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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2013年12月19日02時27分掲載
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コラム
外国の新聞とユーモア 〜ユーモアは必要?〜
「日本の新聞はユーモアがないから総じてダメだ、それにひきかえ外国の新聞にはユーモアがある。」
こんなことを言って日本の新聞を批判する人が時にいる。だが、本当なのか?欧米紙を中心に様々な外国の新聞を25年以上読んで来た経験から言えば、欧米の新聞にも別段ユーモアが溢れているわけではない。むしろ、記事の99%はあくなき事実の記載と事実の分析である。実に真面目である。真面目そのもの。だから新聞にユーモアは関係ないと言っても過言ではない。読者が必要としているのは真実なのだから。
福島の原発事故の場合を想定してみよう。読者が知りたいのはどのくらい危険があるのか。どんな対策がなされているのか。住人としてどうすればいいのか、ということだ。真実の情報が必要なのである。新聞にユーモアを期待しているわけではない。そしてこのことは外国の新聞でもまったく同じである。
だから外国の新聞には日本の新聞にはないユーモアがある、と言う人がいるとすれば外国の新聞をあまり読んでいないか、あるいは日本の読者が知らないと思って書いているのだろう。ただし、外国の新聞にはユーモアがあると誤解される理由がある。アート・バックウォルドやマイク・ロイコのようなユーモアコラムニストの存在や秀逸な漫画家の存在である。しかし、それらは通常の記事ではない。もともと笑いのためのコーナーなのである。だがそれは紙面のごく一部に過ぎない。
では欧米人あるいは外国人にユーモアがないのか、と言えばユーモアは豊富にある。しかし、それは新聞で読むものでなく、家庭や職場やバーで会話されるものなのだ。新聞やテレビのまじめなニュースをネタにして、パロディが、ジョークが作られるのである。その一部はアメリカの「サタデーナイトライブ」のような風刺番組という形でテレビに還元される。しかし、ネタ元の政治記事や経済記事自体が笑っていたのでは料理のしようもない。そんなことをしていたら、新聞は読者の信頼を失ってしまうだろう。
ポール・マザースキー監督の「ネクストストップ・グリニッジビレッジ」(邦題は「グリニッジビレッジの青春」)という映画がある。ブロードウェイを目指す若い演劇青年の恋と冒険の物語である。主人公のユダヤ系の青年はいつもジョークばかり話している。しかし、本当に自分の人生のシリアスな問題に直面した時にもジョークを話していた主人公は恋人にこうたしなめられる。「あなたたちはみんなユーモア病ね」と。真に人生の壁に直面した時、ジョークを言っている場合ではない。真摯に悩み、考え、立ち上がって行動する時ではないか、というのである。
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