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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2016年11月03日12時29分掲載
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文化
ロシア構成主義の建築物の場所を示したモスクワ地図 「なぜ私たちはこの地図を今、作ったか?」 デザイナーの一人にインタビュー 'Save the Constructivist buildings in Moscow.'
最近、とても興味深い1枚の地図を目にしました。円形の中に建物や模様や言葉がびっしり密に描き込まれていて、西洋版の曼陀羅図みたいな印象です。聞くとそれはモスクワの地図でした。いったい何のためにこの地図が今、作られたのか。そこに何を読み込めるのか。地図を作製したデザイナーの集団, Baklazanasの一人、ロシア人のイリーナ・ゴリャチョーバ(Irina Goryacheva) さんにインタビューしました。
'Save the Constructivist buildings in Moscow.'
I interviewed a Russian designer Irina Goryacheva ,who created The New Moscow map showing the existing Constructivist buildings with her colleagues in 'Baklazanas', a designers' group in the Republic of Lithuania.
1) Why (for whom) did you create this?
Q なぜ、そして誰のためにこの地図を作製したのですか?
We have created this The New Moscow map with the support of our partners and one of the most favourite clients - the Center of Russian Avantgarde. A very limited edition of the maps has been printed and using silk creen printing method.
私たちはこのモスクワ地図を私たちのパートナーや私たちの大切なクライアントである「ロシアアバンギャルドセンター」の支援のもとで作りました。印刷枚数は非常に限られていて、シルクスクリーン製です。
It is the map of existing Constructivist buildings in Moscow. Constructivist architecture was a form of new experimental Soviet architecture that appeared in the Soviet Union in the 1920s and early 1930s combining geometrical shapes, new technologies, and communist ideology. The Constructivist movement produced many pioneering and unique projects and had a great impact on contemporary architecture.
これはモスクワで現存しているロシア構成主義の建物の地図です。ロシア構成主義の建築はソ連において1920年代から30年代初期にかけて実験的に作られたものです、幾何学的形状と新しい技術、そして共産主義のイデオロギーが組みあわされています。ロシア構成主義の運動は多くの新しくユニークな建築を生み出し、現代建築にも大きな影響を与えました。
The main reason why we created this map and also the main challenge was to focus on the problem of demolition of the Constructivist buildings in Moscow. Many Constructivist architectural masterpieces are either in ruins or under threat of demolition nowadays so the land could be sold to developers. Despite all the public protests and numerous petitions Russia’s unique architectural heritage is destroyed by the authorities.
今回、この建築地図を作った最大の理由はモスクワにおいてロシア構成主義の建築物が次々と壊されつつある現状に対して、問題提起をすることにあります。多くのロシア構成主義建築物の傑作がすでに破壊されたり、あるいは破壊される脅威の中にあります。というのもその土地を土地開発業者に売却しようとする動きがあるからです。これまで市民の抗議や数多くの請願にも拘わらず、ロシアの建築の大切な遺産が当局によって破壊されてきているのです。
Constructivist buildings were neglected for much of the Soviet period since late 1930s and people nowadays don’t appreciate this unique heritage, while it’s one of the very few things Russians should be actually proud of.With this map we wanted to attract attention to the problem of demolition of the Constructivist architecture in Moscow and to show it’s pure exceptional beauty.
ロシア構成主義の建築は1930年代末期からソ連時代全般にかけて顧みられなくなりました。今日のロシア人はロシア構成主義の建築を評価しなくなってしまいましたが、これこそがロシアが誇るべき希少な文化的遺産の1つなのです。私たちはこの地図に現存するロシア構成主義の建築物を書き記すことで、それらの建築物が危機に瀕していることを呼びかけ、また同時に人々にその純粋な美しさを知ってほしいと思っています。
2) What did you put in the map ? Maybe it is symbolic.
Q) この地図に描き込んでいるものはなんですか? 象徴的なもののようですが。
The New Moscow map celebrates Moscow architectural avant-garde heritage. It features 180 most stunning examples of Constructivist architecture in Moscow, both world-famous buildings (from Melnikov House and the Narkomfin Building to Shukhov Tower to Lenin’s Mausoleum) and less known residential buildings and constructivist quarters and settlements within the limits of Moscow Ring Road (MKAD). The map celebrates the avantgarde landmarks of the early Soviet era, including workers' clubs, schools, factory kitchens, garages, communal housing, factories, bathhouses and even the first soviet crematorium and columbarium.
