1994年の第2回アジア連帯会議でマレーシアの日本軍「慰安婦」の状況を報告し、「マダムX」と呼ばれた被害女性を支えていたマリア・チンさんが、2016年11月18日に逮捕され、現在、窓もない独房に入れられています。マリア・チンさんは現在、ブルシ(Bersih, マレー語で清廉・クリーンの意)の代表を務める著名な人権活動家です。とはいえ、マレーシアでいま、何が起こっているのか・・・。日本のマスコミ報道から具体的な状況を知ることは、ほとんどできません。そこで、緊急wam de cafeを開催することにしました。マレーシアのNGOと繋がりながら活動をしている方から話を聞く、貴重な機会です。どうぞ、ふるってご参加ください。 (アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」:wam)
ブルシは、公平で透明性のある選挙制度をもとめる幅広い市民運動で、大きな影響力を持ちつつあります。だからこそ、新たに制定されたSOSMA(「テロ行為防止と国家安全保障会議に関する法律」)で逮捕されたのでしょう。
https://www.bersih.org/
マリア・チンさんの即時釈放を求めてマレーシア市民社会が署名した文書の日本語訳を添付します。日本でも、現地の市民団体に連帯の意を表すために、団体署名を呼びかけることにしました。署名を頂ける団体は、英語の団体名も添えて、12月3日までにご連絡ください。 宛先:wam@wam-peace.org
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日時:2016年12月3日(土)15:00-16:30 場所:wamオープンスペース ゲスト:伊藤あさひさん 伊藤あさひさんは1990年代、PARCの職員の時からマレーシアの草の根支援運動を続けてきています。人権活動家に友人も多く、これまでも逮捕などの人権弾圧の度に働きかけをしてきました。マレーシアの政治と運動を知る数少ない日本人の一人です。
●参加費:入館料(500円)+カフェ代(100円) wam de cafeは準備の都合上、お申込をお願いしています。 スペースの関係上、先着20人程度となります。 申し込み先:wam@wam-peace.org ■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■
自分の国の政府による人権侵害が継続している国では、日本軍の「慰安婦」にされた被害を名乗り出ることはできません。とりわけ、ナジブ首相は防衛大臣だった1993年、日本軍「慰安婦」に関する調査を圧力をかけてストップさせた人です。そして今、多額(約800億円)の公金流用疑惑で窮地に立たされているなかで、人権活動家を逮捕。その直前の11月15日から17日までナジブ首相は訪日しており、安倍はナジブに大型巡視船をプレゼントしていました。
http://www.sankei.com/world/news/161113/wor1611130036-n1.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sea2/my/page4_002496.html
沖縄・高江で闘う人権活動家も逮捕されており、人権侵害はいずれの国でも深刻です。何から何までため息がでるほど不正義がまかりとおる世界のなかで、諦めずに、一つ一つの不正義に声をあげていきましょう。
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam) 東京都新宿区西早稲田2-3-18 AVACOビル2F 〒169-0051 t 03-3202-4633 f 03-3202-4634 wam@wam-peace.org URL:http://www.wam-peace.org/
【添付資料】マリア・チン・アブドラ即時釈放をもとめる声明に署名を
マリア・チン・アブドラは、マレーシアで透明で公正な選挙制度を求める運動、Bersih2.0(ブルシ、マレー語でクリーンという意味)の代表として、大規模なデモが行われる11月19日の前日、18日にSOSMA(新しく制定された治安維持法とも言える「テロ行為防止と国家安全保障会議に関する法律」)で逮捕されました。
マリア・チンは、マレーシアで20年以上にわたり女性の人権のために活動を続けてきた女性で、昨年、Bersih2.0の2代目の代表に昨年就任。Bersih2.0はマレーシアの市民団体やNGO、野党政党が集まって作られ、19日は5回目のデモを企画していました。マレーシアは、多民族国家としての統制を保つため、こうした市民活動やメディアに対しては非常に厳しい規制を続けてきています。今回は、現ナジブ首相自身の汚職問題が大きな問題となっており、危機感を強めた政府が、マリア・チンを象徴的に逮捕、拘束しました。同時期に、インターネットメディア、Malaysiakiniのオフィスも家宅捜索を受け、すべてのコンピュータを没収しています。
残念ながら、日本ではこうしたマレーシアの状況はまったく報道されませんが、マレーシアは現在の与党連合(BN)が1956年の独立以降、その権力を守るためにこうしたやり方を続けてきました。日本政府はこうしたマレーシア政府と良好な関係を続け、お互いの権益を守ってきたと言えるでしょう。
マレーシアの市民社会が呼びかけたマリア・チンの即時釈放を求める署名にぜひともご協力いただき、マレーシア市民社会とともに民主的な社会を実現していきましょう。
2016年11月26日 マレーシアの人権問題を考える会 アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)
団体署名集約先:wam@wam-peace.org 署名締切:2016年12月3日
署名抄訳
マリア・チン・アブドラさんの逮捕に抗議し、即時釈放をもとめます。
2016年11月18日、クリーンな選挙制度を求める市民団体‘Bersih2.0’(※1)の代表であるマリア・チン・アブドラ(旧姓 メアリー・チン)が悪名高いISA(国家治安法)を改めた新しい「テロ行為防止と国家安全保障会議に関する法律」(SOSMA)によって逮捕され、弁護士へのアクセスや家族との面会が極端に制限された状態で28日間拘束されることになった。悪名高かったISAと同様、裁判が行われることがない任意の逮捕であり、市民権および政治的権利に関する国際条約に違反するものである。
