フランスでは今、難民を受け入れるかどうかをめぐって議論が起きています。そして難民を受け入れよ、というデモも行われたばかりです。
チュニジア出身の人から送られたその現場の写真です。
On a accueilli les parents SARKOZY et VALLS ... Pourquoi pas les autres?
サルコジ(元大統領)の親たちやバルス(首相)を フランスは迎え入れた。なぜ他の人々はダメなんだ?
参加者はこう書かれた緑のプラカードを手にしています。サルコジ元大統領はハンガリー移民の子孫、マニュエル・バルス首相はスペイン人(カタルーニャ)の父を持つ移民です。 こうした集会が今、起きているのはシリア難民の子供がトルコの渚に死体で打ち上げられた写真が人々の心に深い衝撃を与えたからにほかなりません。もちろん、その裏には最近、継続して中東やアフリカからの難民が欧州に向かっている現象があります。パリでも地下鉄駅ラシャペル(La Chapelle)の高架下にテントを張って寝泊まりしていたスーダンやソマリア、エリトリアなどからの難民の問題が今春報じられたばかりです。
右翼政党は彼らの中には経済難民が少なくない、と言っています。この問題は今年1月に起きたCharlie Heebdo襲撃事件と底流でつながっています。フランス国内や欧州にはイスラム教徒は欧州人と価値観が違うから共生できない、という意見もあります。しかし、一方で、このようにフランスという国は多様な民族からもともと構成されているんだ、という見方が強くあります。最近、ネット上に送られてきたメッセージでは歌手のシャルル・アズナブールはアルメニア系、俳優のイブ・モンタンはイタリア系、女優のイザベル・アジャーニはアルジェリアとドイツ系・・・と枚挙にいとまがないほどの著名人の顔が掲載されています。こうした人々はまさにフランス文化を体現する顔です。
宗教の違いを乗り越えられるか、価値観の違いを乗り越えられるか、というテーマの前に、渚の幼い子供の写真は強烈な印象を与えたのではないでしょうか。フランスのブルターニュでは難民を受け入れられる施設・家族の場所などを記したサイトも立ち上がっています。さらに、難民を受け入れよ、という声の背景には欧米の中東やアフリカへの軍事介入のあり方への批判もあります。
村上良太
※ブルターニュ半島の人々が提供を申し出ている避難所リストの記事(ル・テレグラム紙)
http://www.letelegramme.fr/bretagne/migrants-en-bretagne-plusieurs-dizaines-d-offres-d-hebergement-05-09-2015-10763206.php?xtor=EREC-85-%5BPartageFB%5D-20150905-%5Barticle%5D&utm_source=PartageFB&utm_medium=e-mail&utm_campaign=PartageFB#
※避難所を提供する活動をしている運動 Singa
http://singa.fr/
※マリーヌ・ルペン国民戦線党首が「移民の大半は政治難民ではなく、経済難民である」とTF1で発言したとBFMTVで報じられる Marine Le Pen: les migrants sont "pour la plupart des refugies economiques"
http://www.bfmtv.com/politique/marine-le-pen-les-migrants-sont-pour-la-plupart-des-refugies-economique-910563.html
■TF1のマリーヌ・ルペン国民戦線党首のインタビュー
http://lci.tf1.fr/videos/2015/marine-le-pen-les-35-heures-ont-ete-nefastes-pour-l-economie-8649441.html
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