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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2016年12月21日02時40分掲載
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文化
なぜ闘士たちの姿をコラージュで作るのか 美術家ムスタファ・ブータジン氏に聞く Interview : Mustapha Boutadjine
ムスタファ・ブータジンという美術家の存在を知ったのはパリのコリーヌ・ボネ画廊との関わりからでした。「抵抗のコラージュ」という個展が開かれたからです。名前から想像がつく通り、ムスタファ・ブータジン氏はアルジェリア生まれで現在、パリで活躍しています。その作品はすべてコラージュで、描かれるのは闘士ばかりです。
たとえばアルジェリアの独立のために戦ったジャミーラ・ブーパシャ(Djamila Boupacha ,1938- )です。彼女はアルジェリア独立闘争のさなか、1959年にアルジェで起きた爆弾テロ未遂事件の容疑者として逮捕されました。アルジェリア民族解放戦線 (FLN) のメンバーだったのです。彼女は無罪を主張しますが、電気ショックや性器への危害など凄惨な拷問を受けました。FLNの顧問弁護士ジゼル・アリミ(Gisele Halimi,1927-) 氏が面会して弁護活動を始め、哲学者のシモーヌ・ド・ボーヴォワ―ル(Simone de Beauvoir、1908- 1986)や作家のフランソワーズ・サガン(Francoise Sagan、1935 - 2004)らと国際的な救援活動を行います。この事件こそ、アルジェリアの独立をフランスの世論が支持するようになるきっかけとなったと言われています。こうした闘士をずっとコラージュで象って来たという美術家のブータジン氏。その創作の原点はどこにあるのかお聞きしました。
(以下はブータジン氏へのインタビュー)
1) Vous habitez a Paris ? Que pensez-vous de Paris ?
Q あなたはパリに住んでいるのですか? パリについてどうお考えですか?
Oui, j’habite Paris depuis 1970. C’est une ville pleine de bobos et gouvernee par des socialistes. Malgre tout c’est toujours une belle ville avec des lieux populaires agreables a vivre, ou le partage et la solidarite existent encore.
ええ、私はパリに住んでいます。1970年からです。パリにはボボ(左翼の中流階層)がたくさんいて、社会党員たちによって統治されています。なんであれ、パリはいつも美しい町です。人気があって暮らすには心地よいところです。パリには分かち合う精神と連帯の心が今でも存在するんです。
2) Comment et quand avez-vous trouve votre style ?
Q いつ、どのようにして画風を発見されたんでしょうか?
Ma technique de graphisme-collage est singuliere depuis les annees 70. Je dechire la presse bourgeoise pour creer des images plus engagees.
僕のテクニックはイラストとコラージュを組み合わせたもので、1970年以来ずっとこれだけを僕はやっているんです。ブルジョワの新聞雑誌を引き裂いて、もっと社会にコミットした人々の姿に再創造しているんです。
3) Quand vous etiez etudiant, quels tableaux avez-vous crees ? Comment avez-vous evolue comme artiste ?
Q 学生時代はどんな作品を作っていたんですか? 芸術家としてはどう発展されたのでしょうか?
Des images completement decalees pour denoncer le systeme. Ma technique a evolue, mes idees restent les memes. Mes images servent a la prise de conscience, a reecrire une autre histoire, qui est occultee par la " presstitution ".
社会のシステムを告発するために明快な絵を描いていました。僕の思想に変化はありませんが、作品は進化しています。僕の作品は見る人の意識をつかまえ、真実の歴史を再創造するのです。偽りの歴史が生まれるのは"presstitution"のためです。
Q ” presstitution”?
Q ”presstitution”(プレスティテューション)とは?
Prostitution de la presse
新聞の売春行為です
Q Que ca signifie ?
Q それはどういう意味ですか?
Des putes de l'ecriture (avec tout le respect pour les vraies putes) qui sont au service des grands medias qui nous abreuves de mensonges tous les jours.C'est un terme americain.
ペンによる売春です。(僕は本当の売春婦たちには敬意を示しています) 報道による売春行為はマスメディアで行われていることであり、記者たちは毎日嘘を大量に垂れ流しています。この言葉は実はアメリカの言葉なんですよ。
4) Que pensez-vous sur les attentas contre Charlie Hebdo ?
Q 風刺媒体のシャルリエブドが襲撃された事件についてどうお考えですか?
J’ai perdu deux amis proches, Charb et Tignous, mes vrais potes, mais je ne sais pas qui les a assassines.
シャルリエブドの事件では二人の親しい友人を失いました。シャルブとティ二ウスです。本当の仲間でした。でも誰が彼らを殺したのかわかりません。
5) Pourriez-vous ecrire sur vous en quelques lignes ?
Q ご自身を短く言葉で表現するとしたら?
J’aime les whiskys ecossais, irlandais et, dernierement, japonais.
僕はスコッチウイスキーとアイリッシュウイスキーが好きです。それに最近では日本のウイスキーも好きなんです。
6) Pourriez-vous parler des livres et des films que vous aimez ?
