今、ドイツを始め、欧州連合各地でムスリムの難民に対する警戒心が強まり、排外主義勢力も力を増しています。しかし、その一方で市民による難民支援運動も続けられています。ここで紹介するのはパリで今、行われている1つの支援運動です。以下のレポートはフランス人のレジャーヌ・ボワイエ(Rejane Boyer)さんによるものです。レジャーヌさんによると、パリのメトロのジョレス駅近く(パリ市内北東部)で「紅茶と珈琲を難民に」(The et Cafe pour les refugies)と称する運動が起きているそうです。
Boyer " C'est un collectif de personnes qui ont eu envie de bouger pour "soulager" les refugies qui sont dehors a Paris quelque soit le temps. Ils sont epaules par des associations qui leur donne des vivres (manger). On peut participer financierement a la cagnotte ou aider a la preparation et a la distribution tous les jeudis soirs. Chacun se debrouille comme il peut pour leur venir en aide."
ボワイエ 「これはパリ郊外の難民に安らぎを与えるために何か行動したいと思った人々が集まって起こした支援活動です。『紅茶と珈琲を難民に』の運動は食料を提供してくれる他のいくつかの支援団体に支えられています。毎週木曜日の夕方に食料を難民に配りますが、賛同する市民は資金カンパをすることができますし、あるいは支援の準備活動や食料配布の作業にも参加できます。みな自分の可能な範囲でやってきて難民支援活動に参加することができます」
この活動が行われているメトロの「ジョレス」駅というのは、パリの10区と19区の境目にあり、近くには有名なサン・マルタン運河があります。もともとこの周辺は移民の多い地区ですが、このジョレス駅前はアフリカや中東からの難民が寝泊まりしていた場所です。BBCの昨年11月の記事によると、スターリングラードやジョレス駅前のテント村が市警察によって撤去され、難民およそ3000人が立ち退きを求められたということです。(パリ市は難民に収容施設を用意しているとされています)今回の支援運動はこのパリ市当局による難民撤去措置と関係していると思われます。
Q BBCの記事によるとパリ市はスターリングラード駅前やジョレス駅前のテント村から難民を退去させる際に、収容施設に誘導したとされますが、「収容施設」というのはどこにあるんですか?
Boyer "Les Centres ou sont envoyes les migrants sont dans toute la France. Ce ne sont pas toujours des centres. Cela peut etre des chambres d'hotels ou ils logent a 2 ou 3, completement isoles. .. D'ou la difficulte car leur dossier est traiter a Paris. Si les refugies sont a 800 kms ils sont laisses un peu a l'abandon. Ils n'ont pas d'aide pour des cours de Francais, d'aide pour lire et analyser leur courriers. Seulement de quoi manger en allant au Resto du Coeur. ... Ils sont abandonnes, livres a eux meme alors qu'ils ne parlent pas tous francais. MSF a denonce le demantelement des tentes. "
ボワイエ「収容施設というのは難民が送られる場所で、フランス各地にあります。といっても必ずしも『収容施設』みたいな施設ばかりではありません。たとえばホテルの空き部屋を2つ、3つ使用するケースもあります。それらはまったく孤立した場所にあります。難民たちがそうしたところに行くのは難しい事情があります。というのも、彼らのための書類はパリで処理されるからです。もし、パリから800キロも離れた施設に収容されたら、ほとんど放置されたままになってしまいかねません。収容される彼らにはフランス語の講義を受ける機会もなく、読んだり手紙を分析したりするために手助けしてくれる人もいません。ただ、ホームレス支援の食堂に行って食事にありつくというだけでしょう。つまり、置き去りにされてしまうのです。フランス語の話せない彼ら自身で道を切り開かなくてはならなくなってしまいます。テント村の解体については国境なき医師団も非難しました。」
ということで、テント村を撤去させた後にセンターに護送されると聞くと、難民収容の大きな施設がどこかに作られているのかと思いましたが、必ずしもそうではなくて既存の施設に分散されて送られて難民申請その他の法的な処理を終えるまで待機ということになるようです。そうした人が北部の難民のテント村のあるカレーとパリのジョレス駅前を単純に合計しただけで1万人近くに上ってしまいます。彼らを町で受け入れるのか、どこかに送り返すのか、いずれにしてもなかなか難しい事態が続きそうです。詳しい情報が入れば追って紹介します。
un collectif de citoyens humanistes Rejane Boyer Ryota Murakami
※写真提供「紅茶と珈琲を難民に」 photos The et Cafe pour les refugies
■パリの難民支援の輪 「紅茶と珈琲を難民に」(The et Cafe pour les refugies ) その2
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201701131702075
■BBC”Migrant crisis: Police clear Paris's 'Stalingrad' camp”(パリ市警察がメトロ「スターリングラード」駅前のテント村を一掃)
http://www.bbc.com/news/world-europe-37869452 昨年11月のBBCの記事によると約3000人が立ち退きを求められることになった。追われた難民たちはパリの収容施設に誘導されたという。すでに英国に近い北部の港町カレーでは一週間前に7000人が地元のテント村から立ち退きを迫られた。現在、カレーでは英国のBrexitによって壁が難民の越境を封じるために建造されつつある。
■フランスで難民を排斥するな、というデモが起きる 避難所を提供する運動も
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201509071704021
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