【「岡山県災対連」を結成】
7月14日(土)、岡山県労働組合会議は、県下の労組や民主団体、日本共産党に呼びかけ、岡山の豪雨災害での被災者の救援・支援のため「災害被災者支援と災害対策改善を求める岡山県連絡会」(略称「災対連」)を結成しました。 この会議には、14団体、16人が参加し、支援や運動の内容、現時点で行政の不備が指摘される点や運動の展望などを話し合いました。 全労連から小田川議長(全国災対連代表世話人)が激励にかけつけ、災害対策、被災者支援の援助金を手渡しました。情勢報告は森脇県議が、会の運動について伊原県労会議事務局長が報告しました。
<500万円への引上げが急務>
小田川議長は「全国で災対連の契機となったのは、1995年の阪神淡路大震災であり、労組、民主団体や政党が力を合わせて復旧に全力を挙げると同時に、社会福祉協議会とも連携しながら行政の穴を埋めていくものとして出発した。 日本は被災者に対する支援が遅れている。阪神淡路大震災では義援金が直接の支援であり、それ以外は自己責任とされた。しかし、個人の責任では復興できず、それ以降、国の支援金は100万円となったが運動の成果もあって300万円に引き上げられた。現在は500万円に引き上げる運動が起こっている。 被害に対する支援も実態に即さず、画一的な対応も見られ不十分さが指摘されている。例えば食事などはおにぎりやパンに限られ、行政が支援を断るなども事例が指摘されている。土砂などの撤去はできると思うが生活再建は容易ではない。 ある程度すすむと行政の対応は遠のき、被災者が取り残されることも考えられ、地域の要望をまとめて要請するなどの対応が求められている。当面は被災者支援だと思うが、行政も長期になると穴が出る。そこを埋めて国の制度改善につながる運動にしていただきたい」と期待を込めてあいさつしました。
森脇県議会議員が、被災状況について「ボランティアセンターが開設されて支援が始まっている。岡山では60人が亡くなっている。浸水など家屋の被害は1万1千戸あり、これに真備町の4600戸が加わる。ボランティアも隔たりがあり、平島や倉敷真備では報道の効果もあって一定の支援がされているが、逆に矢掛の方は遅れている。支援者の中にはマスクをしていても埃で目を傷め、脱水で倒れるなどのケースもある。エアコンは真備に6か所が設置されたが、仕切りをすると風が来ない問題点がある」など資料に沿って簡潔に報告しました。
参加者からは、 「被害の判定に納得できない」 「床下浸水では消毒薬の対応が悪い」 「社会福祉協議会との関係はどうするのか」 「支援の品目を増やせないか」 「保育、就学援助も必要」 「ボランティアは長時間できない。社協でも15 時が限界。ボランティアを志望してもすぐに定員オーバーとなる」 など多くの意見が出されました。
今後の方針として、 ① 社会福祉協議会にボランティアの団体登録を行い。保険が効く団体となるよう申請、活動する ② 課題ごとに行政へ要望する内容を協議・整理する ③ 被災状況をこまめに調べて、行政の対応もチェックする ④ 情報を集め、共有、データとして活用する ⑤ 災害についての学習会を行う ⑥ 浸水被害の線引きでは岡山市が遅れている。改善を求める。 ⑦ 長期的視点で活動し、被災地へのアンケート活動などに取り組む ⑧ 対策本部の設置について協議、早期に決めて県外からの受け入れをする ⑨ 義援金の集約と集中、資金集めについて各団体と協議する などの当面の方針を決定しました。
とりくみは準備段階ですが、現時点で支援を待っている地域もあり、具体的には現地と連絡をとって支援することで一致しました。
【愛媛労連が執行委員会を開き、豪雨災害への対応を協議】
愛媛労連は7月14日、執行委員会を開催して、県内各地の豪雨災害状況や各単産での被災者者支援のとりくみなどを交流しました。 今後は、引き続き各単産職場や組合員の被災状況を把握するとともに、民主団体の状況も把握し、共同での対応策などを協議、検討することとしました。 会議には、全労連の川村常任幹事(災対連事務局長)が参加し、被災者支援にむけ愛媛労連の役割発揮を呼びかけました。会議での各単産からの報告内容の要旨は以下のとおり。
◇ 建交労 7月10日に大洲市と野村町に入る。大洲分会の事務所が床上浸水し、壊滅的な被害に。組合員の自宅も浸水で、車や家財などが被害に。組合員のケガ、事故等はない。
