ネトウヨ現象がいろんなところではびこっているが、日本青年会議所(JC)というまでが歴史を捻じ曲げ、他者を攻撃しまくるSNSを連発していることがわかり、世間のひんしゅくを買っている。JCが右翼がかっていることは以前から定評があったところだが、これほどひどくなっているとは思わなかった。『日刊ゲンダイ』の3月2日号は「公益社団法人であるJCは、公益目的事業で生じた所得について課税を免れるのだ。早く公益法人の認定を取り消した方がいい」と批判している。(大野和興)
JCは金持ちボンボンの集まりと揶揄されながらも、若手経営者の組織として、地方都市などではそれなりの発言力と政治力を持っている。麻生財務相(元総理)もかつて会長を務めるなど自民党政治家の輩出組織でもある。そのJCが「宇予くん」なるキャラクターを作り、ヘイト発言を発信し続けてきた。 宇予くんのアカウントは、2017年12月末に開設された。プロフィールによると、「保守思想、趣味は筋トレ、好物は肉」。日の丸の旗を背にして、筋骨隆々の体格をしている。
発信の内容は差別意識丸出しのヘイト発言で、ネット右翼水準の低水準。日刊ゲンダイによると、「〈高齢者は毎日新聞で完全に洗脳されてるど〉〈ガイキチ朝日新聞〉〈しんぶん赤旗は読むと脳が壊れる新聞だ〉〈NHKを見ると頭がバカになるど〉といったメディアを口汚くののしるものが多い。また野党への攻撃も目立ち、民進党や立憲民主党、希望の党を〈アホ三党〉とこき下ろし、社民党と共産党についても〈安定のアホ〉と投稿していた。
ネットニュースの『BIGLOBEニュース』は以下のようなものも紹介している。 「具体的な政治家の名前を挙げて、『山本太郎も聞き入ってる聴衆も救えないアホだ』と言い放ち、中国や韓国にも矛先を向け、『日本はこのバカ二国と国交断絶、もしくはミサイル爆撃したほうがいいど』とまで発言していた。」
その一方で、安倍政権には好意的で「〈安倍首相、憲法改正に意欲的だど。頑張って欲しいど。(略)憲法を変えたくないって言ってるヤツはバカだ〉」(日刊ゲンダイ)などと持ち上げている。
これからの日本の経済を担い、グローバルに活動するはずの青年経営者とはこのレベルか、とため息が出る。JCからは国際的に通用する経営者は決して出ないことは確信をもって言える。
さすがに非難が殺到し、JCは2018年2月28日、「担当者が不適切発言を投稿していた」としてホームページ上で謝罪した。宇予くんのアカウントは2月27日になって非公開となり、その後削除された。JCは、「これはすべて担当者の個人的見解」と説明、トカゲのしっぽ切りに出ている。
JCの国家戦略グループ担当副会頭、渡康嘉名でホームページにお詫びを乗せた。
「元々は当会が憲法改正論議をより充実させ、憲法改正への契機とすべく、国民レベルでの議論をツイッター上で巻き起こす目的で企画致しました。企画段階での投稿内容は、憲法改正に関する論点や歴史、愛国心など保守的なことを面白くつぶやき、拡散をさせるというものでした。しかし、実際に担当者から投稿されたのは、全て担当者の個人的見解である、関係ない機関・団体その他への誹謗中傷や品性を欠いた内容ばかりであり、当会の理念や運動の方向性とは著しく反するものです」
すべてを担当者個人にかぶせ、JCとしての責任を放棄している。
だが、この宇予くんこそ、JCが組織として出したいことであることは、JCに内部資料からも明らかだ。JCには教育プロジェクトがあり、小中学校への副教材を提供している。JCのホームぺージからその部分をのぞいてみる。
http://www.jaycee.or.jp/2017/uncategorized/1016
そこの「みんなで考える日本の歴史授業」プログラムを見ると、以下のような記述が目につく。「みんなで考える日本の建国」のところでは、日の丸を掲げて日本の年齢は2677歳だとし、「日本は神様によって作られた国です」と続く。
http://nippon-saiko.jp/wp-content/uploads/2017/09/sm3_01powerpoint.pdf
また「みんなで考える日本の歴史」編では以下のような記述が目につく。
「1910年、韓国の皇帝のお願いによって日本は韓国を併合しました。(中略)日本は朝鮮半島の人びとが豊かになるためのサポートをしていたことが分かります。言語についても、積極的にハングルを学べるよう学校教育にも積極的に 取り入れました」
「南京では日本が多くの中華民国の国民の命を奪ったと言われてきましたが、南 京が陥落してから2 ヶ月間の南京城内での女性と子供の死亡者数は34名で、成人男子を含 めても死亡者数は1,793名です。数万人が犠牲になったという話もありますが、何を根拠 に数字なのか、証拠はありません。」
「アメリカは日本 を窮地に追い込むことで戦争に踏み切ることを読んでいて、あとはいつ攻撃を仕掛けてくるのか、というところだけを注意深く見ていました。そして、アメリカは戦争を正当化す るためにも、どうしても日本に最初に攻撃をさせたかったのです。」
韓国併合は韓国側から頼まれたからであり、南京虐殺などなかった、真珠湾攻撃はアメリカが仕掛けたこと、といった記述がずらっと並び、小学生に教える内容である。
http://nippon-saiko.jp/wp-content/uploads/2017/09/sm3_04rekishi.pdf
歴史修主義とさえ言えない荒唐無稽の「歴史教材」が満載で、これが日本の若手経営者の歴史認識であり、そこから小中学生に教育現場で注入されている事実にぞっとする。
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