どうせ外国料理の勉強をするなら、語学も合わせてできると理想的ですね。料理文化の数だけ料理番組のインターネット映像サイトも増えていて、もちろん英語のネット番組も百花繚乱です。ただ英語圏というと、一般に料理はまずい、という常識があります。
しかし、今回ここで紹介するアメリカのシェフ、エメリル・ラガス(Emeril Lagasse)が得意としている料理は南部の都市、ニューオリンズの伝統料理をベースにしたものです。つまり、かつてフランスの植民地であったがゆえにフレンチがベースになっており、それだけでなく、アフリカやカリブ海周辺の黒人の食文化なども溶け合い、豊かな味わいがあります。ケージャン料理とか、クレオール料理とか呼ばれているようですが、ラガスは「ニュー・ニューオリンズ」スタイルと呼んでいるそうです。
これはラガスの料理番組の1つです。フェタチーズを乗せたローストポテトです。シンプルなハンバーガーとフライドポテトばかりがアメリカ料理ではありません。中高年の男ばかり5人がラガスの料理のレクチャーを受けつつ、料理を味わっています。
https://www.youtube.com/watch?v=IrOQle10X7Y エメリル・ラガスはニューオリンズ出身のシェフでTVの料理番組などでも活躍しています。ラガスの両親はポルトガル人の母とケベック人(フランス系カナダ人)の父で欧州の文化を生まれながらに持っており、もともと欧州テイストが土壌にあるニューオリンズにマッチしているのでしょう。
アメリカの南部と言うと奴隷肯定派だった州として今一つイメージがよくないところもありますが、北部の資本主義陣営であるヤンキーに戦争で敗れたという意味では日本と米南部はよく似ていると見る米文学者も日本にはいます。アメリカの南部にはまだまだ未紹介の、あるいは紹介されていてもあまり知られていない文化が豊富にあります。
こちらの映像ではラガスはテキサスのチリ料理を披露しています。惜しみなくビーフを用い、そこにスパイスを複数使用しています。地場のテキサス産ビール「シャイナー・テキサス」も使います。これを見ても南部の料理は豊かだな、と感じられます。特にテキサスのビーフはご当地の自慢でしょう。チリ料理と言えば隣接するメキシコ料理の影響でしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=lL9C70DItUA 一方、こちらはラガスがシェフのジュリア・チャイルドをスタジオに招いた時のものです。独特の活舌のジュリア・チャイルドはアメリカでフランス料理の啓蒙活動をしたシェフで、「フレンチクッキング(フランス料理)」という著名な本を書いています。ジュリア・チャイルドも料理番組を多数手がけてきたTV番組の司会者でもあり、自分の番組で過去にラガスを紹介しています。このショーでもラガスが先輩格のチャイルドに敬意を払っているのが感じられます。ここではシンプルなハンバーグを作っていますが、二人のやり取りに愛情と尊敬が感じられて味わい深いものがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=d6ugR74z9M8 こちらの映像はジュリア・チャイルドが司会する番組の中でまだ若い頃のエメリル・ラガスを紹介しています。アメリカという国は移民の国であり、様々な文化が溶け合っています。ここで披露している「エトゥフェ」(Etouffee)は野菜や魚介類を使うスパイスのきいたケイジャン風シチューで、ここでは贅沢にエビを使っています。ここでもたっぷりビールを使うのが印象に残りますね。二人は番組の中でさらに豪快にドラム缶風の大なべにトウモロコシやアーチチョークなどをぶちこんで煮ました。そして茹でたザリガニを美味そうに手づかみで食べています。
https://www.youtube.com/watch?v=oyvVWEGUKWg
村上良太
■英語と料理の勉強が同時にできるyoutubeチャンネル シェフ・ジョンのFood Wishes シリーズ
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201608211826480
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