●目次●
「戦略的論理を欠く中国の人工島建設」FT 10/29
「中国 領土問題をめぐる比の提訴に苛立ち」WSJ 10/30
「日中韓主脳会談で通商合意」 NYT 11/1
「高まる沖縄の怒りと疎外感」FT 11/4
「中台分立後初めて中台首脳が会談へ」WP 11/4
「中国 今後5年間の経済成長率を6.5%以上に」NYT 11/4
「TPP交渉合意内容公表 論争の場は米議会へ」NYT 11/5
★ ★ ★
「戦略的論理を欠く中国の人工島建設」FT 10/29 China’s island building lacks strategic logic
10月29日付のフィナンシャル・タイムズ紙は、米国海軍が、中国が領有権を主張し人工島を建設している南シナ海・南沙諸島から12マイル圏内に戦艦を航行させ、中国の主張を認めないとする意を示したと報じた。 米国は、中国の主張に対して「中国から数千マイル離れた海域は中国の領海ではない」との認識を明確に示し、一方の中国は、米戦艦ラッセンの航行に対し辛辣な反応を示し、「危険かつ挑発的な行動を今後慎むよう要請する」と述べ、米国の行動を「違法である」と非難したという。 核保有国である世界の2大経済大国による軍事衝突の兆しは、真剣に受け止められる必要があり、米中両国はどちらも適切な注意をもって事を進める責任があると同紙は伝えている。 また、中国は領土や領海を主張しているが、この主張が国際法の試練に耐えることはおそらくなく、中国のわがままがまかり通ることがあれば、とりわけロシアによる不法なクリミア併合の余波を受けて、危険な先例を作ることになりかねないとも分析している。 その上で、中国は国威に駆られた政策を追求する恐れがあるものの、そこには基調となる戦略的論理はほとんどないと同紙は主張。中国の台頭が、世界の覇権を握る米国との緊張関係を招く可能性は昔から常に高かったとし、米国と中国は直ちに緊張緩和に努めるべきであり、世界の2大経済大国の関係悪化は、どの国の利益にもならないと伝えている。
「中国 領土問題をめぐる比の提訴に苛立ち」WSJ 10/30 China Bristles Over Dual Tests in South China Sea
10月30日付のウォールストリートジャーナル紙は、フィリピンが南シナ海の領有権をめぐって2013年1月に提訴した裁判において、常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が、管轄権は裁判所にあると判断したため、審理が続行されることになったと報じた。 フィリピンは2013年1月、南シナ海の領有権を主張する中国を、国連海洋法条約に基づき国際裁判所に提訴。南シナ海で中国が推進する「ナインダッシュ・ライン」が国連海洋法条約違反であり、中国の海洋権益として認められないと訴えている。 フィリピンの専門家は「フィリピンは領有権問題をめぐる裁判の最難関を突破した」とし、「米との同盟関係の下、中国の主張は国際法上無効であるということを示した」と主張。 中国側は、米駆逐艦によるパトロールを「無謀な行動だ」と非難し、今回の常設仲裁裁判所の判断も無効であると発表した。
「高まる沖縄の怒りと疎外感」FT 11/4 Okinawans feel growing alienation from Japan
11月4日付のフィナンシャルタイムズ紙は、在沖米軍基地問題をめぐる沖縄県民の怒りは頂点に達しており、今後、琉球独立論も高まっていく可能性もあると報じた。 同紙が紹介している、沖縄県民を対象に行われた直近の世論調結果によると、独立を支持したのは8%弱。しかし、21%が「沖縄への完全なる権限委譲」に、88%が「県民の総意で自決する権限の拡大」に賛成したという。こうした回答は、沖縄の人が抱いている疎外感の高まりを示すものだと同紙はみている。 沖縄県の翁長雄志知事は先月、米軍普天間飛行場の辺野古移設で、辺野古の埋め立て承認に欠陥があったとして承認を取り消す手続きを行ったが、翁長知事による辺野古の埋め立て承認取り消しは違法だとして、国が知事に代わって埋め立てを承認する「代執行」の手続きに着手することを了解。翁長知事は「激怒を抑えることができない。政府による強制は今後も続くだろう」と述べた。 また同紙は、琉球大学の我部政明教授のコメントを紹介。我部教授は「沖縄県民は東京の中央政府との距離を感じている。沖縄県民は自分たちを日本人だと思っているが、同時に、中央政府によって差別的な扱いを受けているとも感じている」と指摘した上で、「少女暴行やヘリコプター墜落のような事件がもう一度起きれば、沖縄の反中央政府感情がさらに高まるだろう。もし大事件が発生し、沖縄の人々が納得できる対処が施されなければ、それは重大な影響を及ぼすこととなるだろう」との見解を示したという。
「TPP交渉合意内容公表 論争の場は米議会へ」NYT 11/5 Text of Trade Deal Released, Waving a Green Flag for the Debate
11月5日付のNYタイムズ紙は、米政府が参加11カ国と大筋合意に達したTPP(環太平洋経済連携協定) 交渉の詳細を公表したことで、オバマ大統領にとっては議会承認にむけて最後の大仕事が始まったと報じた。 TPP反対派の多くは労組や環境団体、公共支援組織などの左派だが、フォード・モーターなど幾つかの大企業も反対に回っている。身内の民主党内にも反対派がいるため、早期合意を目指すならば、オバマ大統領は野党・共和党に頼らざるを得ないとの見方を同紙は示している。 政権は早速、SNSなどメディアを活用し、TPPが「米労働者を最優先させる新しいタイプの貿易協定」である点を強調、支持集めに動いている。
★ ★ ★
※「ND米紙ウィークリーニュース」は、米国各紙の中から政治・外交・日本関係の記事(月〜金曜日)を抽出し、翻訳・要約してお送りするものです。日本メディアでは報じられない貴重な報道記事などを選択して配信致しますので、是非ご覧ください。
NDに入会すると、目次に掲載している他のニュースを読むことができます。入会方法は、下記のNDウェブサイトをご参照ください。 http://www.nd-initiative.org/
新外交イニシアティブ(New Diplomacy Initiative / ND)事務局 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 住所:東京都新宿区新宿 1-15-9 さわだビル 5F TEL:03-3948-7255 / FAX:03-3355-0445 E-mail:info@nd-initiative.org WEB:www.nd-initiative.org/ Facebook:www.facebook.com/NewDiplomacyInitiative Twitter:@nd_initiative ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
|