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2016年11月30日15時39分掲載
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政治
憲法審査会は嘘臭くてたまらない 根本行雄
11月16日、参院憲法審査会(柳本卓治会長)は今年2月以来、9カ月ぶりに審議を再開した。自民党の中川雅治氏は9条について「自衛隊の位置付けが明確でなく、自衛権の否定ともとられかねない」と述べ、改正が必要との認識を示した。これに対し、民進党の白真勲氏は「現行憲法を正しく評価し、守ることが今、求められている」と表明した。11月17日、衆院憲法審査会(森英介会長)は参院憲法審査会に続いて審議を再開した。実質審議は昨年6月以来、1年5カ月ぶり。自民、民進、公明、共産、日本維新の会、社民の6会派が「憲法制定経緯」をテーマに意見表明し、その後に自由討議を行った。国会の議論には茶番劇のような嘘臭さがぷんぷんしている。
憲法審査会が再開した。この間の流れを、毎日新聞の記事から引用する。
11月16日、参院憲法審査会(柳本卓治会長)は今年2月以来、9カ月ぶりに審議を再開した。自民党の中川雅治氏は9条について「自衛隊の位置付けが明確でなく、自衛権の否定ともとられかねない」と述べ、改正が必要との認識を示した。これに対し、民進党の白真勲氏は「現行憲法を正しく評価し、守ることが今、求められている」と表明した。
11月17日、衆院憲法審査会(森英介会長)は参院憲法審査会に続いて審議を再開した。実質審議は昨年6月以来、1年5カ月ぶり。自民、民進、公明、共産、日本維新の会、社民の6会派が「憲法制定経緯」をテーマに意見表明し、その後に自由討議を行った。 現行憲法の制定過程について自民党の中谷元(げん)氏は「連合国軍総司令部(GHQ)の関与の事実ばかりを強調すべきではないという意見を考慮する」と述べ、同党内に根強い「押し付け憲法」論を前提に議論することはないという見解を表明した。改憲項目の絞り込みに関しても「改正ありきではなく、改正の要否の観点から議論する」と各会派の合意形成を重視する姿勢を示した。
11月24日、衆院憲法審査会(森英介会長)は各党が立憲主義などをテーマに議論を交わした。民進党は、2012年の自民党憲法改正草案について「立憲主義に反し、憲法を統治の道具のごとく考えている」と批判し、改めて撤回を求めた。
□ 憲法違反の安倍政権
「押し付け憲法論」も、「立憲主義」も、ずいぶんと鮮度が落ちている。すでに、議論は尽くされており、国会での議論の内容は形骸化している。 なぜなら、自民党、安倍政権が数の論理で「安全保障関連法」(戦争法)を成立させているからである。「安全保障関連法」とは憲法に違反する「集団的自衛権の行使」を容認するものである。だから、憲法を遵守する義務を果たさない総理大臣や閣僚らが憲法に違反していることは明々白々のことだ。今さらという気がする。
しかし、自民党、安倍政権は、やはり、解釈改憲ではなく、明文改憲をしたいのだろう。「泥棒にも三分の理」ということわざがあるが、自民党、安倍政権は「泥棒にも十割の理」という鉄面皮の論理を推し進めようとしているのだ。 自民党、安倍政権が次に狙っているのは、「緊急事態条項」の成立だ。災害などの緊急時に、国民の基本的人権の一部である私権の制限したり、内閣の権限を強化し、集中化させる法律である。そして、基本的人権よりも治安維持(権力維持)が優先する社会、戦前のような社会を再構築することを目的にしているのである。 だから、憲法審査会の議論には、茶番劇のような嘘臭さがぷんぷんしている。
□ 駆け付け警護
「安全保障関連法」によって、すでに、自衛隊は「駆け付け警護」することになっていた。11月15日には南スーダンの陸上自衛隊に新任務「駆け付け警護」を付与することが閣議決定され、11月21日、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加し、新任務の「駆け付け警護」と「宿営地の共同防護」に対応する陸上自衛隊11次隊の先発隊が南スーダンの首都ジュバの空港に到着した。新任務は12月12日から適用される。11次隊の約350人のうち先発隊約130人は民間航空機2便に分かれてジュバ入り。このうち第1便に乗った隊員60人余りは21日昼前(日本時間21日夕)到着。第2便は21日午後、到着した。 自衛隊員が「駆け付け警護」の任務中に、負傷したり、死亡したりすることがないように祈るばかりだ。
□ 憲法24条改正論議
日本国憲法 第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない。
自民党の改憲草案では、日本国憲法第24条に「家族は社会の基礎的単位」であり、「互いに助け合わなければならない」と書き加えている。 自民党の改憲草案は『助け合い』の名で家庭の責任を女性に押しつけるものである。改憲派の人々は、基本的人権を確立するのではなく、『尊重』しているという内容の現在の「日本国憲法」にも不満を抱いている。そして、戦前の、国家権力が専横を極めた時代にあこがれている。 家族のあり方に国権力が介入するのは基本的人権の侵害であり、個人の人権の確立を基礎とする近代憲法の精神とは相いれないものである。自民党、安倍政権が目指しているのは、基本的人権よりも国家の安寧秩序が最優先する社会の建設である。それは「立憲主義」と矛盾するものである。彼らの憲法論議は口実づくりにすぎない。最後は、「数の論理」で押し切るからだ。彼らは公論を形成するという国会の役割、「議論」の精神を尊重してはいない。自己の権力を維持し、正当化することばかりにやっきになっているのだ。
国政選挙については「一票の格差」という問題があるが、衆議院選挙こそは完全な比例代表制にすべきだと思う。得票数に比例しない議席数は主権者である国民の意思を反映していないからである。自民党、安倍政権は3分の2以上の国民の支持を得てはいない。 今では、日本列島はすっかり地震列島になってしまった。ゆっくりと着実に、大崩落が待っている。
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