタリー・ディレクター)
「TVディレクター信友直子の乳癌日記」より
http://nobutomo1214.blog8.fc2.com/blog-entry-254.html
*ステマ=ステルスマーケティング(英: stealth marketing)。ウィキペディアによると、「消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること」。
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