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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2015年07月14日21時16分掲載
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コラム
問 簡単です。以下の文章における「彼」とは誰か、具体的に考えてください。また、「〇」には何が入るか答えてください。
彼が好きなのは「強い○」「誇れる○」と「稼ぐ力」で、それらを「取り戻す」とよく言う。「国際貢献」というのも好きである。得意なのは「△△ノミクス」。株価が上がって景気が良くなったのは、彼が日銀総裁をすげ替えて、円安を作り出したからだと言いたげである。 でもね。株価は上がっても、そのことで景気が良くなった、暮らしが楽になったと感じている人(国民)は実は少ない。国民の大半は「株式」を持っていないし、「相場」と無関係な、ごく普通の日常生活を生きている。円安で輸入品価格が上がり、消費税増税も加わって、暮らしが苦しくなったと感じている人(国民)の方が多いのではないか。彼を見ていると、「稼ぐ」ことができる人だけが価値があって、稼げない、成果を出せない奴は評価しない、切り捨てるといった感じがある。彼には、思ったように働けない貧しさへの共感、なかなか成果が出ないことの苦しさへの思いやりが無い。 彼は厚顔無恥にも二度目の登場をしたのだが、彼が最初に登場したとき、彼は「美しい○、日本」と繰り返した。「日本国憲法を5年以内に改憲する。」と大見得を切った。そして教育基本法の改悪を行った。「美国日本」とは、中国語では、「アメリカ合衆国日本州」の意味を持つ。そうか、彼の言う「国際貢献」は、「アメリカお助け貢献」のことかもしれない。 そもそも、「△△ノミクス」というのを最初に言ったのは、約30年前の米国レーガン大統領による「レーガノミクス」で、大企業及び高額所得者優遇の減税を行い、金持ちが豊かになれば、そのおこぼれで貧しい国民も豊かになると喧伝した。世に言う「トリクルダウン」理論である。東京の下町で育った私にすると、ふざけるな、人を馬鹿にするにもほどがある理論だと思う。英語で言われると何だか高尚なように聞こえるが、なに、英米の良識と知性ある人たちにとっても、「トリクルダウン」理論は恥ずべき経済理論として認識されている。
閑話休題。私は横須賀で勤務していたことがあるが、横須賀には米国第七艦隊空母であるジョージ・ワシントンが配備されてきた。しかし、老朽化が進み、新しく配備される空母は「レーガン」だとか「ブッシュ」だとか言われている。空母の名前に過ぎないと言えばそのとおりだが、なんだかおバカの程度が進んで、間違いを起こさなければいいなあと思ってしまう。少なくとも、ジョージ・ワシントンでも帰ってもらいたいのだから、レーガンやブッシュならなおのこと帰ってもらいたい。どの空母も、福島第一原発と同等の原子炉を2基備えている。
元に戻って、彼が取り戻したい「○」とは何だろうか。1950〜60年代の高度経済成長期の日本だと言う人もいる。私は、彼が理想として描く「○」は、彼の(自由民主党の)改憲草案に全て示されていると思う。それは一言で言えば、「国民よりも○が大事。国民は○のために稼げ、奮闘努力せよ」ということに尽きる。誰でも歴史から学んで知っていることだが、憲法は○及び政府の暴走を起こさせないために作られてきたものである。彼はそれを逆立ちさせようとしている。偏った国家主義者による改憲作業ほど危険なものはない。約80年前、国家主義者として嘘も含めたスローガンだけを繰り返し、国民を扇動し、第二次世界大戦を引き起こした男を私たちは知っている。 彼はかつて、仲間とともにNHKへ乗り込み、恫喝して、従軍慰安婦に関わる放送をやめさせた経験を持っている。民主主義を掲げる一国の宰相として恥ずべき経歴と言わざるを得ない。自らは自由に(共感性に欠けた薄っぺらな)スローガンを繰り出しながら、報道機関による言論の自由には規制をかけるということがあってはならない。 非正規就労やブラック企業の問題について、彼はいかにも彼らしいポーズをとったが、具体的な行動には至っていない(平成27年4月17日、青少年雇用促進法が共産党・社民党の頑張りもあって全会一致で成立したことは慶賀すべきことである)。 本当は若い人の経済苦を救う気が無いのではないか、成人年齢を18歳に引き下げ、「金に困っている奴は自衛隊に入れ(もしくは徴兵制にする)」と言いたいのではないかと老体の私は心配なのである。(伊藤一二三)
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