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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2014年01月31日05時06分掲載
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ミハイル・ブルガーコフ作 「巨匠とマルガリータ」
ロシアで知り合った友達から一番に推薦された小説が「巨匠とマルガリータ」と題する長編小説だった。作者のミハイル・ブルガーコフ(Михаил Булгаков 1891年- 1940年)は20世紀の作家で、ソ連時代に多くの作品が禁書に指定されている。「巨匠とマリガリータ」もまた作家の存命中は日の目を見ることがなかった作品である。
この小説は悪魔がソ連の首都モスクワに現れ、悪魔主催の大パーティを開く話である。その構想自体がぶっ飛んでいるのだが、悪魔はイエス・キリストを否定しないばかりか、むしろイエスが実在したことを立証する行動に出る。俺はその場にいたんだ、と。悪魔にとっては敵方であれ、神が存在することは自分が存在することにつながるのだろう。宗教はアヘンだと言われ、ソ連では弾圧されたが、そのことはこの本が発禁になったことと関係しているように推察される。だからこそだろうか、あえてその話を書くブルガーコフ。
ロシア人のある女性読者は悪魔主催のパーティのホステス役に抜擢されたマルガリータに共感するという。彼女は自由な女として現れ、その象徴は特殊なクリームを体に塗って空を飛べるようになるくだりだ。全裸の美女がモスクワの夜空を飛ぶのである。彼女はマルガリータが夜空を飛ぶシーンが特に好きだと言う。夫や恋人からも他人からも生き方も、考え方も、感じ方も、いちいち指図されたくない、そんな考えの女性が少なくないのだろう。だからブルガーコフのこの作品には女性の読者が少なくないのかもしれない。
ロシアには離婚して自分の仕事を持って生きる女性が多い。実際、生活はみんな楽ではなさそう。でも、世界はイプセンの「人形の家」の時代とは違う。「巨匠とマルガリータ」はソ連崩壊後のロシアで映像化されて大ヒットも記録している。
マルガリータは悪魔主催のパーティのホステス役を見事こなし、悪魔からその褒美をやろうと言われて、かつてマリガリータの愛人だった作家(巨匠)を精神病棟から取り戻す。この作家こそ、イエスにまつわる文学作品を書いたため、当局から弾圧されてきた男なのだ。思想の自由、信教の自由、表現の自由が奪われた社会ならではの苦労である。作家は御用作家になる道を拒み、精神病棟に入る決意をした。その男をマルガリータは救おうとする。
これらの要素を見ると、当局から不良小説の烙印を押されたのも無理はないと思う。何から何まで当局に睨まれそうな物語だ。ソビエト共産党が推奨した社会主義リアリズムとは対極にある。しかし、文学とはそもそもそのようなものではなかったのだろうか。驚くことはこうした発禁の作品を守り、作者が死んで何十年も後に出版した人びとがまたソ連に存在していたことなのである。
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ミハイル・ブルガーコフ作「巨匠とマルガリータ」大きな黒猫は悪魔ヴォランドの手下でチェスを愛好している。





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