●目次●
【米防衛システム補正へ 北ミサイル実験で】NYT 5/29 North Korean Tests Add Urgency for U.S. to Fix Defense Flaws
【米外交政策決定 広がる軍部の影響】WP 5/28 Military’s clout at White House could shift U.S. foreign policy
【独首相が米国に対峙 欧州の結束を呼びかけ】WP 5/28 Following Trump’s trip, Merkel says Europe can’t rely on ‘others.’ She means the U.S.
【日本の首相 異論多き法案を推進】WP 5/22 In Japan, prime minister pushes ahead with controversial 'anti-conspiracy' bill
【中東和平を促すトランプ 過去の疑惑が発覚】WP 5/22 In Israel, Trump urges new Middle East harmony but faces old suspicions
【トランプ捜査を妨害 米選挙へ露の介入疑惑】WP 5/22 Trump asked intelligence chiefs to push back against FBI collusion probe after Comey revealed its existence
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【米外交政策決定 広がる軍部の影響】WP 5/28 Military’s clout at White House could shift U.S. foreign policy 5月28日付のThe Washington Post紙は、中東政策や対テロ支援などの外交政策決定を担うホワイトハウスや国務省、国家安全保障会議(NSC)において、軍部関係者の発言力が増していると報じた。 特にNSCでは、オバマ政権時には2人であった退役軍人のシニアスタッフが、トランプ政権においては25人中10人まで増え、そのほとんどが中東・イラン政策部門に集中するという。 NSCは、軍部の暴走を防ぎ、安全保障に関する政策決定を省の垣根を越えて調整するために、ホワイトハウスで設立されたものであり、メンバーは従来、文官や外交専門家が占めていたが、トランプ政権から軍部の人事が増えてきたという。それにより外交スタッフの人件費削減につながるが、外交政策における非軍事部門の政策決定を困難にさせると同紙は指摘している。 トランプ氏の狙いは、テロ組織ISISの掃討、北朝鮮やイランなどのテロ支援国家への強硬政策、アラブ同盟への支援等、米軍の狙いと同様であり、そのためオバマ政権がとった閉鎖抑圧社会における人権擁護政策よりも優先順位を上げたと同紙はみている。 トランプ大統領は現在、ティラーソン国務長官とともにアフガニスタンに関する戦略の最終調整を行っている。軍部関係者の発言が外交政策決定にどのような影響を及ぼすか、懸念が広がると同紙は指摘している。
【独首相が米国に対峙 欧州の結束を呼びかけ】WP 5/28 Following Trump’s trip, Merkel says Europe can’t rely on ‘others.’ She means the U.S. 5月28日付The Washington Post紙は、ドイツのアンジェラ・メルケル首相が、トランプ米大統領との会談後、「欧州は、独自に自らの運命の舵を取らなければならない」と演説の中で宣言し、それが、米国と欧州との間の大きな亀裂を生む可能性を報じた。 ドイツの首相がこのような演説をすることは戦後、稀であるとされる。 欧州は、英国のEU離脱や、米国からの市場開放及び防衛費増額の要求による対立で、重大な局面に立たされていると同紙はみている。 トランプ大統領は、NATOが防衛費を十分に出さず、米軍による安全保障の恩恵を受けていると批判し続けているという。また、気候変動に関するパリ協定からの米国の離脱検討も対立要因となっている。ドイツの米欧関係専門家は「共有される価値観が壊された」と指摘する。 同紙は、欧州が経済や軍事で米国への依存度が高い現状を踏まえ、米欧の亀裂による影響は不透明であるとしながらも、イランの核合意が行き詰まった場合に欧州が米国の味方をしなくなるなど、長期的には米国の世界における影響力低下につながる可能性を指摘している。
【日本の首相 異論多き法案を推進】WP 5/22 In Japan, prime minister pushes ahead with controversial 'anti-conspiracy' bill 5月22日付のThe Washington Post紙は同日、与党が多数を獲得する日本の国会で、テロ攻撃を事前に食い止めるのに必要だと政府が主張する「共謀罪」を承認させるための準備を整えたと報じた。また、安倍首相は、自由民主党に平和憲法の改正案を求めているとも伝えている。 同紙は、上智大学で教鞭をとる中野晃一氏が、安倍首相の動きは米トランプ政権の進める権力の私物化と変わらないとの見方をしていると報じている。 アムネスティー・インターナショナルとグリーンピースは、同法が「民主主義の根幹である表現の自由を脅かす可能性がある」との見方を示しており、また国連特別報告者からも「この法案の適用範囲が広いこと」から同様の指摘を受けていると報じている。 だが、安倍政権側はそれを不適切と述べ異議を表明したとのことだ。与党は国会が終了する6月18日までの可決を目指している。
【中東和平を促すトランプ 過去の疑惑が発覚】WP 5/22 In Israel, Trump urges new Middle East harmony but faces old suspicions 5月22日付のThe Washington Post紙は、トランプ米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が中東地域での新たな構造の構築に向けた概要を発表し、米国とイスラエル、アラブ諸国の共通の目標である「イランの武力侵略の撃退」と「イスラム・テロリズムの打倒」を宣言したと報じた。 トランプ大統領は、エルサレムに入る2日前、サウジアラビアの首都リヤドで、イスラム教指導者らに自身の抱負を表明し、「今までには起こり得なかったたくさんのことが今、起こり得るのだ」と述べた。 同紙は、この発言はトランプ氏の「大胆な目標を設定するものの、段階的な指針を打ち出さず交渉と直接の説得を達成手段とする」という典型的なスタイルの表れであると指摘。アラブとイスラエル間を大統領専用機が直行便で飛ぶのは初めてのことであり、イスラエルとアラブ諸国を対等に扱う意味合いがあると同紙はみる。 また、トランプ氏は現職米大統領としては初めて「嘆きの壁」を訪れることとなった。訪問はユダヤ教徒の娘婿を伴って行った。ロシアに機密情報を漏らした疑惑でイスラエルから得たシリアに関する情報がロシアに流れた件についてネタニヤフ首相は、自国の情報機関と米国の協力関係は良好で、懸念はないと述べたという。
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