都知事選の焦点が「脱原発」ということで、日本での配給元であ るアップリンクが、フィンランドの高レベル放射性廃棄物の処分場を描いたドキュメンタリー映画『100,000年後の安全』の吹き替え版全編をネットで無料公開を始めた。原発から生まれる高レベル放射性廃棄物の処理をめぐり、未来の地球の安全を問いかける問題作。小泉元首相が本作を観て、映画の中で描かれたフィンランドの最終処理場「オンカロ」を視察で訪れ、自らの意見を"脱原発"に大きく転換するきっかけとなった。2月9日まで限定公開。(有機農業ニュースクリップ)
『100,000年後の安全』 監督:マイケル・マドセン (2009年/79分/デンマーク、フィンランド、スウェーデン、 イタリア) 公開サイト http://www.uplink.co.jp/100000/2014/
アップリンク代表の浅井さんは、今回無料配信したことについ て、ツイッターへの投稿で次のように述べている。以下、浅井さんのツイートから抜粋する。
浅井隆 ASAI Takashi @asaitakashi ------------- 今度の都知事選挙の争点は「脱原発」だという。それなら一つのドキュメンタリーが社会を変える事ができるかという実験として小泉元首相がこの映画を観て「脱原発」にシフトしたというアップリンク配給の『100,000年後の安全』を選挙期間中全編を無料配信する事を決めた。詳細は後日発表します。 ------------- 本日22日正午からフィンランドの高レベル放射性廃棄物の処理場を描いた映画『100,000年後の安全』の吹き替え版全編75分を無料配信します。2月9日都知事選投票の参考にぜひご覧ください。 ------------- 『100,000年後の安全』無料配信開始しました。原発に賛成でも反対でも考えなければならない核廃棄物の問題。トイレのないマンションではなくトイレのあるマンションを作ったフィンランド。2月9日都知事選投票の前にぜひ。 ------------- この都知事選期間中とはいえ無料配信の『100,000年後の安全』は、作品としては「当てた」ということになるのだろうが、そのきっかけが福島第一原発事故となると何ともやりきれない。事故 前の1月にフィンランド映画祭上映作品の一つとしてツイッター で紹介したが、全く反応が反応がなかった。当時は反原発も、高 レベル廃棄物の地層処理も、一般的には注目をひくような問題と なっていなかったといえる。
日本の地層処理は、まだ研究段階でしかない。高速増殖炉もん じゅの杜撰な運用で問題になった日本原子力研究開発機構の地層処分研究開発部門が研究を担当している。瑞浪超深地層研究所(岐阜県瑞浪市)と幌延深地層研究センター(北海道天塩郡幌延町)の2か所で500mと350mのトンネルを掘削して、地下水の状況などを研究している段階である。最終処分地の候補地す ら決まっていない。
・瑞浪超深地層研究所 http://www.jaea.go.jp/04/tono/ ・幌延深地層研究センター http://www.jaea.go.jp/04/horonobe/index.html
核廃棄物処理の問題については『放射性廃棄物―原子力の悪夢』 (ロール・ヌアラ[著]/及川美枝[訳] 緑風出版刊)がよい。 地層処理の問題に関しては、その情報を、10万年後までどのようにして伝えるかということが一番のネックだという。それには伝承に頼るのが最適だとも分析されている。見かけハイテクの原子力技術は、「言い伝え」に依存せざるを得ないローテクだとの証といえる。はたして、どのような伝説を作り出せばよいのか。
・緑風出版 『放射性廃棄物―原子力の悪夢』 http://www.ryokufu.com/isbn978-4-8461-1206-6n.html
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