Q 好きな本や映画について教えていただけますか?
Mon livre de chevet s’intitule les "Damnes de la terre " de Frantz Fanon. Mon film prefere est " La Bataille d’Alger " de Gillo Pontecorvo.
僕の枕頭の書はフランツ・ファノン著「地に呪われたる者」です。僕の好きな映画はジッロ・ポンテコルボ監督の「アルジェの戦い」です。
7) Pourriez-vous parler de la photo danslaquelle vous etiez devant la Place de l'etoile avec le drapeau de Cuba.
Q 凱旋門前でキューバ国旗を手にした写真を拝見しましたが、なぜ あそこでキューバ国旗を手に写真を写したのですか?
Je suis venu avec mon drapeau cubain pour saluer Raoul Castro qui est venu a Paris a la Place de l'etoile ce jour la. Cette photo a ete prise par l'agence AFP
ラウル・カストロがパリに来たとき、僕もキューバ国旗を持って敬意を表すためにエトワール広場に行ったんです。写真はその時、AFPのカメラマンが撮影してくれました。
Cuba c'est David contre Goliath Cuba un foyer de resistance persistant a l'imperialisme yankee mais aussi la solidarite du peuple cubain avec les autres peuples colonises et humilies. Cuba c'est la resistance, la dignite et la solidarite.
キューバは「ダビデとゴリアテ」の神話にたとえると(巨人ゴリアテに立ち向かった)ダビデなんです。キューバはアメリカ帝国主義に立ち向かって闘い続ける人たちの砦です。そしてまた世界の植民地で暮らす人々や辱められた人々とキューバは連帯しているんです。キューバは抵抗であり、尊厳であり、連帯なんです。
Mustapha Boutadjine
※http://newsarttoday.tv/expo/mustapha-boutadjine-galerie-corinne-bonnet/ MUSTAPHA BOUTADJINE GALERIE CORINNE BONNET 08/09/2015 - 26/09/2015
Interview Ryota Murakami 村上良太
■画廊主コリーヌ・ボネ氏 Corinne Bonnet(la galerie Corinne Bonnet) 芸術家と今の世界 Artists and the world
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201602231840342
■『思い出の将軍』 (Memory of the general, Vo Nguyen Giap) 石垣巳佐夫 (Misao Ishigaki, news cameraman of Nihon Denpa News)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201310151918552 ■ベトナム戦争中のハノイから ( From Hanoi in the Viet Nam war ) 戦場カメラマン石垣巳佐夫氏 Misao Ishigaki, news cameraman of Nihon Denpa News.
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201011102243453 ■女性自爆テロリストを妻に持った男の旅路 ヤスミナ・カドラの小説「テロル」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201502032350512 ■テレビ制作者シリーズ11 「報道のお春」吉永春子ディレクター 村上良太
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201004081911144
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アルジェリア独立の闘士、ジャミーラ・ブーパシャ(Djamila Boupacha, 1938- )を象ったムスタファ・ブータジン氏のコラージュ作品。彼女が手にしているのはピカソが彼女を描いたデッサン
哲学者、シモーヌ・ド・ボーヴォワール。サルトルとともにアルジェリアの独立を支援した。(Simone de Beauvoir、1908- 1986)
美術家ムスタファ・ブータジン氏 Mustapha Boutadjine(🄫Galerie Corinne Bonnet)
コリーヌ・ボネ画廊の画廊主のボネ氏と。2015年9月に「抵抗のコラージュ」と題する個展を開催した。後ろはメキシコ革命の指導者エミリアーノ・サパタを象った作品(🄫Galerie Corinne Bonnet)
アウシュビッツ強制収容所に送られたジプシーの女性を象った作品.「抵抗のコラージュ」展から。この個展では人権のために闘ったすべての抵抗者に感謝の意を捧げた。(🄫Galerie Corinne Bonnet)
2015年、コリーヌ・ボネ画廊で。画家のミシェル・クアレス(Michel Quarez)氏がブータジン氏をこの画廊に連れてきたのが個展のきっかけだったという。(🄫Galerie Corinne Bonnet)
フィデル・カストロを象ったブータジン氏の作品。(Fidel Castro, 1926 - 2016)
凱旋門の前でキューバ国旗を掲げるムスタファ。キューバにはあふれる思いがあるのだという。
ベトナム独立の指導者、ホー・チ・ミンを象ったコラージュ作品。(Hồ Chí Minh / 胡志明, 1890 - 1969)
シリアの詩人アドニス (Adunis, 1930- )イスラム世界の詩人だが、イスラム原理主義に対抗する立場に立って言論活動を行っている
アルジェリアの作家、ヤスミナ・カドラ(Yasmina Khadra,1955- )。現在、イスラム世界で起きている自爆テロや原理主義などアクチュアルなテーマに取り組んでいる。アルジェリアの内戦時代、軍の指揮官だったが、妻の名前を使って執筆をつづけていた。
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