この新しいモスクワ地図はモスクワの前衛建築物のどんな遺産がどこにあるのかを示しています。180の最も素晴らしい構成主義建築のありかを示しています。ロシア構成主義の建築家のメーリニコフの邸宅やソ連財政委員会のビル(Narkomfin Building)から、シューホフ・タワーやレーニン廟まで世界的に有名な建築物もありますし、また同時に普通の住宅建築物や構成主義建築が並ぶ地域、モスクワ環状道路(MKAD)の内側の住宅群などのように、あまり知られていない建物まで掲載されています。この地図はソ連時代初期に作られた、ランドマークとなる前衛的な建築物を讃えています。労働者のクラブや学校、工場の食堂やガレージ、集合住宅や工場、大衆浴場やソ連最初の火葬場、遺灰を収容する納骨室なども含まれています。
Besides these 180 leading examples of Constructivist architecture in Moscow we included into the map some remarkable elements of Russian industrial art from the 1920s and 1930s.
これら180ものモスクワの主要なロシア構成主義の建築物に加えて、1920年代から30年代にかけてのロシアの工業美術の意匠も書き加えました。
For example, the patterns we used celebrate the work of Russian designers Lyubov Popova and Varvara Stepanova who helped pave the way for all modern day graphic designers as they created art with a purpose in hopes of bettering the society in which they lived.
たとえば、私たちが地図で使った模様はリュボーフィ・ポポーワやバーバラ・ステパーノヴァといったロシアのデザイナーを讃えたものです。彼女たちは自分たちが暮らす社会をよくするための芸術を創造することによって現代のデザイナーのために道を切り拓いたのです。
The four roundels also refer to Soviet textile and porcelain design of 1920-1930 and their propaganda capacities celebrating industrialization, electrification, collective farming and aeronautics, announcing an era of a new type of human, trained by the overall mechanization of everyday life. Besides that the map also includes very expressive lines from the collection of poems of one the most popular and outstanding proletarian poets of early post-revolutionary Russia Aleksei Gastev.
4つの円形パネルは1920年代から30年代にかけてのソ連のテキスタイルや磁器のデザイン様式です。それらはまた当時のソ連が進めていた工業化、電化、集団農場、航空学などを讃えるものでした。日常生活を機械化することによって新しいタイプの人類を創造し、新しい時代の到来を告げるものでした。さらに、地図には革命後の初期の時代に活躍した素晴らしいプロレタリア詩人であるAleksei Gastevの詩の一節が書き込まれています。
3) As a designer, what influenced you ?
Q あなたはデザイナーとして何から影響を受けましたか?
As a designer I was influenced by 2 things when I was working on this map. First of all, I’m deeply influenced by Constructivism, it’s concepts and aesthetics, I think it is the predominant feature of my work and it’s quite visible. Secondly, I can’t help taking the situation with the demolition of the Constructivist buildings personally, the same applies to the demolition of any cultural heritage I see no matter if it’s Russian or not. It is absolutely heartbreaking and it is really painful that there are not many things you can do about it. So I guess I was driven by this struggle for justice and desire to attract attention to the problem till it’s not too late, to save what can still be saved.
