「良い作家とは死んだ作家だ」これは今、フランス文学界でちょっとした話題になっている小説である。原題は”UN BON ECRIVAIN EST UN ECRIVAIN MORT”で作家はギョーム・シェレル(Guillaume Cherel )。昨年売り出して、すでに1万5千部を売ったというのだから、フランスではヒット作と言ってよいだろう。作品はジャンルとしてはミステリだけど、向こうでは”パスティーシュ”とも言っているようだ。
この作品が話題になっているのはフランスの流行作家たち10人をモデルにしたパロディ作品になっていて、彼らがある僧院で行われる文学討論(「文学と近代性」とか・・・まぁ、立派なテーマである)のために召集をかけられて、殺されていく物語であるからのようだ。アガサ・クリスティの探偵小説に「そして誰もいなくなった」という作品があるけれども、ちょっとした下敷きになっているのだろう。その売れっ子作家10人の名前をもじったのが次の登場人物である。フランス文学に関心のある人ならピンと来るだろう。特にその10人はメディアによく顔を出す有名作家たちということだから・・・。
Frederic Belvedere, Michel Ouzbek, Amelie Latombe, Delphine Vegane, David Mikonos, Kathy Podcol, Tatiana de Roseray, Christine Lego, Jean de Moisson et Yann Moite.
ちなみに残念ながら筆者は未読なので、本当に10人が全員殺されるのかどうか、わからない。しかし、フランスのテレビ番組の本の紹介コーナーでは笑えるミステリだとして絶賛されていた。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=45&v=a-ymHO5VhqM ギョーム・シェレル氏は作家歴は20年におよび、これまで15冊以上小説を書いているということだ。ソルボンヌ大学文学部を2年で中退して、アメリカ旅行とアフリカ旅行、中国旅行などに飛び出した。好きな作家はジャック・ロンドンとヘミングウェイだったというから、冒険談が好きだったようだ。
”I was in "La Sorbonne" in 1986 ! I didn't write a graduate thesis. I spent just 2 years at Sorbonne University. I traveled soon in United States and Africa and China etc....I' m writer since 1997....I wrote and published more than 15 books"
このギョーム・シェレル氏だが、つい最近、共和国広場で行われているフランスの政治腐敗への抗議集会に出かけたのだという。生まれて初めて鍋をもって怒りの音を鳴らした、というのだ。ベリタの読者の方なら覚えているかもしれないが、シンガーソングライターのオリビエ・エベール氏は監獄島のマグカップを持って行ってそれを叩いて抗議の音をあげたのだった。フランスでは文化人たちも草の根で政治参加しているようである。そして、シェレル氏は娘も一緒に連れて行ったのだそうだ。
娘は17歳で、高校生だが、将来はパリ政治学院か、パリ大学の法学部に進みたいのだと言う。だから親として、シェレル氏は娘に共和国広場での政治腐敗への抗議集会に行ってみないか、と誘ったのだと言う。ただし、義務ではもちろんなくて、彼女の意思を尊重したし、娘も行くことに同意したからだと言う。子供たちは未来を担うのだ。
”Because she is the next generation and she wants to enter Science-Po or Droits (rights) as student... and she was agree... It was not an obligation yes for education.she was with me and her mother for Charlie too....”
一見、チョイ悪風のシェレル氏だが、娘の話を聞いてみると、実にまじめなお父さんである。
"Francois Fiilon a meni et paye sa femme avec l'argent des impots des francais.Je suis descendu dans la rue avec ma fille pour protester contre la corruption et defende la Justice Francaise et la democratie et la Republique... avant les elections. "
「フランソワ・フィヨンはフランス人の税金で虚構の仕事のために夫人に金を支払っていた。だから僕は娘を連れて、政治腐敗に抗議し、フランスの正義と共和国の民主主義を守るために出かけたんだ・・・大統領選挙の前にね」
■フランス人の風刺歌 「7月14日(パリ祭)」 "14 JUILLET" par OLIVIER HEBERT / DESSINS MUZO
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201612201625392
■政治家の腐敗に反対するパリの市民集会「腐敗政治家を黙認する有権者は共犯だ」”Rassemblement contre la corruption des elus”
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201702201623341
■政治家の腐敗に反対するパリの市民集会 新しい政治文化への道 ”Rassemblement contre la corruption des elus”
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201702221722313
■「谷口ジローの思い出」ブノワ・ペータース "Souvenir de Jiro Taniguchi " Benoit Peeters
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201702241610575
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