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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2018年02月17日20時34分掲載
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都合の悪い事実を無視して、安倍晋三の訪韓には「成果」があったと主張するNHKニュース7 Bark at Illusions
ピョンチャンオリンピックの開会式に出席するため韓国を訪問した安倍晋三総理大臣と韓国のムン・ジェイン大統領の会談について、NHKニュース7(18/2/9)は、朝鮮の核・ミサイル問題や「慰安婦」問題についての安倍晋三の方針を韓国政府が受け入れたかのような印象を与えている。
ニュース7は冒頭、
「安倍総理大臣はムン大統領と会談し、北朝鮮の非核化に向けて圧力を最大限まで高めていくことを確認しました。また安倍総理大臣は慰安婦問題を巡る日韓合意の着実な履行を求め、両首脳は未来志向の関係構築に向けて協力していくことを確認しました」
と述べて、
「北朝鮮にその政策を変更させ、北朝鮮の側から対話を求めてくるよう、国連安保理の制裁決議を全ての加盟国が遵守し、圧力を最大限まで高めていく必要があります。この日米で完全に一致した確固たる方針を、ムン・ジェイン大統領と改めて確認いたしました」 「日韓合意は、最終的かつ不可逆的に解決したとの合意であり、私とムン・ジェイン大統領で未来志向の日韓関係を作り上げていかなければならない。その認識を共有いたしました」
という安倍晋三の会見の伝えた後、NHK政治部の岩田明子が
「日本政府は北朝鮮がオリンピックを利用して日米韓3か国の連携にくさびを打ち、制裁を骨抜きにしたり、支援などを引き出そうとしたりするのではないかと警戒しています。……その意味で今回ムン大統領との間で圧力を強化していく方針を確認できたことは一定の成果といえると思います」 「安倍総理大臣は会談の後、記者団に対し、日韓合意では問題の最終的・不可逆的な解決が確認されていることなど日本の立場を説明し、合意の着実な履行を求めたことを明らかにしました。政府関係者によりますと、これに対してムン大統領は合意の破棄や再交渉を求めることはせず、日本が拠出した10億円も返却しない考えを明確に示したということです」
などと解説している。
ニュース7は、ムン・ジェインの主張をほとんど伝えることなく、このように会談で話し合われた朝鮮の核・ミサイル問題と「慰安婦」問題についての安倍晋三の主張を一方的に伝えることで、核・ミサイル問題については朝鮮に対する「圧力を最大限まで高め」、「慰安婦」問題については「日韓合意の着実な履行」で解決するという安倍晋三の方針を、韓国側が受け入れたかのような印象を与えている。
ニュース7が伝えたムン・ジェインの発言は、「韓国政府はピョンチャン五輪を契機に北朝鮮の核問題を解決し、朝鮮半島に恒久的な平和を定着させるためにも努力している」というものだけだった。 しかしムン・ジェインは会談で次のようにも述べている。
「南北対話が非核化を鈍らせたり、国際協力をばらばらにしてしまったりというのは杞憂に過ぎない。南北関係の改善と対話が、結局は非核化につながらないといけない。現在のような雰囲気を生かしていけるよう日本も積極的に対話に乗り出すことを願う」 「慰安婦問題は、被害者の名誉と尊厳を回復し、その方たちが受けた心の傷が癒えるときに解決できるのであり、政府間でやり取りする交渉では解決できない。慰安婦問題を本当に解決するためには、被害者たちの名誉と尊厳を回復し、心の傷を癒やすことができるよう両国政府が継続して、一緒に努力していかなければならない」 (朝日デジタル18/2/9)
こうした発言からは、朝鮮に対しては核戦争の危険も顧みずに圧力一辺倒で朝鮮半島の緊張を高め、「慰安婦」問題については元「慰安婦」の意向を反映していない日韓合意での解決を図って被害者である元「慰安婦」の心をさらに踏みにじるという安倍晋三の方針を、ムン・ジェインは受け入れていないことがわかる。
ニュース7は、なぜ安倍晋三とムン・ジェインの首脳会談が平行線に終わったと、事実を正直に伝えなかったのだろう。 これは憶測だけれども、今回の安倍晋三の訪韓については、自民党内から反対の声が上がっていた。毎日新聞(18/1/25)によれば、「文[ムン]氏が日韓合意の履行を表明するような成果がなければ、首相は行くべきではない」、「世論の多くは首相訪韓に慎重で国民の支持が離れる」という声も上がっており、「首相が文氏から『成果』を引き出せるかどうか」が自民党内の関心事になっていた。安倍晋三に対する国民の支持離れを防ぐために、ニュース7は今回の訪韓で「成果」があったかのような印象を与えようとしたのだろうか。
ニュース7の意図がどうあれ、また「成果」なるものの是非はさておき、都合の悪い事実は無視して権力者のとった行動に何らかの「成果」があったかのように見せかける‟公共放送” NHKのニュースは、独裁国家のプロパガンダ放送とほとんど変わらないのではないか。
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