マレーシア航空MH17のウクライナ東部での撃墜は、非常に衝撃的な事件である。その西側報道は、ウクライナ東部のロシア派、したがってロシアが背景にある過激派による撃墜によるものと、すでに確定したかのような報道一辺倒であり、アメリカ国務長官はロシア大統領に責任をなすり付けることを公言している。これは、ブラックボックスその他の充分な検討を経たうえでの結論では決してない。(落合栄一郎)
さて、ここに至る経過を簡単に振り返ってみよう。まず、ウクライナ大統領が、ヨーロッパ向きからロシアに向きを変えたことに反対して、親ヨーロッパ派が暴動を起こし、うやむやなうちに、クーデターで、この大統領を追い落とした。そして、臨時政権を樹立したが、この政権の性格が十分に外からは把握されていない。そして、選挙で現政権が設立された。もちろんこれが、形式上は、ウクライナの正当政権ではある。しかし、その背景にはなにがあるか、どのような後ろ盾があるかなどなど、充分に公には知られていない。しかし、クリミアや、現在問題になっている東部のロシア系住民の多い州の反政府運動からみて、ウクライナ現政権は、クーデターを敢行した親ヨーロッパ(その中核には以前からあった親ナチス派勢力が)派であることは間違いない。この政権には、欧米の後ろ盾がある。
もう少し歴史を遡ると、以前はポーランドがウクライナの地位にあって、東西(ドイツとロシア)がしのぎを削って獲得しようとしてきた。第2次世界大戦後は、ドイツが敗戦国であったこともあり、ポーランドはロシア側に取り込まれたが、ソ連崩壊後は、西側に取り込まれてしまった。ということで、西側はウクライナをめぐってロシアと対立することになった。以前からウクライナ西部には、西側(親ナチス)よりの住民が、そして東部にはロシアよりの住民が対峙していたことは事実で、おそらくロシアの権威を失墜させて、その覇権範囲拡大をはかる西側(欧米)は、機会を狙っていたのであろう。それがこれまでの政変であろう。
さて、今回の撃墜である。公の報道では報道されていないあの撃墜に至る経過の詳細の幾つかを、Globalresearchのウェッブサイト(1、2)からお知らせしたい。このウェッブサイトは、隠された真実を探り、報道する態度をとってきたものである。ただし、筆者には、これがどの程度真実なのか判断することは不可能である。
まずあの便のフライトコースであるが、通常のコースとは違っていた。それは、ウクライナ上空を通過するときは、その国の地上コントロールからの指令に従わなければならない。これはマレーシア航空もすでに認めているが、あの便は、キエフのコントローラーから、高度を通常(約10670m)よりも低く(10060m)することと指令された。そして、通常よりは北よりで、ロシア派が支配する州の上空を通ることになった─これは、そのようにコントローラーから指令されたのかどうかはっきりしない。ただし、ウクライナ空軍の戦闘機が、あの便に近接して飛んでいたことは確認されている(1)。おそらく、強制されたのであろう。
もう一つの情報は、キエフ空港に勤務していたスペインの航空管制官が耳に挟んだこと(2)。この人もMH17周辺に撃墜3分前まで、ウクライナの軍用機が張り付いていたと証言している。そして、キエフ空港のコントロールタワーには、MH17がレーダースクリーンから姿を消し(11:50)て後10分後の12:00に、撃墜の報告が入った。どうして僅か10分後に、MH17の撃墜がわかったのか。ウクライナの防衛庁ではなく、内務省が、関与していたらしい。内務省のアドヴァイサーのアントン・ジェラシチェンコなる人物が、MH17は、対空ミサイルBukによって撃墜されたと明言している。内務省の指示で、軍が動いていたらしい。こうした情報をスペイン人の管制官は、ツイッターに書き込んでいた。その最後は、“コントロールタワーの軍司令官(ATC)はミサイルはウクライナ軍からのものであると確言した”(16:06)となっている。このスペイン人管制官は直後家族と共に、ウクライナから追出された。
(1) http://www.globalresearch.ca/malaysian-airlines-mh17-was-ordered-to-fly-over-the-east-ukraine-warzone/5392540
(2) http://www.globalresearch.ca/was-ukraines-ministry-of-interior-behind-the-downing-of-malaysian-airlines-mh17/5391909
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