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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2013年08月01日13時16分掲載
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アジア
『タイの田舎で嫁になる―野生的農村生活―』(めこん社刊) 暖かくておもしろくて、がいっぱい詰まっている 廣内かおり
「農園の名前は『カオデーン農園』という。『カオ』というのは、私の名前のカオルから来ている(中略)夫のニックネームが『デーン』なので、『カオデーン』。単純にくっつけただけだが、これは『赤い(デーン)・お米(カーオ)』つまり『赤飯』という非常にめでたい意味なのだ」。国際協力NGOスタッフから、イサーンと呼ばれる東北タイの農家の嫁になった日本女性の暖かでおもしろくくて、てんやわんやでの日々。近所付き合い、子育て、嫁と姑、農業、虫を食べる話…。タイの田舎がいっぱい詰まっている。
本書はこのカオデーン農園で自然農業を営む著者、森本薫子さんの日常をつづったものだ。国際協力NGOである日本国際ボランティアセンターのインターンとして、タイの農村で国際協力の研修を受けた森本さんは、タイ駐在員を経て、自然農業の研修生だったお連れ合いと結婚され、タイのイサーン(タイ東北部)で農園を始められた。3.5ヘクタールの敷地には、果樹園、野菜の畑、田んぼ、魚を飼っている池、家畜小屋、チーク林などが広がる。
タイというと、むせ返るような暑さ、人やバイクであふれかえる活気に満ちた首都バンコクを思い浮かべてしまう。しかし、森本さんによれば、イサーンというところは「ド田舎」らしい。副題に「野生的農村生活」とあるとおり、食事のメニューにはアリも蛙も登場するし、稲刈り、脱穀は手作業だ。薬草を駆使した伝統医療を重んじ、「地域が1つの家族のように」助け合い、時計に縛られることなく「体や生活の流れにあわせた時間」で過ごす。NGO時代に「人の生活を搾取したり悪影響を与えずに、自分の生活をできる限り自分の手でつくりあげる、それも1つの国際協力の形であるかもしれない」と考えるようになったという森本さんにとって、自分の理想を無理なく実践できるイサーンでの生活。その満足感が本書の端々から伝わってくる。
嫁という立場で遭遇する思いがけない出来事に、とまどったり感嘆したりしながらも、イサーンの人々の理にかなった知恵に感謝し、それを実践する家族や村の人々に心から敬意を表する森本さん。そんな著者の姿勢に、感謝することは目に見えないものを認識することにつながるのだと気づかされる。ここ日本で享受している目に見えないたくさんの安心の種や生活の知恵を、私は当たり前なものとしてずいぶんぞんざいに扱っているかもしれない。
日本とはまるで違う習慣や食材など、一見目を引く様々な違いよりもずっと大切な、家族や地域の人々、そして自然の営みとしっかりと結ばれているという目に見えない安心。そんな根底の安心があれば、あとのことはちょっとした日常のスパイスとして楽しんでしまえるよ、ということを本書は教えてくれる。
(株式会社めこん2013年5月刊 JVCブックレット、950円+税) *JVC=特定非営利活動法人「日本国際ボランティアセンター)
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『タイの田舎で嫁になる
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