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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2017年08月06日16時58分掲載
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コラム
デモとナンパと民主主義 〜なぜ政治行動なのにデモは報道されないか〜 60〜70年代「デモで彼女と一発やれて最高だった」的な人々が
私はデモに参加したことは今まで一度もありません。デモに対するアレルギーがあるのです。しかし、デモの現場を取材したことは日本でも海外でも何度かあります。中でも印象深かったのは、東京湾の有明・十六万坪が埋め立てられようとしたときのデモでした。貴重な生態系を守れ、と漁業従事者や屋形船の業者らが100隻近く船を連ねて水上デモを行ったのですが、驚いたことに翌朝、ある政府寄りの新聞がデモ隊が一人もいない、夕日が輝いている静謐な東京湾の写真を載せていたのです。つまり、何一つ、そこでは起きなかった、ということを写真と簡単なキャプションで語っていたのです。この写真は嘘か、と言えばそんなことはありません。デモが終わった後の静けさは真実です。しかし、その写真の記事では何一つ十六万坪で行われた水上デモのことには触れていなかったのです。これはデモが行われた行為自体を白紙化するような、首相に言わせれば「印象操作」だと思います。
デモはマスメディアではほとんど報じられることがないジャンルに入っています。もちろん、デモ、というジャンル自体があるわけではなく、これは政治的な行動です。では、なぜ報じられることが少ないか、そのこと自体があまり真剣に考えられてこなかったところがあります。同じ政治行動なのに国会や内閣の動きが毎日報道されるのに市民のデモが報道されないのはなぜなのか、よく考えてみると、深い謎があるように思えてきました。
デモが行われるのは基本的に国会で国民の代議員たちがきちんと論議をしていないことや、国民が望まない法案を強引に強行採決した場合など、国会運営や行政府の政策に不満を示すために行われるものです。もう1つ、デモが行われる動機には「第四の権力」と言われるマスメディアが、政府や国会運営に対してきちんと権力を監視していない、ということもあります。自分たちが選挙で選んだ代議士が、自分たちの思いを代弁せず、選挙公約を勝手に破っている。その上、報道陣が権力に迎合して真実を伝えない。人々はもはや国会議員も報道ジャーナリズムも自分たちを代表していない、と考えるしかなくなります。そうなった場合、既存の機関が誰も自分たちを代表してくれないのだから、直接自分たちの声を届けるしかない、と思うに至ります。これは恐らく都議選での秋葉原駅前に安倍首相に対して抗議に集まった人々の動機であったのだろうと推察します。
長い間、デモに対して多くの人が消極的だったり否定的だったりしたのは1969年の全共闘運動の極左暴力集団というイメージが繰り返し繰り返し刷り込まれたことが原因としてあります。デモと言えば危険な暴力行動や、内ゲバ殺人、幼稚な過激派集団という連想が刷り込まれてしまったのです。私がデモにアレルギーがあるのもそれが原因です。その一方で、1969年やその頃のデモに参加した人たちは実社会に出て一定のキャリアを積んだのち、後輩世代によく語ったものでした。「デモにはナンパのために参加したんだ」と。女性とセックスするためにデモに参加したという話をとくとくとしているのを会議室や居酒屋で何度も聞いたことがあります。一度や二度ではありません。デモとナンパ武勇伝はセットで語られた物語です。学園紛争世代の中には真摯にその後の人生を歩んだ人もいます。しかし、「デモで彼女と一発やれて最高だった」的なノリの人も結構います。しかし、今にして思えば、こうした人々は本当は運動ともデモとも本質的には無縁な単なる冷やかしの学生たちに過ぎなかったのかもしれません。いずれにしてもデモに対して冷笑的なこうした人々が報道界を含めて現在の各界のリーダーをたくさん占めているのではないでしょうか。
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