・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・国際
・農と食
・教育
・文化
・アジア
・入管
・中国
・市民活動
・米国
・欧州
・みる・よむ・きく
・核・原子力
・検証・メディア
・反戦・平和
・外国人労働者
・司法
・国際
・イスラエル/パレスチナ
・市民活動告知板
・人権/反差別/司法
・沖縄/日米安保
・難民
・医療/健康
・環境
・中東
提携・契約メディア
・AIニュース
・司法
・マニラ新聞
・TUP速報
・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus
・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2024年11月22日
・2024年11月21日
・2024年11月20日
・2024年11月18日
・2024年11月17日
・2024年11月16日
・2024年11月15日
・2024年11月14日
・2024年11月13日
・2024年11月12日
|
|
2014年07月17日16時59分掲載
無料記事
印刷用
ITフロント
続・ベネッセの始末を聞いて 【うぃんど〜ず注意報 復刻版】御足(おあし)
先日、新たなホームページを開設するために、ウェブ・サーバーを運営している会社の社長さんへ相談にいきました。ウェブ・サーバーは当然インターネットに接続していて(しかも超高速で)、24時間運転です。周りと仕切った専用コーナーに設置、停電対策の電源もあります(あとは地震対策の免震装置があれば万全でしょう)。設備ばかりではなく、ソフトウェアについても、ハッカー対策のセキュリティ等ばっちりです。定期的にコンピュータのメンテナンスもしています。そのウェブ・サーバーの中にわが社が企画したホームページを作りたいという相談です。長年のご縁でとってもリーズナブルな使用料ですみそうです。その相談中に、
『ホームページの中に個人情報なんかあるの?』 『う〜ん、個人情報になるかなぁ』 『そう、一応ね、対策はしてあるんだよ』 『パスワードとかだろ』 『それは当然! サーバーのコーナーは施錠してあって、鍵がないと立ち入れないのさ』 『じゃ、私がサーバーで、ちょいとホームページを直そうにもできないの?』(※1) 『そう、個人情報保護法ですよ』
てなやり取りがありました。
個人情報保護法が、いよいよ施行されますね。公人(=政治家)のプライバシー保護(=秘密隠蔽)などなど、いろいろな目論見が見え見えで、すったもんだしたのは記憶に新しいところです。個人情報の漏洩は昨今始ったわけではありません。サーバーの相談をしていて、コンピュータ・センターの運営責任者をやっていた頃を思い出しました。
コンピュータ室はビルの2フロアを占め、常時5〜6名のオペレータを昼夜交代で詰めさせていました。コンピュータ室に入るには手前の小部屋(オペレータ室)を通るような造りで、オペレータ以外はそこから奥のコンピュータ室には行けません。コンピュータの処理を依頼したり、結果を受取る利用者は、そこから奥へは入れないのです。オペレータが体をはって阻止します。
そのコンピュータ・センターでは個人のお客様との契約を記録していました。契約数は1千万件以上、個人情報の塊ですね。氏名、住所、電話はおろか、生年月日、勤め先、家族構成…。もし、漏洩でもしようなら、運営責任者のクビは確実に飛びます(幸いにも飛びませんでした)。
もし漏洩があったら真っ先に疑われるのはオペレータ達です。もっとも、当時はデータを持ち出そうにも媒体は磁気テープでしたから一筋縄ではいきません。直径30cm、厚さ数cm、建物を出るとき、守衛さんに簡単に見つかってしまいます。
が、技術が進歩して、カセット型磁気テープに切替わりました。テープの大きさはVHSビデオテープの3分の2くらい、ポケットに入ります。これなら守衛さんの目を盗めます。そこでオペレータに出した指令。コンピュータ・センターの近くに事務所がありましたので、
○事務所でユニフォームに着替える ○ポケットを空にしてセンターの建物に出入りする(タバコやハンカチは手に持つ) ○守衛さんに挨拶する
オペレータ達は「疑われる原因を少しでも排除する」ということで、納得しました。「李下に冠を正さず」なんて格言を知っていたらかっこよく決められたのに…。そうそう、地方選挙にしろ国政選挙にしろ選挙の前はこの指令を強化したものです。
当時でもネットワークを通じて全国の営業所の専用の端末機で処理した結果が見られるようになっていました。端末機はモニタとキーボードだけの構成で、フロッピーもハード・ディスクもついていません。ただ見るだけ。印刷はモニタの画面を打ち出すだけです。個人情報を大量に引き出すには、相当の手間がかかります。それにそんな使い方をすればすぐバレます。ですから、コンピュータ・センターからの漏洩を防げば、ほぼ完璧でした(※2)。
それが今や、インテリジェント端末機というふれこみで登場したパソコンになり、ハード・ディスクはあるし、プログラムを作ることも可能です。ですから大量の個人情報をセンターのコンピュータから引き出すことも可能。万年筆よりも小さいフラッシュ・メモリー(※3)でフロッピーん百枚分のデータを見つからずに持ち出すことも可能。端末機があるのは事務所でしょうから、コンピュータ・センターの守衛さんのような見張りはいません。
パソコンに取って代ったのは専用端末機の値段が高いから、というより大量生産でパソコンを安く作っていったからでしょう。
かつては1箇所だったデータ漏洩の防止対策が、無数に増えてしまいました。まあ、その分お安くコンビニエンスにはなりました。
……子供のころ、お金のことを『おあし』と言っていました。お小遣いはすぐ出て行ってしまうから。広辞苑には『4(足のようによく動くからいう)流通のための金銭。』とあります。そのうち『5(防ぎようもなく出ていくからいう)コンピュータの個人情報』なんて説明が載るようにならなければいいのですが…。
------------------------------ ※1 ホームページの更新は別のパソコンからおこないます。各人にパスワードがあり、私なら私の分のホームページしか操作できない仕掛になっています。
※2 特定の個人を狙ってその情報を見るのは防げません。ストーカーはある個人の情報だけが欲しいのです。端末機の管理の問題です。
※3 回路内に帯電させて信号を保持するICチップで作った記憶装置。パソコン用には差込むだけでフロッピーと同じように使える製品が出まわっている。他の用途はデジカメ、携帯電話、カードなどなど多様。
(山下茂 2004年10月15日 第38報 一部加筆訂正)
|
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|
|