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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2014年05月09日14時47分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】たんぽぽ舎・原発事故基礎講座(1) (上)福島苛酷事故は東電のデタラメ運転が原因 槌田敦
.スリーマイル島事故(1979)は、安全弁の開固着が「閉」と誤表示され、事故となった。チェルノブイリ事故(1986)は、緊急制御棒の挿入で反応度が逆に増え、事故となった。いずれも、設計ミスが事故の原因である。これに対し、福島事故(2011)は、東電の業務上過失、未必の故意の犯罪で事故となった。
【1号機】 1.事故の初期、ECCS非常用復水器(注1)が何度も自動起動した。しかし、事故とは考えていない運転員は通常運転の手順書に従い、その度に手動停止して、原子炉を空焚きにした。非常用復水器にまかせていれば事故はなかった。業務上過失である。
2.原子炉空焚きの結果水素ガスが発生した。これが原子炉よりも高い位置にある非常用復水器に溜まり、非常用復水器は機能しなくなった。水素ガスが溜まる欠陥については安全委員会の点検があったが、東電は非常用復水器の点検結果を申告せず、また水素逃し弁をつけるなど水素ガス対策もせず、この欠陥を放置したまま、原子炉を運転した。
3.その結果、非常用復水器に水素ガスが溜まり、原子炉の冷却は不能となり、放射能の大量放出により公衆に被曝障害を与えた。これは東電による未必の故意の犯罪である。 (注1) 非常用復水器は、原子炉よりも高い位置に存在し、原子炉の蒸気を冷却して水にして重力で原子炉に流しこむ冷却系である。外部動力は不要である。
【2号機】 1.2号機には非常用復水器は存在しない。しかし、同じ機能を持つECCS蒸気凝縮系(注2)があった。東電は安全委員会の点検の際、水素が溜まる欠陥を申告して、このECCSを削除してしまった。削除せず水素逃し弁をつければ、2号機の事故はなかった。
2.2号機では、ECCS隔離時冷却系(注3)が働いて原子炉を3日間も冷却できた。しかし、その水源を復水貯蔵タンクから圧力抑制室に変更して失敗した。圧力抑制室には原子炉の熱が流れこみ沸騰状態となってポンプで吸引できず、原子炉への注水不能となった。水源を復水貯蔵タンクに戻せば炉心の冷却は可能だった。業務上過失である。
3.さらに、消防ポンプを使う目的で原子炉逃し弁を開放した。これは人為的大口径破断を意味し、炉心空焚きに直結して大失敗である。なんと愚かな行為か
4.大口径破断の対策には、消防ポンプでは能力不足。低圧注水系(注4)しかない。事故発生から3日も余裕があったのに、非常用電源車を用意せず、大事故にしてしまった。
5.東電は、陸地向け風なのに、2号機格納容器の放射能を120メートル高の排気塔から大量に排出(ベント)して、福島県民を大量被曝させた。しかも、この放射能大量放出の事実を福島県民に知らせなかった。これは、未必の故意の犯罪である
(注2) 非常用復水器と同じ機能を持つ蒸気凝縮系は、残留熱除去系に付属している。 (注3) 隔離時冷却系は、原子炉の高圧を利用してタービンを回し、これにより原子炉に給水する。原子炉の配管破断がない時使用する。外部動力は不要である。 (注4) 低圧注水系は、原子炉が大きく破断して原子炉の圧力が低い時使用する。大容量の交流電源が必要で、タービンを回し大量の水を原子炉に給水する。 (「下」につづく)
槌田 敦(元理化学研究所研究員、元名城大学経済学部教授)
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