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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2018年03月28日15時24分掲載
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人権/反差別/司法
櫻井よしこ氏、捏造攻撃のもとが捏造だった 札幌地裁口頭弁論から詳報
右派評論家櫻井よしこ氏が元朝日新聞記者植村隆氏の慰安婦報道を「捏造」と攻撃して植村氏から名誉棄損で訴えられた事件の公判で、櫻井氏の捏造攻撃の中身がウソであったことが判明した問題(本紙既報)の詳細が「植木裁判を支える市民の会」の報道で明らかになった。それを見ると、ジャーナロストを名乗る櫻井氏の言説が、いかに根拠がない、いい加減なものであるかがわかる。(大野和興)
2018年3月25日に札幌地裁で11回目の口頭弁論を迎えた植村裁判。この日は原告植村氏と被告櫻井氏の双方に本人尋問があった。そのうち櫻井氏に対する尋問のやりとりから明らかになったのは、次のようなことだった。(以下「植村裁判を支える会・札幌第11回■詳報」からの引用)
1、月刊「WiLL」2014年4月号 「朝日は日本の進路を誤らせる」 櫻井氏は次のように書いている。 「(慰安婦名乗り出の金学順氏の)訴状には、14歳の時、継父によって40円で売られたこと、3年後、17歳で再び継父によって北支の鉄壁鎮というところに連れて行かれて慰安婦にさせられた経緯などが書かれている」 「植村氏は、彼女が継父によって人身売買されたという重要な点を報じなかっただけでなく、慰安婦とは何の関係もない女子挺身隊と結びつけて報じた」と書き、植村氏を非難した。 1、 しかし、訴状には「継父によって40円で売られた」という記述はない。「人身売買」と断定できる証拠もない。なぜ、訴状にないことを持ち出して、人身売買説を主張したのか。誤った記述を繰り返した真意は明かされなかったが、世論形成に大きな影響力をもつジャーナリスト櫻井氏は、植村氏の記事を否定し、意図的な虚偽報道つまり捏造と決めつけた。
2、櫻井氏はWiLLの記事と同じ「訴状に40円で売られたと書かれている」という間違いを、産経新聞2014年3月3日付朝刊1面のコラム「真実ゆがめる朝日新聞」、月刊「正論」2014年11月号への寄稿でも繰り返した。さらに、出演したテレビでも「BSフジ プライムニュース」2014年8月5日放送分と読売テレビ「やしきたかじんのそこまでいって委員会」2014年9月放送分で、同じ間違いを重ねた。原告弁護士は番組の発言起こしを証拠提出してこのことを明らかにした。これらの言説が、植村氏や朝日新聞の記事への不信感を植え付け、その結果、ピークに向かっていた植村バッシングに火をつけ、油を注いだ構図が浮かび上がった。
3、櫻井氏はなぜ「訴状に40円で売られたと書かれていた」という間違いを繰り返したのか。 櫻井氏は、ジャーナリスト臼杵敬子氏による金学順さんインタビュー記事(月刊「宝石」1992年2月号)が出典であるとし、「出典を誤りました」と主張した。櫻井氏はこれまでに提出した書面でも、「宝石」の記事で金さんが「平壌にあった妓生専門学校の経営者に四十円で売られ、養女として踊り、楽器などを徹底的に仕込まれたのです。ところが十七歳のとき、養父は『稼ぎにいくぞ』と、私と同僚の『エミ子』を連れて汽車に乗ったのです。着いたところは満洲(ママ)のどこかの駅でした」と語ったことを根拠に、「親に40円で妓生に売られた末に慰安婦になった」と主張してきた。これに対して原告側弁護士は、「宝石」の記事で、櫻井氏の引用部分の直後に、こういう記述があることを指摘した。 「サーベルを下げた日本人将校二人と三人の部下が待っていて、やがて将校と養父の間で喧嘩が始まり『おかしいな』と思っていると養父は将校たちに刀で脅され、土下座させられたあと、どこかに連れ去られてしまったのです」 櫻井氏が出典である、と主張する「宝石」にも、養父が40円で売って慰安婦にしたという「人身売買説」の根拠となる記述はどこにもない。