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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2015年09月20日04時43分掲載
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コラム
プーチン大統領の謎
ロシアのプーチン大統領にはマッチョな政治家、というイメージがある。柔道の達人と言われていて、柔道着姿もよく報じられる。それだけでなく、猟に出かけたり、川を泳いだり、裸で馬に乗っていたりするところをメディアに披露している。こういう政治家は日本にはあまりいない。安倍首相も、野田佳彦元首相も、そういうマッチョな印象はない。たくましい裸身をさらすことに政治家としてどのようなメリットがあるのか、日本にいるとわかりにくい。
プーチン大統領の娘は日本語を勉強していたことで知られていて、プーチン大統領自身も親日家だと聞いたことがある。では北方四島についてどう考えているのだろうか。返還を可能にする妥協点はないのだろうか。
ある政治ジャーナリストからは権威主義的なプーチン大統領だからこそ、北方四島の返還交渉ができると聞いたことがある。独裁的なタイプの政治家だからこそ、双方の妥協点が合えばロシア国内の反対を押し切ってでも交渉をまとめることができる、というのだ。その考え方には説得力がある。
思うにロシア政府はPRがあまりうまくないように感じられる。そのために、損をしているところがある。欧米がリビアのカダフィ政権つぶしを画策して武力行使をしたとき、ロシア政府は激しく批判した。ロシア政府にとってリビアは兵器の買い手という面もあっただろうが、ロシアの言い分には理があると思った。ロシア人のセルゲイ・ラブロフ外相は当時こう言ったのだ。
「これは善か、悪かの問題ではない。悪か、最悪かの問題だ」と。カダフィ大佐はたしかに独裁者だから悪である。しかし、リビアの反政府勢力に無思慮に軍事支援を施したら、国家が崩壊して液状化し、はるかに危険な状態になるのだ、と。だから、善か悪かでなく、悪か最悪か。この選択肢なのだ、と。独裁者を倒してもそのあとにもっと悪い地獄が待ち受けているかもしれない。こうした考え方はいかにもロシアっぽい気がする。選択肢に善がないところがだ。
しかし、この考え方は軍事攻撃でアフリカに自由と民主主義を実現できると幻想を振りまいた欧米諸国より、はるかに正直で、現実的な意見だったと思う。だが、ロシアが何か言うと常に「悪の帝国」であるかのように受け取られる。欧米世界も日本もロシアに対する反応は冷戦時代と変わるところがない。
プーチン大統領はハフィントンポストの報道によると、かつての職場であったKGBの中でも特異な存在、というか、はっきり言えばアウトサイダーだったと言う。当時のプーチン氏はモスクワのKGB本部でなく、東ドイツに長く派遣されていた。もし、プーチン大統領がモスクワのKGB本部の出世街道を歩いていたら、今日のようなプーチン大統領はなかったと言う。そのあたりも謎めいた印象だ。東ドイツで何を考えていたのだろうか。
プーチン大統領はもっとソフトに語りかければ印象が変わるように思うのだが、強面する印象を与えながら誤解させるにまかしているような気がする。日本人はそのあたりのロシア人のメンタリティに疎い。
村上良太
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プーチン大統領。本音はどこにあるのだろうか。
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