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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2017年02月16日18時50分掲載
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農と食
政府、種子法廃止を今国会に提出 種子を内外資本に開放、完全商品化を狙う 上林裕子
地域で守ってきた稲、麦、大豆 種子法廃止で散逸の危険
政府は主要な農作物(稲、麦、大豆)の生産・普及を「主要農産物種子法」によって都道府県に義務付けている。都道府県にある農業試験場は、その地にあった品種の開発や、原種や原原種などの遺伝子資源を管理し、地域の生産者に種子を提供してきた。しかし政府は今国会に「主要農産物種子法を廃止する法律」を提出、種子市場を民間に開放する。種子法廃止法案は「農業競争力強化支援法」とともに提出されている。
廃止の理由として「最近における農業をめぐる状況の変化に鑑み、主要農産物種子法を廃止する必要がある」と説明されているのだが具体的な理由は見当たらない。種子は農業の基本だ。長年地域で培ってきた種子生産を簡単に手放してしまってよいのだろうか。
政府はTPP(環太平洋経済連携協定)の発効に向けて、国内農業の競争力強化のための「農林水産業・地域の活力創造プラン」を策定、その中に『農業競争力強化プログラム』を位置付けた。TPPの実現は不可能となったものの、政策はそのまま実行されることになる。
競争力強化の基本は体制整備や生産基盤の強化など様々だが、要は「1円でもコストを削減し、1円でも利益を増やすこと」であるとし、民間企業の参入でコストの引き下げを狙っている。飼料や肥料、農薬や農業機械とともに種子も生産資材の1つとしてコストの引き下げが必要だとした。
この政策は、規制改革推進会議の農業ワーキンググループ(WG)の意見取りまとめそのものだ。規制改革推進会議の狙いは巨大な全農の力を縮小させることであり、そのことは「…農協改革は規制改革推進会議において進めてきた経緯があるので引き続きフォローアップを行っていく」「(様々な施策をやった後で)巨大な全農が残ってしまうことがないよう、全農改革は規制改革推進会議で担保していくと書いてはあるが若干不安だ」というように、会議の中で明確に語られている。
全農が、農薬や肥料などの生産資材を独占販売していたために生産者が高い生産資材を買わざるを得なかったとして、民間企業が参入できるようにし、生産資材の価格を引き下げることを強化プログラムの最初に掲げている。
確かにコスト削減は必要だが、農業生産の基本である種子を、肥料や飼料、農薬と同列に捉え、これまで地域の生産者のために守ってきた稲、麦、大豆の主要農産物の種子まで競争にさらしてしまっていいのだろうか。食政策センター・ビジョン21代表の安田節子氏は「種子は食料安全保障のカナメ。これまで生産者は生産費の2〜3%位の安い価格で種子を購入できた」「しかし、種子の管理が国から離れたら価格が上っていくだろう」との懸念を示す。また、都道府県の農業試験場等できちんと保護・管理されていた遺伝子資源の散逸などにも不安が残る。
行政が自分のところで種子の生産・普及をしているので民間企業が参入しにくいというが、種子法の対象は稲、麦、大豆の3種だけだ。他の野菜は一般の種苗会社が販売しており、種子企業に市場が閉ざされているわけではない。国内で生産されている麦はわずかであり、大豆もほとんどは輸入に頼っている状態で国内産は4〜5%にすぎない。
地域で大事に育ててきた種子は次の世代手渡す資源であり、主食である稲まであえて競争にさらす必要はないのではないか。
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