20代のビルマ(ミャンマー)人女性、ナンさんとリンさんは、母国にある日本企業「ケアサポート クローバー」(経営は、社会福祉法人「よつば福祉会」)で介護士として働いていました。 ある日、会社から「日本に行って介護の専門学校で学びませんか?渡航費用も学費も会社が出します。入管法で留学生に認められた週28時間(資格外活動)は、当社が経営する介護施設でアルバイトして稼げるし、技術が身に付きます」と勧誘されました。日本資本の会社の言葉です。全く疑念を抱かず二人は大喜びで誘いに応じました。
入国後、二人は半年間、新潟市内の日本語学校に通い、その後は佐渡市内の介護専門学校に通学するようになりました。同時に、よつば福祉会の経営する介護施設「ケアセンターうしろやま」で介護のアルバイトをするようになったのです。 ところが、二人を待っていたのは痛苦な日々でした。仕事の内容がきついだけではありません。ビルマで聞いていた日本のイメージと全く違い、何もない町。学校と職場と寮との間を往復するだけの毎日。加えて、会社が用意した寮は規則が厳しく、なんとプライベート時間まで「ミャンマー(ビルマ)語ではなく日本語で会話するように」と命令されたのです。 さすがに耐えきれなくなった二人は「もう嫌です。ビルマに帰国させてください」と申し出ました。ところが、それに対して会社は本性を現わしました。「よつば福祉会」の山下峰生理事長は、彼女たちに「だめだ。専門学校を卒業後、3年間はうちで働いてもらう。どうしても辞めるなら、学費や渡航費等を含め500万円を支払え。そのような契約になっている」と言い放ったのです。
そのような大金を支払う能力のないナンさんとリンさんは、やむなく就労を続けましたが、同じ境遇にあって退職を希望し、東京行きを求めながらもそれを許されなかった同僚のビルマ人留学生Tさんが、絶望のあまり自殺未遂(リストカット)して救急搬送されるのを目の当たりにしたことで、恐怖のあまり、矢も楯もたまらず会社から逃亡して上京するにいたりました。本年5月27日のことです。
東京にたどり着いた二人は、知人を通じてAPFS組合に駆け込んできました。そして、よつば福祉会との団体交渉は8月1日、当組合事務所にて開催されました。 ところがその席上で、山下理事長は「留学生たちとは信頼関係があり、彼女たちは恵まれた状況にある」「私は(留学生の)将来のために種を蒔いている」等と開き直った上、二名に対し「500万円でなくても、いくらか払ってほしい」と信じがたい要求を行ったのです! そして自殺未遂のTさんに関しては「彼女の件は精神疾患かストレスが原因でしょう」と臆面もなく言ってのけたのです!同席した会社側弁護士も「会社に何か法令違反がありましたか?」と平然としている始末でした。 一体、社会福祉法人よつば福祉会は、人権や人の生命を何だと思っているのか! アジア人留学生は人間として扱われないのか!貴方たちのどこが“福祉”か! やむなく当組合は、労働基準法第5条「強制労働の禁止」および第16条「賠償予定の禁止」に違反するものとして、よつば福祉会と山下理事長を佐渡労働基準監督署に告発しました。 この告発は、8月21日付で受理され、現在捜査中となっています。本年中には送検となる見込みですが、今現在も佐渡の地で、他のビルマ人留学生が強制労働させられている事実を思うと心が痛みます。 皆さま、どうか抗議と非難の声をあげてください。お願いいたします。 (抗議先) 所在地 新潟県佐渡市宮川1062番地 商号 社会福祉法人 よつば福祉会 理事長 山下峰生 連絡先 0259−67−7812
(APFS労働組合ウェブサイトより転載)http://apfs-union.org/content.php?no=93
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