香港政府は、9月に行われた香港議会選挙で当選した独立派の2名の議員資格をはく奪しましたが、12月2日には民主自決派や社民連の4人の議員の資格はく奪をねらって香港高裁に申し立てを行いました。
その後、12月9日に、香港政府のトップの梁振英行政長官は、来年3月の行政長官選挙には立候補しないことを表明しました。これは雨傘運動をはじめとする香港市民のたたかいの一定の成果ですが、中国政府も梁振英の統治には不満だったことが最大の理由です。
12月10日には、香港政府から議員資格はく奪を申し立てられた4人の議員らを中心に抗議行動が呼びかけられました。
https://www.facebook.com/siulai.hk/posts/716269708550075
以下は、香港独立媒体に掲載された論評の翻訳です。
原文はこちら
http://www.inmediahk.net/node/20161209a
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今日、雨傘運動の意義をあらためてかみしめる 2016年12月9日 李華度
二年前の二日後(2014年12月11日)は、金鐘(アドミラリティ)のオキュパイが排除され、その四日後には最後の拠点、銅鑼湾(コーズウェイベイ)のオキュパイが排除され、雨傘運動は終了した。
二年後の今日、行政長官の梁振英は来年の長官選挙に立候補しないと表明した。家族との時間を大切にしたいからだという。それが単にいいわけで、本当の理由は、この五年の任期のあいだの業績を中央政府が認めなかったからだということは、誰もが知っている。
今日この日、79日間の雨傘運動は徒労ではなかったと、やっと大きな声でいうことができる。雨傘運動がなければ今日という日もなかったからである。
香港議会選挙から今日までの2か月を振り返ると、全人代の基本法解釈によって、梁頌恆、游恵禎の二人の議員資格が取り消され、それに対する控訴も却下された。その後、羅冠聡、劉小麗、姚松炎、梁國雄の4人の議員資格に対する攻撃が行われている(訳注1)。わたしたちはこのような強権政治に対して反撃できない無力感に襲われた。武闘派[本土派=独立派]の梁天?と黄台仰も「深く潜る」という路線を選択するしかなかった。
雨傘運動の後、わたしたちは失望、意気消沈し、結局は大きく騒いでも梁振英を打倒することができず、雨傘運動の集会主催者を責めたて、運動の急進化の遅れを責め立て、行動があまりに「平和的、理性的、非暴力」過ぎると責め立て(訳注2)、批判合戦がおこなわれ、互いに理解することができず、互いに攻撃しあった。
梁振英は、催涙弾をつかい、ピストルを市民に向けて狙いをつけたことで、数十万の市民をオキュパイに立ち上がらせた。これはすべての潮流の香港市民にとって忘れることのできない情景であった。雨傘運動は、さらに多くの香港市民が民主化運動に参加することを目覚めさせた。梁振英は強行路線でそれに対応するだけで、社会全体が分裂し、親中派陣営でさえも深く分裂した。この二年のあいだ、市民の抵抗は凋落傾向にあったにもかかわらず、政府の抑圧はいぜん空前の規模であった。
一回や二回の行動では成果を得ることはできないことは、武闘派の本土派でさえも認識している。「効果、成功、成果」は往々にしてすぐには現れないものだが、その行動は一年後、あるいは数年、ひいては十年後にやっと、その成果が表れるものである。
今日、梁振英は任期終了後に退任することを選択した。もし雨傘運動がなければ、梁振英はとっくに次期も引き続き行政長官の地位に居座ることができであろうということは、誰もが考えるところである。かれが次期行政長官選挙に立候補しないただ一つの理由は、中国政府と親中派政党がこの五年間の梁振英統治下の香港の状況に満足していないからである。
雨傘運動は今日から2年前の六日後(2014年12月15日)に収束したが、今日、私たちは雨傘運動に参加し、奮闘したことを改めてかみしめ、そして喜びを分かち合いたいと思う。
今日の2日後には選挙委員会の選挙があり、来年3月には行政長官選挙が行われる(訳注3)。はっきりと認識すべきは、梁振英の退任だけでは、中国が香港を全面的にコントロールする状況は変わらないということだ。今回の勝機に乗じてわれわれがなすべきことは、まずは別の梁振英を当選させないということであり、最終的な目標は、この不公正な制度全体を変革するということである。
訳注1:香港政府が香港の最高裁に対して、4人の議員宣誓の内容が基本法に違反しているとして議員資格の停止を求める訴えを12月2日に起こした。
訳注2:現座の本土派=独立派が雨傘運動の期間中に雨傘運動を牽引した学聯が軟弱すぎると批判していたことを指す。
訳注3:行政長官は間接選挙で選ばれる。まず業界団体ごとに振り分けられた1200人の選挙委委員を選出するが、この選挙委員選挙に投票できる有権者数は25万人に満たない。
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