むしろ、養父も日本軍に武力で脅され、金さんと強引に引き離されたという証言内容から、櫻井氏が強く否定し続けてきた日本軍による強制的な連行を示す記述があるのだ。 この直後部分をなぜ引用しなかったのか。川上弁護士は、櫻井氏が自身の「人身売買説」に都合の悪い部分を引用せず、植村氏の記事を捏造と決めつけたことのおかしさを指摘した。そして、「櫻井さんは、訴状にないことを知っていて書いたのではないですか」などと述べ、同じ間違いを繰り返した理由を厳しく問い質した。櫻井氏は「訴状は手元にあり、読んで確認もしたが、出典を間違った」と、弁解に終始した。川上弁護士が紙誌名を逐一挙げて訂正を求めると、櫻井氏は「正すことをお約束します」と明言した。ただ、テレビについては「相手のあることなので」と語り、約束は保留した。
4、この問題は2年前からくすぶり続けている。2年前、第1回口頭弁論の意見陳述で植村氏は、WiLLと産経新聞の「訴状に40円で売られたと書かれている」という間違いを指摘、「この印象操作はジャーナリストとしては許されない行為だ」と批判した。そして、櫻井氏は口頭弁論後の記者会見で「ジャーナリストですからもし訴状に書かれていないのであるならば、訴状に、ということは改めます」と誤りを認めた。しかし、WiLLでも産経新聞でも、訂正しなかった。そのため、植村氏は2017年9月、東京簡裁に調停申し立てを行い、産経新聞社が訂正記事を掲載するように求めている。その審理はまだ継続している。
5、「週刊ダイヤモンド」2014年10月18日号 「植村氏が、捏造ではないと言うのなら、証拠となるテープを出せばよい。そうでもない限り、捏造だと言われても仕方がない」と櫻井氏は書き、その根拠として、「(金学順さんは)私の知る限り、一度も、自分は挺身隊だったとは語っていない」「彼女は植村氏にだけ挺身隊だったと言ったのか」「他の多くの場面で彼女は一度も挺身隊だと言っていないことから考えて、この可能性は非常に低い」と断定している。 この記者会見は1991年8月14日に行われた。韓国の国内メディア向けに行われたので、朝日新聞はじめ日本の各紙は出席していない。植村氏も出席していない。しかし、記者会見で金学順さんはチョンシンデ(韓国語で「挺身隊」)をはっきりと口にしている。それは、韓国の有力紙「東亜日報」「京郷新聞」「朝鮮日報」の見出しや記事本文にはっきりと書かれている。 櫻井氏はこの点について「これを報じたハンギョレ新聞等を確認した」と述べている。たしかにハンギョレ新聞には「挺身隊」の語句は見当たらない。しかし、そのことだけをもって断定するのは牽強付会に過ぎるだろう。川上弁護士は、韓国3紙の記事反訳文をひとつずつ示し、櫻井氏の間違いを指摘した。櫻井氏は、間違いを認めた。櫻井氏の取材と執筆には基本的な確認作業が欠落していることが明らかになった。
6、櫻井氏の22年前の大ウソ 原告側弁護士は最後に、櫻井氏の大ウソ事件について質問した。 1996年、横浜市教育委員会主催の講演会で櫻井氏は「福島瑞穂弁護士に、慰安婦問題は、秦郁彦さんの本を読んでもっと勉強しなさいと言った。福島さんは考えとくわ、と言った」という趣旨のことを語った。ところが、これは事実無根のウソだった。櫻井氏は後に、福島氏には謝罪の電話をし、福島氏は雑誌で経緯を明らかにしているという。 「なかったことを講演で話した。この会話は事実ではないですね」 「福島さんには2、3回謝罪しました。反省しています」 「まるっきりウソじゃないですか」 「朝日新聞が書いたこともまるっきりのウソでしょう」 最後は重苦しい問答となった。こうして、70分に及んだ櫻井氏の尋問は終わった。櫻井弁護団からの補強尋問はなかった。裁判長からの補足質問もなかった。
植村裁判の次回開催日は7月6日(金)。開廷は午後2時。この日、最終弁論で双方がまとめの主張を行って審理は終結し、9月以降に予想される判決を待つことになる。
(「植村裁判を支える市民の会」ブログは以下―) asaerukai.blogspot.jp/2018/03/11_25.html?spref=tw&m=1
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