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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2018年10月11日07時52分掲載
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文化
セシル・ヴァン・デ・ヴェルデ(カナダの社会学者)来日シンポジウム 現代の若者論は単なる若者論ではなく、未来社会がどうなっていくかを考えるものである
日仏会館・フランス国立日本研究所がこの秋、企画している様々なシンポジウムに目が離せない。フランスの作家や研究者を招いて日本の作家・小野正嗣と語らせる「今日文学に何ができるか」(10月25日)もそうだし、歴史修正主義と闘ってきた歴史学者のアンリ・ルッソを招く「表現の自由はどこまで許されるのか?」(10月22日)や「『過去との対峙』をめぐって」(10月23日)、あるいはカナダの社会学者セシル・ヴァン・デ・ヴェルデを招く「グローバルな怒り?ネオリベラルの世界で大人になること」(10月12日)もそうだろう。これらのテーマが世界で共通する重要なテーマだからだ。それを国境を越えて話し合うことには大きな意味がある。
10月12日(金)の午後6時半から日仏会館で開催されるカナダのセシル・ヴァン・デ・ヴェルデ(社会学者)を招く「グローバルな怒り?ネオリベラルの世界で大人になること」というシンポジウムではパリや香港、モントリオールなど世界各地で立ちあがった若者たちを中心とする抗議運動をウォッチしてきたセシル・ヴァン・デ・ヴェルデが若者たちから聴取してきた研究を踏まえて、彼らの未来がどのようなものになるかを語るものと想像される。
セシル・ヴァン・デ・ヴェルデのこれまでのインタビューを踏まえると、彼女は若者たちの就職事情に詳しく、とくに今日の若者たちが直面する労働市場の壁を語ってくれるだろうし、それに不満を持つ若者たちが始めた新しい試みが明日の世界を切り拓く可能性を持っている、というのが持論のようだ。たとえば若者たちが少ない元手で仲間と始める小さなビジネスが世界各地で新しい仕事や社会を作り出していく可能性があると言う。そもそも若者たちはデジタル技術やAI(人工知能)の進化で将来の職業がどのようになるかも未知数の世界の入り口に立たされている。詳しいことはシンポジウムに行かないとわからないが、こうしたテーマはカナダやフランスに限らず、世界の若者が直面することである。と同時に終身雇用や年功序列の秩序が新自由主義の中で崩壊しつつあるため、若者だけの問題でもなくなっている。
大企業群をスポンサーとする大手メディアは自分たちの足元を揺るがすような改革を望むはずもない。だから、こうした世界で同時的に発生している異議申し立て運動の報道には極めて消極的である。それは1989年に北京の天安門広場で起きた若者たちの異議申し立てをも思い出させる。今日、西側社会においても社会を動かしている諸産業のエリート層は労働者や市民、若者が国境を越えて連帯して改革を始めることを恐れているのだ。労働者の権利を封じ込めるために憲法を改正して天賦人権論を削ろうとする政治家すら日本に存在していることを決して忘れてはならないだろう。その意味で日仏会館が主催している一連のシンポジウムは大きな意味を持っている。本来、こうした試みはマスメディアで行われても不思議ではない。
● シンポジウム 「グローバルな怒り?ネオリベラルの世界で大人になること」
日時: 2018年10月12日(金) 18:30 − 20:30
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所
会場: 日仏会館 1階ホール 東京都渋谷区恵比寿 3-9-25 TEL. 03-5421-7641 / FAX 03-5421-7651
村上良太
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転載について
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Cécile VAN DE VELDE (univ. de Montréal, EHESS), セシル・ヴァン・デ・ヴェルデ。社会学者、モントリオール大学教授。フランス国立社会科学高等研究院にも籍を置く。社会的不平等とライフコースについての研究でカナダ・リサーチチェアを獲得。このリサーチチェアとはカナダ政府が優れた研究に出す助成金である。専門は若者と世代間の関係についての世界的比較研究。
世界各地で若者を中心とした異議申し立て運動が次々と起きている。カナダの社会学者セシル・ヴァン・デ・ヴェルデ教授(モントリオール大学)は若者たちは新自由主義の世界で就職活動で翻弄されながらも、新しい世界を切り拓き始めていると指摘する。
拙著「立ち上がる夜」(社会評論社刊)もパリで異議申し立て運動を行った人々をルポしたものである。老若男女様々な世代が参加したが、高校生や大学生や20代の若者の参加も多かった。異議申し立て運動を注意深く観察すればたとえ1回や2回運動が敗れたとしても長期的に見ればそこで提起された問題と改革案はいずれ必ず世界を変えていくだろうと思えてくる。
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