地図を作成しながら、デザイナーとして、私は2つのことから影響を受けました。まず、私は非常に深くロシア構成主義に影響を受けています。その思想と美学の両方からです。私のデザイン作品の中でもロシア構成主義の影響は大きく顕著に出ています。 次に、ロシア構成主義の建築物が消えゆくということを個人的に深く受け止めざるを得ないとうことです。これはロシア文化であろうとなかろうと関係なく、あらゆる文化遺産の消滅に関して言えることです。非常に心を痛めることですし、その現状に対してほとんど何もできないことはとても苦しいことです。ですから私は正義を求める闘いに引き寄せられますし、またこの問題に人々の関心を呼び起こしたいのです。それによって保存できる建築物を保存し、手遅れになることを未然に阻止したいのです。
※リトアニアに拠点を置くデザイナー集団,Baklazanasのウェブサイトに地図が掲載されている。特別に200部限定でシルクスクリーンで刷ったものもあるという。
http://baklazanas.com/thenewmoscow
Irina Goryacheva Russian designer
インタビュー 村上良太 Ryota MURAKAMI
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ウィキペディア 「ロシア構成主義(英語: Constructivism)とは、キュビスムやシュプレマティスムの影響を受け、1910年代半ばにはじまった、ソ連における芸術運動。絵画、彫刻、建築、写真等、多岐にわたる。1917年のロシア革命のもと、新しい社会主義国家の建設への動きと連動して大きく展開した。1922年のアレクセイ・ガン(Aleksei Gan)の『構成主義』が理論的基盤をもたらした。 その特徴は、抽象性(非対象性・幾何学的形態)、革新性、象徴性等である。平面作品にとどまらず、立体的な作品が多いことも、特徴の1つである。構成主義という言葉は、ナウム・ガボ(Naum Gabo, Наум Габо, 1890年-1977年)とアントワーヌ・ペヴスナー(Antoine Pevsner, Антуан ПевзнерまたはНатан Певзнер, 1886年-1962年)が、最初に使ったとされる。 ロシア構成主義に属するとされる主要な作家は、上記2名の他に以下のとおり。 ウラジーミル・タトリン(Vladimir Tatlin, Владимир Татлин, 1885年-1953年) アレクサンドル・ロトチェンコ(Aleksandr Rodchenko, Александр Родченко, 1891年-1956年) エル・リシツキー(El Lissitzky, Эль Лисицкий, 1890年-1941年) リューボフ・ポポーワ(Liubov S. Popova, Любовь Попова, 1889年-1924年) アレクサンドラ・エクステル(Alexandra Exter, Александра Экстер, 1882年-1949年) イワン・プーニー(Ivan Puni, Иван Пуни, 1892年-1956年) グスタフ・クルーツィス(Gustav Klutsis, Густав Густавович Клуцис) コンスタンチン・メーリニコフ(Konstantin Stepanovitch Melnikov, Константин Степанович Мельников), 1890年-1974年)
1920年代後半には、スターリンの下でソ連政府が保守化し、社会主義リアリズムが重視されて、ロシア構成主義は衰退した。これに伴って、一部の作家がソ連から西欧へ逃れたこともあり、遅くとも1930年代には、ロシア構成主義は、国際的に広まった。この段階においては、「国際的構成主義」と呼ばれることもある。また、1930年代の抽象絵画に与えた影響も大きい。」
■カイロの猫たちの記録( Cat in Cairo " The Beast ") Heather Hermit
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201710171914372 ■カイロの猫たちの記録( Cat in Cairo " The Beast ") 美猫コンテスト Heather Hermit
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201802122043351 ■カイロの猫たちの記録( Cat in Cairo " The Beast ") 死にかけていた子猫 Heather Hermit
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201802262245341
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転載について
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「モスクワのロシア構成主義建築map」
モスクワに現存するロシア構成主義の建築物をデザイン化して地図に盛り込んだ
地図のデテール。180もの建物が盛り込まれている力作。合間には美術工芸に使われたデザインが描き込まれており、まさにロシア構成主義美学の集大成とも言える地図だ
地図のデテール。1- Lenin's Mausoleum(レーニン廟) 41 - Melnikov House(建築家メーリニコフの邸宅) 45 - Narkomfin(ロシア財政委員会のビル)
地図のデテール。鉄線を格子状に組んだ双曲面構造のシューホフ・タワーが見える
地図の中心にある大きな円形メダル。180のロシア構成主義の建築が盛り込まれている
隅に付された円形メダルの1つ。これらには当時の美術工芸に使われたデザインを盛り込んだという
隅に付された円形メダルの1つ
隅に付された円形メダルの1つ
イリーナ・ゴリャチョーバさんがデザインしたシューホフ・タワーの保存を訴えるポスターの1枚。「シューホフ・タワーとは鉄線を格子状に組んだ双曲面構造の外観をもつ」(ウィキペディア) シューホフ・タワーの代表作は建築家のウラジーミル・シューホフが1922年に建設したモスクワの電波塔。しかし、解体の危機に瀕しているという。このポスターはTVの画像テストに使うチャートをデザインしており、「あなたはまだ見ることができる」と言う意味のロシア語を刻んでいる。
イリーナ・ゴリャチョーバさんがデザインしたシューホフ・タワーの保存を訴えるポスターの1枚
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