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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2017年03月02日23時37分掲載
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医療/健康
夜勤ナースの独り言(36)
2016年6月上旬に脳腫瘍の摘出手術を受けることが決まった夫は、S県で飲食店を経営しているのですが、入院先が東京にあるTJ医大に決まってから手術日までの約2か月間は特にやることがなく、医者からも「いくら具合が悪くなろうが、手術日は前倒しできない」と言われたので、5月のゴールデンウィーク中にお店を開けることにしました。 夫には、私が夫の看病のために看護師の仕事を退職したことを踏まえ、これからの入院や通院に備えて、観光シーズンの間だけでもお店を開け、少しでもお金を貯めておきたいという気持ちがあったのだと思います。 自営業は、本当に身体が資本でして、働かなかったらその日から収入がありません。会社員のように健康保険から傷病手当も出ません。夫は、収入面において明らかに私より少なかったので、以前から私の扶養に入っていたのですが、扶養家族だと傷病手当が支給されません。 また、術前の病理検査の結果、腫瘍が悪性ではないと診断されたため、加入しているがん保険も「悪性新生物(悪性の腫瘍)でなく、良性腫瘍だと、がん保険部分は適用されない」という約款により、1日単位の入院費と最低限の手術代しか払われないことになりました。 生活していれば月々決まった出費があるわけですが、そういう中で、S県から東京のTJ医大までの交通費はバカになりません。付き添いの私を含めた2人が1往復して約2万5千円。検査で連泊しなければならないときは宿泊費が加わり、さらに手術・入院時の東京での滞在費等を計算すると、ものすごい金額になります。
夫とは、家計を含めて今後のことをよく話し合いました。夫の考えは、「お店は、体調が回復したらまた営業したい。いろいろな思いがこもった店なので、そう簡単には手放せない」というものでした。 私が心配していたのは、家計もさることながら、夫の脳腫瘍がかなり大きく、脳室にめり込んで脳が変形していたので、術後に大きな後遺症が残ることでした。後遺症とは言語障害であったり、失語であったり、片麻痺などです。仕事ができなくなる心配もありました。そして、脳腫瘍が発覚してから抗てんかん薬を飲み始めたので、地方暮らしにおける必需品の車を運転することが許可されなくなりましたが、術後に運転できるようになる保証もありません。 何度も何度も話し合う中で、最終的に「術後の経過が良く、後遺症が残らなければ、S県に戻ってやり直せばいい。今はとにかく治療に専念しよう。そして地方都市にいるよりも東京に出た方が、私も看護師の仕事を見つけられるし、アルバイトやパートなど融通が利く形で仕事を選べる。お店を残すために、店舗の家賃は支払い続けよう」という結論に達し、私たち夫婦はS県の賃貸アパートを引き払い、東京に引っ越すことにしました。
5月のゴールデンウィーク営業が終わってから、私はインターネットで物件を探し始めました。「とにかく、これから医療費がかかるし、夫もいつから仕事が再開できるか分からないし、あとTJ医大へ通院も便利なところでないと・・・。もし、夫が一人で通院するようになるとしたら、少しでも便利な場所で、電車の乗り換えがない場所が良いけど、家賃は抑えて・・・」などと思案しながら毎日パソコンの画面と睨めっこ。とにかく5月下旬には東京に引っ越す方針なので、時間がありません。そして、「ここに決めた!」と思える物件を見つけ、不動産屋に電話して押さえてもらいました。(れいこ)
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