マリアが拘束されている場所も明らかにされていないが、窓もない独房で24時間の明かりのもとで拘束されていることが国家人権委員会によって確認されており、マリアの精神的肉体的苦痛に対し、私たちは深い憂慮を持っている。
11月19日は、憲法で約束された市民たちによるBersih5と呼ばれる大規模なデモが予定されており、それを阻止するために事前にマリア・チンを拘束した。2012年にSOSMAは制定され、テロリストに対してのみ行使されるもので政治的な思想信条を問題にすることはないとされていた。マリア・チンは明らかにテロリストではなくこの手法は、マレーシアの現首相であるナジブ氏が多額の公金を着服したという疑惑がもたれている‘1MDB’(※2)案件に関わる事を訴えようとした2名に対しても発動されており、ISAと同様に政府によって乱用されている。
19日は、マリアの逮捕にも関わらずマレーシアの首都クアラ・ルンプールにおいて、数々の妨害、特に与党UMNOに関連する右翼団体、赤シャツ(Bersihは黄色いシャツをシンボルにしている)による数々の挑発にも関わらず平和的で大規模なデモが行われたにも関わらず、市民運動の指導者や野党所属の国会議員たちを拘束している。これは、悪意(Mala Fide)による逮捕であり、憲法違反である。
 私たちは、マリアの無条件、即時釈放を求める。  私たちは、マリアの弁護士と家族への制限のない面会の機会を求める。  私たちは、拘束中のマリアの心身の健康に対する配慮を求め、必要な際の医療を施すことを求める。  私たちは、国家人権委員会が定期的にマリアを訪問し、彼女の人権と健康を確認できるよう求める。  私たちは、警視総監が専門的で透明性のある方法で法を執行することを求め、政府がSOSMAを即時、廃止することを求める。
(11月25日 現在、マレーシアの市民団体 80団体が署名)
※1 Bersih2.0 公平で透明性のある選挙制度をもとめる幅広い市民運動。Bersihは、マレー語でクリーンの意味。今回は5回目の大規模デモを企画、70日間に渡る全国キャンペーンを展開し、11月19日はその最終日となった。今回は、ナジブ首相の汚職問題をきっかけに、ナジブ政権の退任をせまるマハティール元首相も参加し、政治的色合いが強くなった。
※2 1MDB(1 Malaysia Development Berhad)問題 1MDBは100%政府出資による開発会社。最初にサラワク・レポートが使途不明金問題を告発。その後、マハティール元首相がこの公社のプロジェクトに関し、再三に渡り不透明な事業内容に関し発言し、メディアにて取り上げられ問題が大きくなった。その後、2015年にWSJ (ウォールストリートジャーナル)がナジブ首相の個人口座にRM26億の入金があったこと報じた。マレーシア不正取引防止委員会(The Malaysian Anti-Corruption Commission)は、26億リンギットが、1MDBからの不正資金ではなく、とある個人からの寄付によるものとしたが、多くの人が首相に不正疑惑に対して反旗を翻し更迭され、マレーシアの政治と経済はかなりの混乱に陥っている。
English version
We, the undersigned civil society organisations, strongly condemn the detention of Bersih 2.0 chairperson Maria Chin Abdullah on 18 November 2016 for 28 days under the new ‘Internal Security Act’ – the draconian Security Offence (Special Measures) Act 2012 (Sosma). We reiterate that the rights to freedom of peaceful assembly and freedom of expression of the people are guaranteed by the Federal Constitution. The Bersih 5 rally had been very peaceful and conducted without any untoward incident despite repeated violence and provocation from the red shirts before the rally. The police action in arresting leaders of civil society movements and opposition parties before they could exercise their constitutional rights is not only mala fide but also a blatant abuse of power in violation of the Federal Constitution. We are further outraged with the use of the draconian Sosma against Maria Chin Adullah. When Sosma was legislated in 2012 to replace the infamous ISA which was abolished after widespread opposition from the people, the government assured the public that the new legislation that gave extensive powers to the police would only be used against terrorists and that “no person shall be arrested and detained for his or her political beliefs and