本紙2月10日付で、大富豪ロスチャイルド家が襲撃された風刺漫画誌を襲撃の1か月前に購入していたとする情報をペンネーム「アラブの眼」が、オランダ誌から米国のワタンを経由した情報として伝えている。<ロスチャイルドがシャルリ・エブド社を購入か?>と題する記事である。ロスチャイルドはユダヤ系資本家である。そこにはユダヤ人がイスラム教を侮辱させた、という含みすら感じられる。さて、その真偽はどうなのか?
フランスインフォはその情報はデマであると伝えている。’Le faux rachat de Charlie Hebdo par la famille Rothschild’(ロスチャイルド家にCharlie Hebdoが買収されたというのは嘘)という1月28日付の記事である。そればかりか反ユダヤ主義の漫談家デュードネ氏が支援するウェブサイトQuenel +がその嘘を発信したと報じている。
http://www.franceinfo.fr/emission/le-vrai-du-faux-numerique/2014-2015/le-faux-rachat-de-charlie-hebdo-par-la-famille-rothschild-27-01-2015-07-23 このウェブサイトがどのような嘘をついたかというと、フランス・インフォによればオランダの経済雑誌で報じられたことはロスチャイルドが買収を考えたのはリベラシオン誌だったということである。それをCharlie Hebdoに捻じ曲げた可能性があるというのである。
もともとそのネタ元と思われるオランダの経済媒体QUOTEだが、そこに載っている記事はリベラシオンの買収をめぐるロスチャイルドの話である。Charlie Hebdoは1月7日に襲撃を受けてオフィスが使用できなくなったため、リベラシオンの社屋を臨時に使用して次号を出した経緯があった。そのことを捻じ曲げて、ロスチャイルドがCharlie Hebdoを買収した、しかも襲撃の1か月前に買収したと報じたらしいのである。これはフランスインフォと、オランダの経済雑誌QUOTEの記事によるものだ。下にリンクをつけておく。QUOTEの記事は恐らくアラブの眼も読めるであろう英語で書かれている。
http://www.quotenet.nl/Nieuws/De-Rothschild-s-print-Charlie-Hebdo-We-doubted-whether-we-should-buy-newspaper-Liberation-144350 ネタ元のQUOTEの記事には次のようなくだりがある。
‘There has been quite some discussion about the takeover of Liberation by my uncle Edouard baron de Rothschild’, says Philippe. ‘Some family members wanted to block the purchase, because the medium would make us a political force. We wanted to avoid that at all cost. We have no interest in politics, at least not towards the outside world. In the end, the critics within our family were overruled.’
「リベラシオンの買収を巡って叔父のエドアルド(ロスチャイルド家)との議論がありました。一家のある者は買収に反対したのです。というのも、メディアの買収は政治に首をつっこむことになるからです。それだけは何としても避けたかったのです。政治に関心はないのですよ、ロスチャイルドは。これまでの世界にとどまっていたかったのです。しかしながら、それらの批判は結局覆されてしまったのです」(フィリップ・ロスチャイルド)
ここには一言もCharlie Hebdoの話題は出てこない。問われているのはリベラシオンの買収である。
しかし、アラブの眼は次のように伝えている。
<最初に報じたオランダ誌は「クウート(発音不確か」という労働(或いは仕事)関連の雑誌で、一族の実力者フィリップ・ド・ロスチャイルド氏の次の発言を伝えた。「シャルリ・エブド社を支配する件は一族会議のメンバーたちから反対されたが、最終的には同社を購入する決定が採択された」>
「アラブの眼」による検証を待ちたい。
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