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2014年03月04日13時08分掲載
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籾井勝人NHK会長の暴走は止められないのか 「辞任するまで、わたしはNHKの受信料の支払いを停止する」 根本行雄
NHK会長の籾井勝人(もみいかつと)は就任記者会見で、従軍慰安婦問題などで失言をしたことから始まり、彼は暴走するばかりだ。2月26日の衆院予算委員会分科会で、1月25日の就任初日に理事10人全員から辞表を取り付けたことが明らかになった。会長の暴走を止める役割を担う10人の理事がこんな状態では、もう、暴走は止められないだろう。暴走を止められるのは、視聴者だけだ。
NHK会長に就任した籾井勝人(もみいかつと)とはどういう人物なのか。毎日新聞、2014年2月25日夕刊の記事(浦松丈ニ記者)を引用しよう。
籾井氏は1943年福岡県山田町(現嘉麻(かま)市)生まれ。県立山田高校から九州大学経済学部に進み、三井物産に入社した。父親は中規模炭鉱を経営して財を成し、山田町が市に昇格した54年から市議会議長を務めた。
松岡賛(すすむ)・嘉麻市長(73)は「籾井氏は郷土を愛する律義な人。2006年ごろ、山高(山田高校)の同窓会で地元議員から紹介された。高校の2学年先輩で応援団長をしていた私を覚えていて『怖かったですよ』と言っていました」と振り返る。
当時嘉麻市は財政赤字で、山田高校は07年に廃校となった。同窓会後、松岡市長は東京に籾井氏を訪ね、高校跡地への企業誘致を持ちかけた。誘致は実現しなかったが、その後籾井氏は「ふるさと納税」による同市への寄付をしたほか、地元ボランティア団体の支援を続けているという。
NHK会長就任前日の1月24日には、東京・赤坂で懇談した。松岡市長は隣の飯塚市の斉藤守史(もりちか)市長と一緒に、NHKの番組で地元を取り上げてほしいと陳情した。「国会議員らへの『あいさつ回りでくたびれました』と言っていました。翌日の就任会見であんなことになってしまって……疲れていたのに応対させて悪かったなあ」と松岡氏。籾井氏は、忙しい時間を割き、先輩の顔を立てたのだ。
「政府が右と言うことを……」の発言は、翌日の就任会見で飛び出した。「不偏不党」を定めた放送法に抵触する恐れがあると国会で追及され、従軍慰安婦など一連の問題発言と共に取り消した。
「籾井氏を三井物産の副社長まで引き上げたのは上島重二元会長です。上島さんは自分が課長時代から忠実に仕えてきた籾井氏がかわいくて仕方がなかったのでしょう」(同社OB)。籾井氏は社内留学制度でオーストラリアに留学し、鉄鉱石ビジネスを学んだ。帰国後の直属の上司が上島氏。鉄鉱畑の商社マンは、製鉄会社の厳しい注文にどれだけ忠実に応じられるかを競うという。「右向け右」はその習い性なのだろう。
当時、鉄鉱部門は同社の稼ぎ頭。同部門出身の上島氏が96年に社長に就任すると、籾井氏も97年に役員になり、00年に米国法人社長、2年後には専務に昇格する。ところが国後島を舞台にした不正入札事件などで上島会長は引責辞任。「辞任前、上島さんは籾井氏を社長に推したが、社内から『籾井社長では事態を悪化させかねない』と猛反対にあった」(同)。上島元会長に取材を申し込むと「ずいぶん昔のこと。ほかに適当な人がおられると思う。ちゃんとしたいい記事を書いてあげてください」と話した。
社長レースに敗れた籾井氏は05年6月に三井物産が大株主だったITサービス大手の日本ユニシス社長に転じる。経済ジャーナリストの水島愛一朗さんは「当時、日本ユニシスは三井物産のナンバー2、3の天下りポストでしたが、それがよほど悔しかったのか昔の鉄鉱石ビジネスの話をよくしていた」と回想する。
鉄鉱供給の世界最大手、ヴァーレ社(ブラジル)の社長から同社購入を持ちかけられ、自分の一存で「即決OK」したと会見で披露した。「会社が最後にはうんといってくれた。非常に印象深い。やはり一生懸命やらなければ、こういう仕事はできない」と籾井氏。だが水島氏は「いくら商社マンでも何百億円ものビジネスを即決する権限などあるはずがない」。当時を知る製鉄会社元役員は、ヴァーレ社への経営参画の功労者として籾井氏ではなく別の副社長の名を挙げた。水島さんは「社長レースに敗れて経営者としては最後と思っていたら天下のNHKの会長に任命された。はしゃいで話してしまったのでしょう」と同情する。
NHKの籾井会長は26日の衆院予算委員会分科会で、1月25日の就任初日に理事10人全員から辞表を取り付けたことについて、「辞表を預かったことで、(理事が)萎縮するとは思っていない。一般社会ではよくあること」と述べたという。そして、10人の理事全員が日付を空欄のまま署名・押印した辞表を提出したことが明らかになった。
籾井会長は「一般社会ではよくあることだ」と述べた。これは明らかなパワーハラスメントだ。専横をきわめる支配者のやり口だ。「小さなお山の大将」がNHKという公共放送のトップになってしまった。こういう人物が公共放送のトップにふさわしくないことは明々白々だろう。そのうえ、会長の暴走を止める役割を担う10人の理事がこんな状態では、もう、暴走は止められないだろう。
NHK会長は、当然のことながら、NHKという公共放送の編集権を担っている。公共放送であるメディアに求められているのは、視聴者である国民のために、権力をチェックし、真実を伝える役割であろう。
籾井会長の国会での答弁はメモを読む場面が多く、「放送法を順守する」とか、「答えられない」とか、「個人的な意見は差し控えたい」とか、そういう発言を繰り返し、はぐらかしに終始した。こういう姿を見ていると、説明を回避する誠意のない姿勢しか伝わってこない。こういう保身に汲々としている「小さなお山の大将」には、NHKという公共放送の役割を担っていくことはできないだろうし、ましてや公共放送の役割を促進していくことはできないだろう。
籾井会長自身も、連日国会に参考人として招致される状態が続いていることについて、「異常な事態と認識している」と述べたという。もう、こういう人物には辞任をしてもらうしかない。籾井が会長を辞任するまで、わたしはNHKの受信料の支払いを停止することにしよう。
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