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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2015年04月24日18時08分掲載
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文化
歴史に翻弄される人間の生 画家ダイアン・ババヤン
アインシュタインとキュリー夫人が並んで立っている。背後には赤い空が広がっていて、足元には起伏のある大地が続いている。二人が拓いたのは「核の時代」であり、それは広島や長崎の惨禍を招いてしまった。そのためか、科学者の肖像でありながら、不安な印象が胸に迫ってくる。
イラン出身の女性の画家、ダイアン・ババヤン(Diane Babayan)氏の一枚である。名字の・・・「ヤン」は作家のウイリアム・サロ―ヤンや、映画監督のアトム・エゴヤンと同じで、アルメニア系の名前だ。ババヤン氏の両親もイラン在住のアルメニア系だった。
アルメニア人について日本ではあまり知られていないのではなかろうか。今年、アルメニア人虐殺100周年、と銘打って欧州やトルコなどで様々なキャンペーンが行われている。第一次大戦中にオスマン帝国の領土で暮らしていたアルメニア人数十万人から多くて150万人が虐殺されたとするもので、トルコ政府は虐殺はなかったと否定している。オスマン帝国が第一次大戦で敗れて国土が縮小した時、アルメニアもまた独立することができ、後にはソ連の衛星国に組み込まれて行った。虐殺が起きた背景にはアルメニア人によるオスマン帝国からの独立運動があり、帝国在住のアルメニア人が敵方にあたるロシアと手を結ぼうとしていたからだと言われている。
ババヤン氏によると、彼女の祖父もこの虐殺の生き残りで、当時少年だった祖父はテヘランで活動していたフランス人が組織していた教会によって引き取られたそうだ。一方、ババヤン氏の祖母はアルメニア人ではあったがイラン領の中で暮らしていたという。
’I was born in Iran of armenian parents and I speak the Oriental Armenian ... there is a western armenian and Egoyan is speaking the western armenian. and of course I know persian and English, I just learnt it on my own ...’
(私はアルメニア系の両親のもと、イランで生まれました。母語はアルメニア東部の言葉です。一方、アルメニア西部の言葉もあり、映画監督のアトム・エゴヤンは西部の言葉を話します。私はもちろん、それ以外にペルシア語と英語を自分で身に着けることになりました・・・)
著名な映画監督のアトム・エゴヤンも、画家のババヤン氏も現在、カナダで暮らしている。ババヤン氏がイランに戻れないのはイランの革命も関係しているのかもしれない。
ババヤン氏は1964年にベルギーの美術学校を優秀な成績で卒業しており、さらに2年、パリで芸術の勉強を続けた。「アインシュタインとマリー・キュリー」の絵はこの頃、パリで描かれた。パリ大学理学部からの依頼だった。この時、描いたのはフランス人科学者たちの肖像画と「アインシュタインとマリー・キュリー」である。
ババヤン氏は1986年にフランスを去って、カナダのトロントに移住した。その理由は家族の事情だったと言う。彼女はペルシア語、フランス語、アルメニア語、英語を使いながら、芸術家として国境を越えてサバイブしてきた。そんな彼女には「私の叫び」と題する絵があり、それはムンクの「叫び」とはまた違った苦悩を表している。それが具体的に何かは不明だが、「アインシュタインとマリー・キュリー」と同様、赤を中心とした色彩が基調になっている。苦悩と言葉で言っても、表現には様々な色と形があり、それが画家の表現であり主張である。
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「アインシュタインとマリー・キュリー」
画家のダイアン・ババヤン氏
「私の叫び」





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