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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2018年09月19日23時05分掲載
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労働問題
<武建一語り下ろし>関生型労働運動とは何か(5)オルタナティブを求めて 社会的弱者が肩を寄せ合う運動を
二〇一〇年七月二日、長期・全面ストライキに入ります。二〇〇七年に始まるアメリカ発の世界大恐慌、いわゆるリーマンショックが進行する中で、想像をはるかに超える需要の落ち込みと、それに伴う価格の低落が続いていました。ゼネコンの買い叩きがそれに輪をかけました。経済の民主化、産業の民主化を実現しなければ、この業界は崩壊するという瀬戸際でした。(構成:大野和興)
大手との対等取り引きと適正価格の実現なしに、労働者の生活防衛もあり得ないというのが、私たちの認識でした。 そうした気配を察したのか、前年の二〇〇九年春闘目前の二月一二日、支部役員の自宅や事務所を警察が一斉に家宅捜査し、執行委員や組合員五名を逮捕・拘束する事件がありました。春闘つぶしを狙ったものです。二〇一〇年のストライキは四ヶ月半にわたって一〇〇を超える工場で闘われ、竹中、大林、清水など大手ゼネコンの巨大建設事業を次々延期や中止に追い込み、適正価格の収授を実現しました。特筆すべきは、この闘争は、倒産か存続かの瀬戸際に立たされた中小企業と労働者の共同戦線で闘われたということです。労働組合の影響力が、この地域を超えてだけじゃなく全国に広がる可能性を示したのです。大槻文平が言った「箱根の山を越させない」「関生型運動は資本主義の根幹に触れる運動」というのはそういうことを 言っているのです。。
■社会的弱者が肩を寄せ合う運動を
最後にもう一度申し上げたいのは、関生の労働運動は、企業別労組ではなく、企業を横断し、職種を超えた産業別労働邏動だということです。運動の勝利には、産業別の運動の発展が不可欠です。また、もう一つの重要な点は、労働者も中小企澡経営者も社会的には弱者だということです。そういう社会的弱者が、不一致点を留保しつつ一致点で協同組合を作り、団結を発展させる。それが、この社会の弱者である九九%の人びとの未来を拓く上で不可欠の課題だということです。
現在の社会状況、労働者の状況をみると、半世紀を超える関西生コンのたたかいの成果を大きく広げなければならない時期にきていると感じます。地域に改めて入ります。市民組織、住民組織と連携しながら労働相談活動、文化運動などを受け持ち、地域の市民・住民活動のセンターとなっていきます。膨大な層を形成している非正規労働者の組織化を進めます。関生方式と呼ばれているこれまでつくり上げてきた運動論、組織論をもとに、私たちもそこに参加するゼネラルユニオンづくりに向け、動き出しています。 東日本大震災では組合員からのカンパをもとにと復興支援活動を繰り広げました。沖縄意見広告運動とも連携しながら、辺野古基地建設に反対する運動にも取り組んでいます。
学習運動にも力をいれています。中小企業の経営者と労働者の「共生-協働」の理念に基づいて、合同で持続的に学習会を続けてきました。経営者の方々には、はじめは違和感があったようですが、続けるうちにそれが当たり前になりました。この学習活動の積み重ねによって、戦争法制反対の決起集会やデモがおこなわれ、車にステッカーを張ったり、様々な意思表示が行われました 春闘では、平和と民主主義の取り組みの一環として、共謀罪反対、沖縄の辺野古基地着工反対、原発再稼働,、反対などの声明を出し、パレードも行いました。関西の中小企業の経営者の方々は、政治認識,社会認識のレベルが非常に高いと私は思います。
■学習運動を重視
社会運動・労働運動を担うひとづくり、人材育成も大事です。私どもには、組合総研(中小企業組合総合研究所)という機関がありまして、私が代表を務めております。ここはシンクタンクを目指して中小の経営者と労働組合が一緒になって作ったものです。そこで情報をキャッチして中小企哭と労働者に役立つような情報を発信する。そのために機関誌「提言』を発行しました。そこが主催する「マイスター」という教育機関も作った。年に六ヶ月間の教育課程を組むんです。ドイツのマイスターに倣った命名です。「マイスター塾」は専門的な技術を身に着けるのが目的ですから、六か月かけて研修します。経営者と労働者が一緒になって四〇名位で、各自から参加費を徴収して学校みたいにやっている。もう五年以上になります。
二〇○九年に、組合総研の施設として東淀川に「協同会館アソシエ」を建設しました。七億円を要しましたが、すべて、中小企業の協同出資で賄いました。私が代表ですと銀行は貸さないのですが、協同組合に参加している企業が出資してくれるのです。 この会館では、精力的に経営者と労働者が一緒になって様々な学習会を行ってきました。また、いろいろ、歴史,教養ツアーも実施しています。なかでも、印象深いのは、自然エネルギー発電だけで自給している岩手県の葛巻町の見学でした。町長をお呼びして学習会もやりました。組合総研では研究者の方々の協力もえて、「提言」という機関誌を七000部発行しています。また、毎年「マイスター塾」という研修も続けています。
二〇一六年四月、本拠の大阪に「大阪労働学校・アソシエ」を立ち上げました。一流の学者、実践家をそろえ、少数精鋭で勉強してもらいます。労働学校が入る「学働館.関生」を、二〇一五年一二月二三日にオープンしました。労働者の一億円のカンパをいただき、総額五億円、これも中小企業の出資で、借入金ゼロで建設しました。中小企業の経営者の方々が、どうしてこついう事業に出資するのかといえば、その理由は、これまでのわれわれの産業政策への高い評価があるからだと思っています。私たちの労働組合は、一五分のラジオ番組のスポンサーになってさまざまなメッセージを発信して二〇年になります。これも、多くの人びとと繋がるための媒体として非常に役立ってきました。
■ソウル、モントリオールそしてビルバオへ
それから、私どもは、社会的経済のグローバルな連帯を掲げ、協同組合、非営利団体、社会的企業、地方自治体を繋ぐ運動をめざした「ソウル宣言の会」に参加してきました。二〇一六年にはカナダのモントリオール大会に参加しました。そこでは、中小企業と労働組合が連携して、産業の民主化を図るわれわれの試みが注目され、高く評価さました。二〇一八年一〇月にはスペイン・ビルバオ市で社会的連帯経済の世界大会があり、そこでも関生協働運動について報告します。。これからもわれわれの運動の意義を国際的にもさらに強く発信して行く必要を感じています。 (最終回)
武建一(たけ・けんいち 連帯労組関西地区生コン支部委員長) (季刊『変革のアソシエ』33号から)
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