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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2017年07月23日00時46分掲載
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ブレヒト作 「三文オペラ」 死刑を待つ盗賊が警視総監と友達だったため恩赦を受け年金まで
ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトの代表作の一つ「三文オペラ」(1928)は今日でも十分にリアルで楽しめそうだ。それは日本と言う国の荒廃ぶりがドイツの第一次大戦後の様相に似てきた、ということかもしれない。というのも物語が破天荒だからだ。
何人もの女性と浮名を流す盗賊の首領(マクヒス)は愛人の裏切りにより警視庁によって逮捕され、死刑台に上がる。ところが間一髪、女王の使者が訪れ恩赦を宣言し、さらにマクヒスには年金まで支給されることになった。「三文オペラ」はドイツの劇場で上演されたが、芝居の舞台はロンドンの貧民街という設定になっている。芝居の最後に盗賊が救われる理由は警視総監が彼の長年の友達だった、ということに尽きる。二人は若い頃、大英帝国の軍人・兵士としてインドに従軍していた戦友同士なのだ。その一事をもって従来のドラマツルギーは吹っ飛んだ。それまで繰り広げられた愛憎や貪欲の物語がスコットランドヤードにいる腹心の友の存在1つで事件は凍結され、盗賊にとっては悲劇とならずハッピーエンドあるいは喜劇に終わるのである。この劇は大ヒットし、モスクワ、パリ、東京、ニューヨークで相次いで上演された。欧州文化の死を告げるような甚大な惨事となった第一次大戦やそのめちゃくちゃな戦後処理など、当時の世界の観客にとってこの劇を楽しむ心の準備は完了していたと言えよう。
劇作家ブレヒトが目指した演劇は感動や号泣を求める情緒的演劇とは真逆の世界だった。ブレヒトはあえて、自分が求めるドラマの形を叙事的演劇と表現した。それは長年の演劇観やオペラを覆すいわば反ドラマだった。情緒的演劇はファシズムと相性がよい。一方、ブレヒトが求めた叙事的演劇は世界の表層をひっぺがし、その舞台裏を見る演劇だった。
「三文オペラ」にはブレヒトの盟友だった作曲家のクルト・ワイルが数々の名曲を書き下ろしている。
(マクヒス)
一体人間はなんで生きる? たえず人を苦しめ裸にし襲い絞めそして食う。 人間は生きているのさ、 根こそぎ人間であることを忘れることで。
(合唱) 諸君、うぬぼれはやめたまえ。 人間は悪業によってのみ生きるのだ。
この劇が書かれたのはNY発世界恐慌の起きた1929年の前年で、第一次大戦後のハイパーインフレーションでめちゃくちゃになっていたドイツ経済は翌年さらに打撃を受ける。そして、この劇が書かれて5年後にヒトラーが首相になり、ファシズムが完成する。ヒトラーを支援したのは重工業を中心とするドイツの基幹産業だった。ヒトラーの台頭はドイツの窮乏化や混乱と同時に進行していたのである。三文オペラはそうしためちゃくちゃになった世界を甘美な名曲に乗せて「三文」(チープな)のオペラとして描いている。
※参照 ブレヒト作「三文オペラ」(千田是也訳 岩波文庫)
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