◇ 県国公・全法務 大洲と宇和島に支局がある。大洲支局は、ぎりぎり浸水をまぬかれた。野村、吉田の役場支所が浸水し、戸籍台帳など復旧の目途が立たない。職員の住んでいるところで床上・床下浸水がある。
◇ 年金者組合 組合員に連絡を入れた。吉田町に1人いる組合員は大丈夫だった。
◇ 県教組 組合員の自宅への被害はなし。組合員が各学校にいるわけではないので学校の状況は、わからない。全教は募金を始めるなど、全国組織は動いている。今日、高教組が会議を開くので全県の状況が把握できるのではないか。
◇ 農協労連・単協労連 7月7日に東予方面の組合員だけで定期大会を開催。南予方面の組合員は、地元の消防団として活動。組合員自身も被災している。園地に向かう農道が崩落しており、様子を見に行けない。みかん農家は憔悴しきっている。生活道が優先になるため、どこまで予算がでるかわからない。JA関連の施設も多く被害を受けており、生活インフラを支える機能が心配。7月14日からの全農協労連定期大会で支援を訴える。単組からボランティアに参加。南吉田支所の職員のほとんどが被災している。約50人。自分たちよりも地域の農家さんの支援にがんばっている。
◇愛媛一般 組合員1人が西予市宇和町にいる。自宅が停電、水道水も茶色に濁っている。
◇今治労連・今治市職 島の主な道路は復旧している。災害対策本部のあり方を検証しなければ。
◇伊予労連・伊予市職 中山・双海で人的な被害はないが、土砂崩れが1件、冠水・床下がある。大洲市の支援を交代で行う。瓦礫の処理など。西予市の保育所が崩壊。自治体の施設より民間優先のきらいがあるが、保育所は優先に。組合員の被害は聞いてない。
◇自治労連 7月10、12日に南予入り。7月10日、つくし苑に物資を届ける。家屋が2Fまで浸水。野村町の乙亥会館の駐車場がゴミ置き場になっている。ほこりと悪臭が酷い。大変な中でも子どもたちの明るいあいさつが印象的だった。7月12日、宇和町へ。旧肱川町庁舎2F水没。コミュニティ機能が破綻している。吉田町に物資搬入。7月15日、吉田、野村にボランティアに。高圧洗浄機4台購入。水の確保は吉田の方がきびしい。一人暮らしの高齢者に物資が届いているか心配。
◇コープえひめ労組 大洲支所が浸水。7月9日から配達した。水、塩タブレットを持っていった。職員・労組員の被害なし。14日野村と大洲に52名がボランティアに入る。
<大洲市市街地で1.5m超の浸水被害、吉田町は土砂災害が深刻>
全国災対連の川村事務局長(全労連常任幹事)は、7月13日に松山市に入り、愛媛労連の小島労働相談員の案内で大洲市と宇和島市吉田町の被害状況を視察しました。
大洲市は、肱川が氾濫し、市街地も浸水。上流のダムの放流も浸水被害を大きくしたことが伝えられています。すでに水は引いていましたが、ホームセンターの駐車場には水没商品などが山積みになり、住宅などでは泥だしや洗浄などが行われていました。 肱川上流で被害の大きかった西予市野村町にも向かいましたが、国道441号線は途中で通行止めとなっており断念。大洲市周辺の山ではなかった土砂崩れが野村町方面にはいくつか見られました。
宇和島市吉田町は、急傾斜の山と海のわずかな土地に住宅が軒を連ねるようなところ。その裏山が崩落すれば逃げ場はありません。道路の土砂は撤去されていますが、周辺にはがれきや土砂が山積み。ボランティアによる泥だしなどが行われていましたが、断水が大きな支障となっています。愛媛特産のミカンの産地でもありますが、その山が崩れており、農業被害も甚大です。 〔全国災対連ニュース第131号(2018年7月17日発行)〕 詳しくはこちら http://www.zenkoku-saitairen.jp/news131.pdf
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〔発行〕
災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会 (略称・全国災対連) 連絡先:〒113-8465 東京都文京区湯島2-4-4 全労連会館4階 全労連気付 (Web)http://www.zenkoku-saitairen.jp/
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