・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・国際
・農と食
・教育
・文化
・アジア
・入管
・中国
・市民活動
・米国
・欧州
・みる・よむ・きく
・核・原子力
・検証・メディア
・反戦・平和
・外国人労働者
・司法
・国際
・イスラエル/パレスチナ
・市民活動告知板
・人権/反差別/司法
・沖縄/日米安保
・難民
・医療/健康
・環境
・中東
提携・契約メディア
・AIニュース
・司法
・マニラ新聞
・TUP速報
・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus
・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2024年11月22日
・2024年11月21日
・2024年11月20日
・2024年11月18日
・2024年11月17日
・2024年11月16日
・2024年11月15日
・2024年11月14日
・2024年11月13日
・2024年11月12日
|
|
2018年04月16日08時52分掲載
無料記事
印刷用
国際
シリア、北朝鮮めぐるトランプ米大統領の底意 ネオコンとは一線画す 落合栄一郎
まずアメリカの伝統的な大統領のやり方は、前任者とはかなり違ったやり方を選挙中に誇示して、当選後はそれを実行に移す、これが選挙民への答礼。トランプ氏は、そうした選挙中の約束を守ることに必死である。それは、これまでのネオコンに支配され続けた政権とは無関係な、私的ビジネスでしか経験のない人の考え方に基づいていた。
そして選ばれた早々、約束したTPP、パリ協定離脱などを宣言した。テロをアメリカ本土からなくすという約束のために、単純な考えに基づいて、イスラム諸国からの移民の制限も、堂々と宣言。アメリカ国内の雇用を擁護するとして、他国からの輸入に大きな関税をかけるという単純なやり方も実行。女性・黒人蔑視の考えも隠そうとはしていない。
これと同等な単純な考えに基づいて、自分に有利なロシアとのビジネス関係の構築のために、ロシアとの緊張緩和を画策。ここから、彼の政権維持に障害が立ちはだかった。ロシアとの緊張緩和は、ネオコンにとってはとても受け入れられない政策であり、彼等は、様々なやり方で、そうした政策を阻止しようと躍起になった。選挙へのロシアからのハッカー疑惑を始め、様々なやり方で、トランプ氏を追いつめることを執拗にやり続けている。まあ、トランプ氏もロシアとのビジネスでは問題のあることは多いのだが、それは、外交・経済上(制裁)の緊張関係を続けいずれはロシア撲滅を狙う側とは違い、戦争の危機の減少方向へ向かうことが期待されたのだが。
さて最近の動きはどうなのであろうか。まず、アメリカが長年続けてきた北朝鮮との和解の拒否。それは北朝鮮に核兵器開発を促してしまった。そして現在は、核兵器の放棄を確約しなければ、対話に応じないと言い続けてきた。トランプ氏自身もそれを継承してきたのだが、最近になって突如、直接会談・対話を歓迎する旨を発表し、世界中を驚かせた。彼の本意はどこに、そして裏で何が。
そして、シリアでは、アメリカ軍の近々の撤退を表明した。ところが、その直後、化学兵器使用による市民への攻撃なるものが発生した。アメリカ、イギリス、フランスは、これがアサド政権によるものと断定し、しかも国連からの調査団が入る直前に、化学兵器製造・研究施設などを標的とするミサイル攻撃を実施してしまった。これは、トランプ氏の命令によって行なわれた。実は、同じ現象が1年前にもあり、トランプ氏は.あのような子供や女性の凄惨な姿を強調するヴィデオを見せられて、直ちに反応し、ミサイル攻撃を行なった。今回も同じ手法で、トランプ氏のシリアからのアメリカの撤退を阻止しようとする側が、この化学兵器使用なるトリックを用いたようである。ネオコン側が、どの程度、シリア情勢をロシアとの緊張拡大に利用しようとしているか、明らかではないが、あのあたりの混乱を継続して、イランそしてロシアへと手を伸ばす足がかりにしようとしているものと思われる。
これに対してトランプ氏はどう考えているのだろうか。化学兵器事件は、本当にシリア政府側が行なったものと判断しているのか。そういう考えを持ちうるとしたら、どうして数日前に、アメリカ軍撤退を公言したのか。アメリカ軍を保持したい側は、あの事件がシリア政府側の犯行としなければならない。おそらく、その圧力に負けたか、負けたふりをしたのか。というわけで、少なくとも圧力に屈した形で、ミサイル攻撃を公に指示。そして、それは圧力側が示唆したように、化学兵器事件の証拠を破壊することにした。本当にあの事件が起こり、しかもアサド政権側がやったとすることを示したいならば、すぐにやって来る国連からの調査団の検視ができるように、残しておくべきだったでしょう。ただロシア側をあまり刺激しないように、これっきり1回だけの攻撃だよと強調している。本当に1回だけならば、ネオコンの意図とは大分違うであろう。
というような理由からすると、今回のミサイル攻撃は、アメリカの主流派であるネオコンに屈した形で、攻撃はするが、ロシアとの関係悪化はなるべく避けるやり方をしたものと思われる。
さて、北朝鮮問題のほうはどうか。まず、アメリカは、朝鮮戦争後なぜこんなにも長く停戦状態にしておき、平和条約を締結しようとしてこなかったのか。北朝鮮側がそれを望んできたことはまぎれもない事実。多分、地勢的に、北朝鮮は、中国、ロシア(ソ連)に睨みを利かす最適の場所と考えているものと思われる。平和条約を締結してしまうと、あの場所へのアメリカの影響力は、無くなってしまうと恐れられているのでしょう(ネオコン側で)。さてトランプ氏は、こうした内情を知ってか知らずにか、こうしたアメリカの政策を単に継承し始めたのでしょう。回り(そして、それに追従する日本)からの圧力で、核兵器廃棄を理由にできるだけの圧力をかけるやり方に従っていた。しかし、冬期オリンピックを契機に、南北の歩み寄りが始まり、裏面でのアメリカとの交渉からも、トランプ氏は、北朝鮮を今までのように、縛り付けておくことに何らの意義も見出せず、それなら、いっそう、この機に、関係を修復するほうが、自分にとって得策だろうと考えたものと思われる。そして、おそらくそれが成功したら、ノーベル平和賞までも、などと考えているかも。
以上、見てきたように、トランプ氏が政権の座についたことは、アメリカのいままでの主流派であったネオコン的考えを、無知から覆すことになりつつあるのではないかと考えられる。ただし、メキシコとの国境に塀を築くとか、単なる思いつきの輸入税だとか、あまりにも素人、いや子供っぽいやり方が、問題だが。
|
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|
|