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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2018年04月22日14時17分掲載
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中国
三十路女子の北京的生活(6)〜自転車大国復活!?
中国では現在、新たな時代の流れを象徴するものとして“新四大発明”と言われているものがあります。 その中身は、まず一つ目は中国国内で今もどんどん増え続けている高速鉄道。二つ目はスマホ決済、三つ目はネットショッピング、四つ目はシェアサイクル(中国語で共享単車)です。 今回は、日本でも注目を集めている中国のシェアサイクルについて、ご紹介したいと思います。
このシェアサイクル、私が最初に北京で目にしたのは、今から1年半ほど前のことでした。 ある日、歩いていると、歩道の上に格好良いオレンジ色の自転車が何台か置かれていました。北京ではあまり目にしないオシャレなデザインなので目を引き、これはなんだろうと思って見てみると、サドルの後ろにQRコードが貼ってあります。説明を見ると、どうやらレンタサイクルらしいということが分かりました。でも、その時点では、どうやって使うのかわかりません。 他の歩行者たちも私と同じく、珍しいものを見るように興味深々でジロジロ見ていくものの、どうやって使ったらいいのか分からないので、見た後、そのまま立ち去っていくばかりでした。
しかし、それから数日、さらに数週間経つと、街中にどんどんシェア自転車が増えていき、北京の街の風景をガラリと変えてしまいました。そして、北京をはじめ、中国の各都市にすさまじい勢いで広がっていきました。 かつて、自転車大国と言われた中国ですが、このシェア自転車の登場で、中国で再び多くの人が自転車に乗って移動する光景が見られるようになりました。
私も、いち早く使っていた友人から「便利だよー」と話を聞き、さっそく登録しました。登録の時にデポジットを払い、使用料は一時間一元です。時々、キャンペーンで無料ということもありました。使用する時にはスマホを使ってQRコードをスキャンして、ロックを解除します。料金は、スマホ決済の微信銭包からチャージをし、そこから金額を引かれます。登録後は、とても便利なので、ほぼ毎日のように利用していました。
このシェアサイクルの登場以前にも、北京には市のサービスとして公共自転車があり、格安料金で使用することができていたのですが、故障が多かったり、駐輪場で借りて駐輪場で返却しなければならず、降りたい場所の近くに駐輪場が無いと、駐輪所を探さなければいけないハメになるので、「無いよりは便利だけど、生活の足として使うには、ちょっと使いづらいな」と思っていました。 このシェアサイクルが便利な点は、何と言っても“好きな場所で借りて好きな場所で降りられる”、“乗り捨てができる”というところです。指定の返却場所に返さなくていいので、家の前まで乗って帰ってくることもできます。 「少しの距離だから、バスじゃなくて自転車で行こう」とか、タクシーがなかなかつかまらないとき、また、買い物や飲み会に行くときなどに「行きは運動がてら自転車で行って、帰りは荷物が多いからバスにしよう」とか「帰りはお酒を飲んでいるから、タクシーに乗って帰ってこよう」などと、自転車を乗って行っても、乗って帰ってくる必要がないのです。使い始めるまで、こんなに便利なものだとは思いませんでした。
このシェアサイクルの便利さは、同時に、自転車を降りて停める場所は自己判断なので、歩道のど真ん中に停める人がいたり、ある場所では山積みのように置かれてしまったりという問題にもつながっているようです。 こういう点を解消するために、シェアサイクルがバランスよく配置されるように自転車を移動させたり、故障車を回収して修理した自転車を配置していくスタッフの姿などもけっこう見かけるのですが、なにせ利用している人の方が圧倒的に多いので、追いついていない感じも見受けました。 使用する人が増えたことによって、使い方が荒い人も増えたので、故障車に当たる確率も増えました。そういう場合は、ロック解除の際、スマホに「この自転車は修理が必要なので使えません」と表示され、ロックが解除されないようになっています。 また、他の問題点として、ちょっと笑ってしまうのが、シェアサイクルを自分のものにしてしまい、持って行かれないようにチェーンをかけている人、シェアサイクルだと分からないように色を塗り替えてしまっている人、家の中に持ち込んでいる人たちがいることなども問題になりました。 そして笑えない問題が、子どもを自転車前方の荷物かごに乗せて走っている人が少なくないことで、「危険だな」と感じることも増えました。自転車を持っていなかった私自身は、このシェア自転車をとてもありがたく便利に利用させてもらっていましたが、子どもを乗せて危険な乗り方をしている人や、自転車に乗り慣れていない人などを見ると、「これは、どんどん事故が起きてしまうかもしれないな」と危なく感じることもありました。 実際、事故も多発しているようで、サドルの高さの調整幅が大きくないことなどもあって自転車には「12歳未満は使用禁止」と書かれているのですが、親が子を自転車に乗せてしまい、子が事故に遭って亡くなる痛ましい事故が起こって親がシェアサイクルの会社を訴えたということも話題になっていました。
いったん流行りに火がつくと急速に広がっていく中国では、このシェアサイクルについても、いくつもの会社がどんどん事業に参入していき、一時期は、私の知る限りでも6種類くらいのシェアサイクルが現れ、街に自転車が溢れかえっていました。 「やっぱり、中国の物を生み出す力はすごいなー」「この間までなかったものが、あっという間に庶民の生活の一部になっちゃうんだから、中国の変化のスピードはすごいなー」などと感じましたが、現在は競争の結果、多くの会社が淘汰されてしまったようで、ほぼ最初の頃に登場した2社に落ち着いていて、北京市政府も235万台で打ち止めにして増やさないようにしているそうです。 日本に帰国すると、歩いて30分ほどの距離の場所へ出かける際に、歩いていくか、電車やバスに乗るかを迷うと、「中国みたいにシェアサイクルがあればいいのになー」「やっぱり便利だったなー」と思うことも多いので、身近なところでシェアサイクルが登場することを私としては密かに待ち望んでいます。(アキコ)
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中国のシェアサイクル





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