activities.” Those members of parliament that ignored the criticism of civil society and passed the law should now be held accountable. Clearly, Maria Chin Abdullah is no terrorist. The use of Sosma against Maria Chin Abdullah to stop her from leading the Bersih 5 rally and previously against Khairuddin Abu Hassan and Matthias Chang to stop them from lodging complaints of corruption in 1MDB overseas have proven that when such powerful legislation is given to the government, it will not hesitate to use it to cover up abuse of power and corruption in government. We reiterate our concern that the prolonged 28 days of detention under Sosma with limited access to legal representation and family is a blatant violation of international human rights laws. The International Covenant on Civil and Political Rights provides that no one should be subject to arbitrary arrest and detention and that anyone arrested or detained on a criminal charge shall be brought promptly before a judge or other officer authorised by law to exercise judicial power and shall be entitled to trial within a reasonable time or to be released. The 28 days of prolonged detention without judicial oversight and disallowing detainees from having access to lawyers and family members will only facilitate the practice of torture, either mental or physical or both. We condemn the use of a secret detention place by the police in detaining Maria Chin. The use of secret detention centres is totally unacceptable in a civilised society. All detention centres must be made public and subject to public scrutiny to ensure that they are operated in accordance with the law and the rights of detainees. We are therefore extremely concerned with the mental and physical wellbeing of Maria Chin Abdullah, who is being held in solitary confinement in a cell with no windows and where the lights are kept on 24 hours. Such a detention environment is inhumane and constitutes a form of torture under international human rights law.
 We demand the release of Maria Chin Abdullah immediately and unconditionally.  We demand that Maria Chin Abdullah have unlimited access to lawyers and her family members while under detention.  We demand that the authorities preserve and ensure the mental and physical wellbeing of Maria Chin Abdullah while in detention and that she is accorded prompt medical treatment when required.  We call on the National Human Rights Commission to visit Maria Chin Abdullah regularly at the secret detention place to ensure her rights and wellbeing.  We call upon the inspector general of police to be more professional and transparent in upholding the law and demand that the government abolish the draconian Sosma.
