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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2017年04月16日23時53分掲載
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国際
ユナイテッド航空「引きずりおろし事件」に腕を競う世界の風刺作家たち
アメリカのユナイテッド航空でオーバーブッキングが発生してしまったために降りるのを拒否した乗客を無理やり引きずり出した事件は世界中に報じられた。とくに保安要員に無理強いされた男性が顔から幾筋も血を流していたことも衝撃を与えた。これに義憤を感じ、職業魂を刺激されたのが風刺漫画家や風刺ライターたちだ。さらにはプロだけでなく、様々な人々がこれを風刺しているのである。
最初にこれに関して筆者が見たのは「ユナイテッド航空・訓練ビデオ」というテロップがつけられた映像だった。通路を歩いて近づいてきたスーツの男が座席にすわって眠っている女性の肩を暴力的に揺さぶり、びんたを食らわせる。次に尼さんがやはり同様にびんたを食らわせ、その後にもバットを持った男やスパナを持った男、ピストルを持った女性らが続く。何かのコメディ番組の映像にテロップを乗っけたのだろうが、あまりの不条理さが笑いを誘う。あるいは事件が起きてから即座に風刺台本を書き上げて撮影し、オンエアしたのだろうか?それなら凄いセンスだ。
ニューヨークタイムズでは常連の漫画家、Chapatteが「チェックイン、チェックアウト」と見出しのついた2コマを描いている。チェックインでは乗客が保安要員に怒鳴られながら両手を挙げさせられ、チェックアウトでは通路を保安要員に引きずられている。これは正直言えばChapatteの作品としてはイマイチ凡庸だった。おそらく、多くの風刺に負けじと思ったのだろうが、出遅れ感がある。(彼はこの事件を本当に切実に感じていたのだろうか?)
ロイヤルヨルダン航空は敵失とばかり、「わが社では引きずり出し(dragging)は厳しく禁止です」という広告を打った。これは従来の「ドラッグ(drag, 麻薬類)は厳しく禁止です」、をもじったものだ。チャンスをつかむヨルダンの機敏さもなかなかのものだ。
さらに別のサイトでは離陸前の乗客向けの安全講習にもじって、引きずり出しに狙われた時の対処法の説明が作られている。あなたがとっさに両手で頭を抱えて上半身を低く下げれば保安要員はやむなく隣の窓際席の乗客を引きずり降ろすでしょう、と説明している。乗客への安全のための講習ビデオと暴力的な引きずりおろしの矛盾をついたギャグだ。
ネットで少し外国のものを探してみると相当多数の風刺が世に出ていることがわかる。セキュリティチェックなど様々な不快を耐え忍んでいる乗客にこのような仕打ちを与えた航空会社は許せない、という当たり前の怒りがそこにはある。
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