昨日、IWJやその他多くの市井の人々の情報発信によって首相が赤坂にある中華レストランでマスメディアの幹部たちと夕食会を行ったことが分かっています。
今、首相は国会でその疑惑が追及されている通り、大阪の森友学園が開校する予定の国粋主義思想を基礎に教える小学校に、安倍首相が何らかの関与をしたのではないか、と疑いがもたれています。その真実は国会の場での国会議員による追求だけでなく、ジャーナリズムによって明らかにされていくべき性質のものでもあります。ところが当該、「第四の権力」とも言われるジャーナリズム企業の幹部の人たちがこの時期に首相と夕食をともにする、というのはどのような理由なのでしょうか。
いったい、そこで何が話し合われたのか。あるいは話し合われなかったとしたら、どのような性質の集まりだったのか。
国民の知る権利に答えることを専門にしている企業の人々が、この肝心な時に首相とレストランで何をしていたのか。識者を集めての紙面のあり方に関する討論会の書き起こしなどより、この方がはるかに読者の関心事でしょう。ウォーターゲイト事件を調べていた新聞社の幹部たちはニクソン大統領と会食したのでしょうか?中華料理屋で何をしていたのか、ぜひ、このことを書いていただきたいと思います。
■What Is The Fourth Estate?(第四の権力とは?)
http://uspolitics.about.com/od/politicaljunkies/a/fourth_estate.htm これはUS PoliticsというウェブサイトのKathy Gillさんによる解説。語の起源は英国の保守思想家、エドマンド・バーク(Edmund Burke 、1729 - 1797)の以下の言葉にあると言われる。これはカーライルの本に記されているという。
”Burke said that there were three Estates in Parliament, but in the Reporters Gallery yonder, there sat a fourth Estate more important far than they all.”
英国の議会には当時、3つの機関(branch)=3つの階級(estate)が存在していた。 エステートは階級という意味である。この政治に関するウェブサイトは次のように説明している。
"In Britain, the three branches (estates) of government referenced Parliament: The House of Lords (the Lords Temporal and the Lords Spiritual - nobles and clergy) and the House of Commons."
英議会は上院(貴族と僧侶)と下院(庶民)があり、これらを合わせると3つ、ということになるようだ。
これらに対してよりバークはもっと重要な階級(estate) として記者たちの集まり(報道陣)を指摘し、これを第四の国会の階級である、というのである。このウェブサイトの説明によれば、第四の権力(階級,機関)である報道(ジャーナリズム)は民主主義が機能するために必要な階級(機関)であると指摘している。
■ガーディアン紙 ”A crisis in the fourth estate”(第四の権力の危機)
https://www.theguardian.com/media/2004/aug/16/mondaymediasection.politicsandthemedia ”To avoid any misunderstanding: a natural tension between politics and the media has always existed and that is right and necessary. Without a free press there is no public sphere, no informed citizen and thus no democracy.
ガーディアン紙のこのコラムではジャーナリズムは政治権力との対立緊張関係を常に持つし、それが当然であると示している。もし、報道の自由がなければ公共の領域(政治や公的な事柄)に関する知識を市民が持つことができないし、もし市民が政治などの公的領域に関する知識を持つことができなければ、民主主義は実現できない、と言っている。だから、報道の自由は必要なのだ、と。
”The fourth estate, however, is more powerful than ever. It is shaped by two dominating principles - sensationalism and simplification, which the American sociologist Robert McChesney, in his book Rich Media, Poor Democracy, defines as the consequence of "hyper commercialisation". It has led to ever fiercer ratings and circulation wars, which inevitably leads to what is called "dumbing down". To succeed, the media industry tries to appeal to the lower instincts of people.”
しかし、ガーディアンのこのコラム(2004年)では第四の権力は危機に瀕している。メディアの影響力はかつてなく大きくなっているにも関わらず、センセーショナリズムと単純化という2つの問題を孕んでいるからだ、と。これをアメリカの社会学者ロバート・マクチェスニーはその著書「リッチなメディアとプアなデモクラシー」で、行き過ぎた商業主義の結果これらの問題が生まれているのだ、と説明しているという。視聴率競争と販売部数の競争のためにこうした問題が起きているのだ、と。
これはこれで問題だが、日本では今、最高政治権力者とメディア幹部との会食という問題が起きている。本来、watch dogという「権力を見張る番犬」としての自覚をマスメディアの人々が失い、政府と友達関係になっているからである。
■Rich Media, Poor Democracy Communication Politics in Dubious Times
http://thenewpress.com/books/rich-media-poor-democracy
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