・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・国際
・農と食
・教育
・文化
・アジア
・入管
・中国
・市民活動
・米国
・欧州
・みる・よむ・きく
・核・原子力
・検証・メディア
・反戦・平和
・外国人労働者
・司法
・国際
・イスラエル/パレスチナ
・市民活動告知板
・人権/反差別/司法
・沖縄/日米安保
・難民
・医療/健康
・環境
・中東
提携・契約メディア
・AIニュース
・司法
・マニラ新聞
・TUP速報
・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus
・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2024年11月22日
・2024年11月21日
・2024年11月20日
・2024年11月18日
・2024年11月17日
・2024年11月16日
・2024年11月15日
・2024年11月14日
・2024年11月13日
・2024年11月12日
|
|
2014年12月23日10時32分掲載
無料記事
印刷用
人権/反差別/司法
元戦犯者たちが韓国政府を相手に提訴 〜問われる日本政府の対応〜
第二次世界大戦終結後、連合国による戦犯裁判で「日本人」として捕虜虐待の罪に問われた韓国人元BC級戦犯者とその遺族計10名が10月14日、韓国政府が自分たちの名誉回復を日本政府に求めていないのは違憲であるなどとして韓国の憲法裁判所に提訴した。 韓国人元BC級戦犯者とは、日本政府が戦時中に捕虜(俘虜)監視員として植民地で募集し、日本軍の軍属にした朝鮮半島・台湾出身の青年たちである。
<「日本人」として処罰されながら「非日本人」として補償対象外に>
戦前の日本政府は、軍部などの反対により、ジュネーブ条約の1つ「俘虜の待遇に関する条約」に批准しなかったものの、諸外国に対しては1942(昭和17)年に「同条約に依るの意思ある」との声明を発表していた。しかし実際には、日本軍は捕虜に対して条約に反した苦役を課し、多くの捕虜を死亡させている。そのため、戦争終結後のBC級戦犯裁判で連合国は、日本軍の上級将校だけでなく、監視員として捕虜と直接的に接していた朝鮮・台湾人軍属も「日本人」として扱い、「捕虜虐待」の罪で死刑を含む重い罪を科した。その結果、BC級戦犯者とされた朝鮮人軍属148名(うち死刑23人)のうちの捕虜監視員129名は、東南アジア各地の刑務所に収監された後、1950(昭和25)年以降は東京・巣鴨刑務所に収監されている。
日本政府は、1952年のサンフランシスコ講和条約発効を受けて通達を出し、戦前から日本国籍を有していた朝鮮人に対して日本国籍を喪失させる措置を取った。これにより、収監中の朝鮮・台湾人元軍属は国籍上「日本人」で無くなったことから即時釈放が実現するかと思われたが、日本の裁判所は「刑を科せられた時は日本人であった」として釈放要求を却下し、収監し続けた。最長では終戦時(1945年)から13年間も収監された人がいる。 ところが日本政府は、「日本人」として戦地に動員し、日本のために働かせ、その結果、戦犯の罪を背負った朝鮮・台湾人元軍属に対し、彼らが満期や仮釈放で出所すると手のひらを反して「もはや日本人ではない」と主張し、大半の日本軍人・軍属に認められた援護措置等の対象者から除外した。さらに、1965(昭和40)年に日韓請求権協定が締結されると、日本政府は「完全かつ最終的に解決した」と主張し、現在に至るまで元BC級戦犯者の韓国・朝鮮人に対して何ら補償措置を行っていない。
<日本政府に名誉と人権の回復を求めたい>
韓国・朝鮮人元BC級戦犯者や遺族で組織する「同進会」会長で本訴訟の原告の1人である李鶴来(イ・ハンネ)さんは、10月21日に参議院議員会館で開催された集会で、韓国政府を相手に訴訟を起こした理由を次のように説明した。
「私たちが対応を求めているのは、一義的には日本政府に対してであり、すでに2006年に動員被害認定をして名誉回復措置をしてくれた韓国政府を相手取ることにためらいがありました。しかし、私も89歳となり、生存する当事者たちは高齢化しています。そのため、早急な解決が第一と考えて訴訟を起こすことを決心しました。 そもそも、日韓条約と請求権協定締結に至る協議の中で、1952年に日本政府は私たちBC級戦犯の問題について、『この問題は別途研究したい』と発言して協議対象項目から除外していたことが、2005年に韓国政府が公開した外交文書によって判明しました。これにより、日本政府の提案を受け入れた韓国政府には、問題解決に向けて外交交渉を行う責務が生じていたことになります。しかし、韓国政府は、日本政府に対して何も要求しておらず、この不作為が憲法違反ではないのかと問うことが今回の提訴の目的です」 「私は条約の内容や捕虜虐待の事実の有無を争点にするつもりはありません。また、私たちが不本意ながら罪を受け入れたことや、死刑となって命を差し出した仲間のことを問うつもりもありません。ただ、私は大韓民国の国民としての矜持を守って生きており、当時、祖国の建設に何も貢献できなかったことを本当に悔しく、申し訳なく思っています。 私たちの問題は、韓日の歴史の谷間、政治の谷間に落ち込んでしまって、外からは見えにくくなっているかもしれません。ですが、私は既に亡くなってしまった仲間たちの無念を晴らすためにも、いち早く私たちの名誉と人権が回復されることを強く願っています」
また、今回の李鶴来さんらの裁判のサポートをしている戦後補償ネットワーク世話人代表の有光健さんは、日本政府の対応次第で提訴を取り下げる可能性もあることを示唆した。
「韓国の憲法裁判所は、2011年8月に元『慰安婦』と被爆者の訴えに基づき、問題解決のために日本政府と外交交渉をしようとしていない韓国政府の不作為を違憲であると判決しました。今回の裁判もこれと同様の判決を求めています」 「本当は日本国内で解決すべき問題なのですが、時間があまり残されていない状況では、まず韓国政府に動いてもらって、日本政府に早急な解決を促してもらたいと考えています。この訴訟はその起点となるものです。この問題について韓国政府が日本政府と外交交渉を開始すれば、原告の方々は裁判を取り下げるつもりでいます」
韓国・朝鮮人元BC級戦犯者たちは1999(平成11)年、日本政府に謝罪と補償を求めた日本の裁判で敗訴している。しかし、日本の最高裁判所は判決の中で、彼らの境遇について「深刻かつ甚大な被害」と認定するとともに「適正な立法措置を講じることが期待される」と日本政府に対応を促した。 自民・公明両党は、12月14日の総選挙で3分の2以上という圧倒的な数の議席を獲得したのだから、やる気さえ出せばあっという間に問題は解決するはずである。戦後70年という節目を迎える来年こそ、問題を解決する絶好の機会だと思う。最後に政府・与党の国会議員に言いたい。「保守の人って『義理・人情』を大切にする人たちではないんですか?」(三宅保)
|
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|
|