Endorsers: 1. Akademi Belia 2. All Women’s Action Society (Awam) 3. Anak Muda Sarawak (AMS) 4. Angkatan Warga Aman Malaysia (WargaAman) 5. Article 19, London, United Kingdom 6. Association of Women Lawyers (AWL) 7. Baramkini 8. Bersih Sibu 9. Center for Orang Asli Concerns (COAC) 10. The Centre to Combat Corruption & Cronyism (C4) 11. Council of Churches of Malaysia (CCM) 12. Engage 13. G25 14. Greenfriends Sabah 15. Institut Kajian Dasar (IKD) 16. Islamic Renaissance Front (IRF) 17. Japan Graduates Association, Malaysia (Jagam) 18. Jaringan Orang Asal SeMalaysia (JOAS) 19. Jaringan Rakyat Tertindas (Jerit) 20. Jawatankuasa Bertindak Kuala Lumpur Tak Nak Insinerator 21. Jihad for Justice 22. Johor Yellow Flame (JYF) 23. Kuala Lumpur and Selangor Chinese Assembly Hall (KLSCAH) 24. Kuen Cheng Alumni Association 25. Kumpulan Aktivis Mahasiswa Independen (Kami) 26. LLG Cultural Development Centre (LLG) 27. Malaysians Against Death Penalty and Torture (Madpet) 28. Malaysian Indians Progressive Association (Mipas) 29. Malaysian Indians Transformation Action Team (Mitra) 30. Malaysian Network of Engaged Buddhists 31. Malaysian Physicians for Social Responsibility (MPSR) 32. Malaysia Youth & Students Democratic Movement (Dema) 33. Malaysian Youth Care Association (Prihatin) 34. Mama Bersih 35. Muslim Professionals Forum (MPF) 36. National Indian Rights Action Team (Niat) 37. Negeri Sembilan Chinese Assembly Hall (NSCAH) 38. One Race – Human Race 39. Oriental Hearts and Mind Study Institute (OHMSI) 40. Partners of Community Organizations in Sabah (Pacos Trust) 41. Pemuda Sosialis 42. People Welfare And Rights Organisation (Power) 43. Perak Women for Women Society (PWW) 44. Persatuan Aliran Kesedaran Negara (Aliran) 45. Persatuan Alumni PBTUSM Bahagian Utara 46. Persatuan Alumni PBTUSM Kuala Lumpur dan Selangor 47. Persatuan Bekas Siswazah Universiti dan Kolej di China, Malaysia (LiuHua) 48. Persatuan Kesedaran Komuniti Selangor (Empower) 49. Persatuan Masyarakat Sel dan Wilayah Persekutuan (Permas) 50. Persatuan Meditasi Prajna Kuala Lumpur & Selangor 51. Persatuan Penganut Buddha Bodhi Kuala Lumpur (PPBBKL) 52. Persatuan Rapat Malaysia (Rapat) 53. Persatuan Sahabat Wanita, Selangor (PSWS) 54. Pertubuhan IKRAM Malaysia (Ikram) 55. Pertubuhan Pembangunan Kebajikan Dan Persekitaran Positif Malaysia (Seed) 56. Projek Dialog 57. Pusat Komas 58. Raub Ban Cyanide Action Committee (BCAC) 59. Sabah Women’s Action Resource Group (Sawo) 60. Sahabat Rakyat 61. Sarawak Access (Saccess) 62. Save Open Space, Kota Kinabalu, Sabah 63. Saya Anak Bangsa Malaysia (SABM) 64. The Society for the Promotion of Human Rights (Proham) 65. Student Progressive Front USM 66. Student Progressive Front UUM 67. Sunflower Electoral Education Movement (Seed) 68. Sisters in Islam (Sis) 69. Suaram Malaysia 70. Tenaganita 71. Teoh Beng Hock Trust for Democracy 72. Tindak Malaysia (TM) 73. USM Tionghua Language Society 74. We Are Malaysians 75. Women’s Aid Organisation (WAO) 76. Women’s Centre for Change (WCC) 77. Women Development Organisation of Malaysia PJ branch 78. Writer Alliance for Media Independence (Wami) 79. Vajrayana Buddhist Council of Malaysia 80. Young Buddhist Association of Malaysia (YBAM)
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