数学月間(=数学と社会の架け橋)は今年で十年目になりました.7月22日〜8月22日を数学月間とすることは,2005年に日本数学協会が提唱しました.この期間は,数学の土台となる2つの重要な定数 (円周率)π=3.14・・・≒22/7 と (自然対数の底)e=2. 71・・・・≒22/8に因みます.
数学月間の会SGKは,月間初日の7月22日に「数学月間懇話会」を開催して,今年は第11回になります.我々は,この期間に各地で数学を楽しむイベントが盛んになるよう応援しています.皆様の周りに数学イベントの情報などありましたらお知らせください.SGK通信に掲載し連携イベントとして広報いたします.
漢字が読めないのは恥だが,数学なんて知らなくても構わないと思っていませんか.数学は浮世離れしたものではありません.我々の社会は至る所で数学に支えられています.数学月間は,“社会が数学を知るとともに,逆に数学が社会のニーズを知る”機会でもあります.
数学月間懇話会では,色々な分野で活躍する数学を鑑賞したり、数学が生まれた現場に立ち戻りその生い立ちを観賞します.完成された抽象数学は巨大山脈のようで,一般人には近寄りがたく感じるのものですが,このように数学を見ることで共感できるのではないでしょうか.
我々の数学月間の手本となった米国の数学月間(スタート時は週間)の原点“レーガン宣言(1986年)”を,以下に掲載します.今読んでも味わい深く格調高いものです.
谷克彦(数学月間の会・世話人)
■日本数学協会 ( 以下のサイトに数学月間の催しが出ています。興味ある方はふるってご参加ください )
http://www.sugaku-bunka.org/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%95%B0%E5%AD%A6%E5%8D%94%E4%BC%9A%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/
■アメリカ合衆国大統領による宣言 5461---- 「国家的数学認識週間」 1986年4月17日
宣言(National Mathematics Awareness Week)
およそ5000年前、エジプトやメソポタミアで始まった数学的英知は、科学・通商・芸術発展の重要な要素である。ピタゴラスの定理からゲオルグ・カントールの集合論に至る迄、目覚ましい進歩を遂げ、さらに、コンピュータ時代到来で、我々の発展するハイテク社会にとって、数学的知識と理論は、益々本質的になった。
社会と経済の進歩にとって、数学が益々重要であるにも拘わらず、数学に関する学課が、米国教育システムのすべての段階で低下する傾向にある。しかし、依然として、数学の応用が、医薬、コンビュータ・サイエンス、宇宙探究、ハイテク商業、ビジネス、防衛や行政などの様々な分野で不可欠である。数学の研究と応用を奨励するために、すべてのアメリカ人が、日常生活において、この科学の基礎分野の重要性を想起する事が肝要である。
上院の共同決議261で、国会が1986年4月14日から4月20日の週を、国家的な数学認識週間として制定し、この行事に注目する宣言を出す事を大統領に要請した。
今日、アメリカ大統領、私、ロナルド・レーガンは、1986年4月14日から4月20日の週を国家的数学認識週間とする事を、ここに宣言する。私は、すべてのアメリカ人に対して、合衆国における数学と数学的教育の重要性を実証する適切な行事や活動に参加する事を勧告する。その証拠として、アメリカ合衆国の独立から210年の西暦1986年の4月17日、ここに署名する。
ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)
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