・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・教育
・文化
・アジア
・国際
・入管
・中国
・市民活動
・米国
・欧州
・みる・よむ・きく
・核・原子力
・検証・メディア
・反戦・平和
・外国人労働者
・司法
・国際
・農と食
・イスラエル/パレスチナ
・市民活動告知板
・人権/反差別/司法
・沖縄/日米安保
・難民
・医療/健康
・環境
・中東
提携・契約メディア
・AIニュース
・司法
・マニラ新聞
・TUP速報
・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus
・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2024年11月21日
・2024年11月20日
・2024年11月18日
・2024年11月17日
・2024年11月16日
・2024年11月15日
・2024年11月14日
・2024年11月13日
・2024年11月12日
・2024年11月11日
|
|
2013年10月18日19時30分掲載
無料記事
印刷用
コラム
「新聞・テレビをやめよう」というつぶやきについて
ツイッターなどのインターネット空間で<新聞・テレビをやめよう>、という言葉をしばしば目にする。大新聞やテレビは嘘を撒き散らし、産業界よりで、情報統制して国民に嘘をばらまいている、というのがその理由である。
確かに、新聞やテレビなどのマスメディアが誤解を招きかねない情報を流したり、真相を隠したりすることはあると思う。政治家におもねることもあるし、スポンサー企業の意向に傾くこともあるかもしれない。だから、<新聞・テレビをやめよう>という訴えは理解できないこともない。しかし、訴えている人々は世の中から実際に、新聞やテレビが消滅した社会の可能性を想像したことがあるのだろうか。欧米ではインテグリティ(integrity)という言葉をよく使うのだが、自分の言葉が自分の他の言葉と矛盾していたりしないか、というときに用いるようである。まずそう訴えている当人は一切、テレビにも新聞にもアクセスしていないのだろうか。
現状で考えれば新聞とテレビが消滅して残るのは井戸端会議のような会話かインターネットだろう(ここではラジオについてはひとまず置くことにしたい)。しかし、メディア情報批判も含めて、その情報源の多くは新聞やテレビであることが多い。新聞やテレビに依存しない情報はたまた仕事でどこかある場所を訪れた、とか、たまたま自分がその情報に詳しい、といったケースに限られる。あるいは気持ちの表明である。あるいはNGOや大学などの研究機関やさまざまな組織も情報を発信してはいるだろう。しかし、これらは新聞やテレビに代わりうるだろうか。あるいは週刊誌は代わりになりうるだろうか。
インターネットで新聞批判をしている人や情報提供している人の中には、これまた相当数のメディアのOBの方々が存在している。インターネットの情報空間の中にも新聞やテレビの情報が多数入っている。新聞やテレビが消えればこうしたOBもいずれ消滅する日が来る。マスメディア批判の元になる情報自体がなくなる。その先に、どんな言論や情報がインターネットで可能になるだろうか。
テレビや新聞は、こんなことを書くまでもなく、実際に販売部数は低下している。総じてテレビの視聴者数も増えていない。週刊誌も厳しい最中にある。すでにメディアは危機に陥っている。財政難になれば真っ先に切られるのは調査報道部門である。記者を現地に送り出す経費が切り詰められる。番組はできるだけスタジオトークで済ませよう、ということになる。現地の情報は無料でどこかの組織に提供してもらおう、ということも増えるだろう。しかし、その場合に、その情報に誰が責任を持つのだろうか。何か、これに代わる持続可能な情報網があるのだろうか。
誰かが現地で報じる必要がある。もしそうだとすれば新聞やテレビがなくなった場合、どのような代替手段があるのだろうか。そこまで見据えなければ新聞やテレビの消滅は単に情報が減少するというだけになってしまうだろう。それは現政権が進めている国家の情報にアクセスできる人間を限定する、という情報統制化をより簡単にするだけである。新聞やテレビがなくなった時、情報を独り占めできるのは巨大企業と官僚に他ならない。ウェブサイトの新聞情報も新聞自体が消滅すれば見ることができなくなる。新幹線車内や繁華街の電光掲示板のニュースも新聞がなくなれば消えてしまう。youtubeの映像の中にもテレビ番組の録画をアップしているものが少なくない。
マスメディアが消滅すれば情報は今よりはるかに高額の庶民に手の届かない贅沢品になるだろう。一定額を支払える人々だけを対象にした会員制のものになるだろう。その日が来るのを待っている人々もいるはずである。
|
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|
|