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   2014年04月09日17時15分掲載
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みる・よむ・きく
   中国の資本主義化が生んだ都市化を労働者化の影 『チャイナズ・スーパーバンク 中国を動かす謎の巨大銀行』 ヘンリー・サンダーソン、マイケル・フォーサイス/築地正登訳
    
   
    
     
      
      『チャイナズ・スーパーバンク 中国を動かす謎の巨大銀行』(ヘンリー・サンダーソン、マイケル・フォーサイス/築地正登訳/四六判/304頁/本体価格2800円+悪税)を買いました。著者はブルームバーグの記者。奥付は2014年4月3日第一刷ですから、出たばかりですね。(稲垣豊)
   「謎の」というのは購入意欲を煽るためで、ようは中国の国家開発銀行を扱った本です。まだ「はじめに」の数ページを読み始めただけですが、自分の興味関心にかなりヒットするものだとおもいます。
   冒頭は国家開発銀行の総裁、陳元がベネズエラでチャベスと会うシーンから始まります。グローバル大国となった中国がラテンアメリカやアフリカなどへの開発援助との引き換えに資源などを確保しており、環境問題などでかなりの問題を引き起こすことは、日本でも知られているところです。本書はこれについても触れていると思いますが、海外でさまざまな軋轢を引き起こすまえに、すでに国内において三峡ダムをはじめ膨大な農民や住民への影響があったこと、また地方空港や高速道路網の建設、巨大プロジェクトなどで、いまもそれは続いていることなどにも触れているようです。
   訳者のあとがきの冒頭では、この国家開発銀行の貸出残高は108兆円。商業銀行世界トップの中国工商銀行の105兆円、世界第四位の三菱UFJの84兆円を大きく上回るだけでなく、おなじ開発系の、世銀15兆円、日本政策投資銀14兆円、国際協力銀行10兆円とくらべてもまさに桁違い。日本の財政予算94兆円をも凌駕。
   影の銀行、ソーラーパネル事業の乱立と社債デフォルト、理財商品とデフォルトなど、この間中国発の金融ニュースが世界を騒がせていますが、すべてこの国家開発銀行の政策金融(もっといえば中国共産党の政策)に問題の根源のひとつがあるということも、この本では述べられています。
   ただ、ぼくの関心はそこだけではなく、『反乱する都市』のなかでデヴィット・ハーヴェイが「中国の物語」と名づけた一節において語った都市化をつうじて進んだ中国の資本主義化を、より深く描いているのが本書だからではないか、と思うからです。
   都市化は、昨年11月の三中全会や今年3月の全人代でも党や政府の中心的政策課題としてさらに大々的に推進することがうたわれています。あわせて農地流動の市場化も進められます。都市化問題の核心のひとつはこの農地の市場化ですが、もうひとつ大きな課題は、農民工の都市住民化があります。一般的には、農村出身の都市労働者が都市サービスを受ける権利ということになりますが、大都市、中規模都市、地方都市それぞれにおいて受け入れ条件が異なり、労働者ひとりひとりの学歴や納税貢献度などが細かく点数化され、合格点をクリアしたなかから抽選(本当に?)で選ばれる、というものです。人権的にはちょっと問題あるのでは?とおもう政策ですが、党の政策としての都市化を規範的にすすめるやり方のひとつかもしれません。
   しかし僕が関心を持つのはそこではなく、中国の資本主義化は、この30年で3億人以上もの新しい労働者階級を作り出したというところにあります。農村においては改革開放(後進的集団化→家族農業化→市場を通じた集約化・企業化へ)がもたらした農地流動化が注目される点ですが、都市部においては国有企業民営化とそれにともなう巨大な労働条件の引下げとあわせて進んできた「世界の工場化」において、雇用対策とともに生産の必要から進められてきた都市化政策は、3億もの新しい労働者階級の誕生を促しました。これまでの資本主義の歴史上、これほどの短期間で、これほどの規模で労働者階級を生み出したケースがあったでしょうか。
   本書では、国家開発銀行が陳元総裁(陳雲の息子)のもとで都市化政策を国家資本主義ですすめてきたことに焦点を当てています。
   とにかくスケールが違いますが、そのスケールがもたらす環境負荷もまた巨大な暗雲となってこの惑星全体を覆っていますが、そこでもおなじように中国の労働者や農民、そして先住民族の息子たち娘たちが最初の犠牲者となっていると思います。
   長くなりましたが、そしてまだ読んでもいないのに、ご紹介まで。 
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