東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターは6月30日、「改めて『被災者生活再建支援制度』の拡充を強く求める〜大阪北部地震を踏まえて〜」を発表しました。
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2018年6月30日 東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター
6月18日午前7時58分ごろ、大阪府北部を震源とするマグニチュード6.1、最大震度6弱の地震が発生し、27日現在で死者5人、負傷者も2府5県で422人、建物被害12,750棟(全壊3・半壊20・一部損壊 12,727)、避難者180人と報道されています。高槻市では、登校中の女子児童が倒れてきた違法ブロック塀の下敷きになり、亡くなりました。 亡くなられた方、ご家族の方々に哀悼の意を表するととともに、被災された皆さんにお見舞い申し上げます。
1978年6月の宮城県沖地震でブロック塀の倒壊により18人の方々が犠牲になって、ちょうど40年。この時の地震を教訓に81年に建築基準法改正に併せて、塀の高さ上限が3メートルから2.2メートルに下げられたにも関わらず、放置されていた違法ブロック塀により、それも最も児童を守るべき学校施設で亡くなられたことは、宮城県沖地震の教訓がまったく生かされていなかったと言わざるを得ません。 今度こそ先送りすることなく、こうした人災を繰り返さない対策の強化を強く求めるものです。
発災から2週間近く経過し、被害の全体概要がほぼ明らかになっています。調査が進むにつれ建物被害が拡大しています。 今回の地震被害の特徴は、建物被害のうち、「一部損壊」が全住宅被害の99.8%だったということです。現在の災害時の被災者救援・支援の法制度では、これら「一部損壊」世帯への支援は極めて不十分です。 全壊棟数が大阪府で3棟と、「被災者生活再建支援制度」が適用される被害規模(10世帯以上の全壊被害の発生等)に満たないため、適用されていません。仮に適用されたとしても、今回の地震で被害が多発した「一部損壊」世帯は支援制度の対象外です。 災害救助法は大阪府の12市1町に適用され、それら市町では、住宅の応急修理は58万4千円を上限として公費で修理が可能ですが、支給対象は半壊・大規模半壊に限られ、今回の地震では 20 世帯だけが対象で、それ以外の「半壊」・「一部損壊」世帯は利用できません。 屋根瓦がはがれ落ちたり、壁に亀裂等の被害を受けた方々は破損個所をいつ修理できるかも見通しが立たない、費用の捻出ができないなどの状況に置かれている被災者が多いことが報道されていますが、これらの「半壊」・「一部損壊」世帯への支援が切実であることを浮かび上がらせたのが今回の地震でした。
しかし、「半壊」・「一部損壊」世帯の支援を制度化している県があります。鳥取県では2000年に発生した鳥取県西部地震の翌年に「被災者住宅再建支援条例」を独自に制度化しました。16年10月に同県中部地震が発生しましたが、その際は大阪北部地震同様「一部損壊」被害が14,232棟も発生しました。同条例では「半壊」・「一部破損」も支援対象とし、半壊には上限100万円、一部破損には上限30万円が支援されます(いずれも2人以上世帯)。 さらにこの支援の要件を満たさない住宅の修繕支援制度も設け、例えば損害基準判定4%超で5万円が支援されます。
大阪府ではこうした制度がなかったため、「一部損壊」世帯への支援として「新たな融資制度をつくる」、「低所得世帯に寄せられた義援金から5万円を配る」等の措置が取られようとしていますが、被災者支援が完全に後手にまわっています。大阪府でも鳥取県のような制度を設けていれば、被災者の住宅再建はより早く始められ、被災者の不安も軽減できたでしょう。このように、今回の地震で改めて「被災者生活再建支援制度」の抜本的改革と、都道府県における独自支援制度の充実の切実性が明らかになりました。
西日本では数十年後に南海トラフ巨大地震が発生するリスクが警告されており、「早ければ5〜10年後」と予想する研究者もいます。巨大地震が発生した場合、今回の数十〜数百倍の被害が予想されます。今回の地震を決して一過性のものとせず、事前の備えとして「被災者生活再建支援制度」の拡充を進め、巨大地震に対する備えを急ぐことが強く求められます。当センターはこれらの取組を一層前進させるために奮闘するものです。 以 上
(東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターHP「TOPICS&NEWS」より転載) (PDFはこちら)http://www.miyagikenmin-fukkoushien.com/pdf/index/6.30%20oosakahokubu.pdf
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発行:東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター 〒980−0804 宮城県仙台市青葉区大町2丁目5−10−305 (Web)http://www.miyagikenmin-fukkoushien.com
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