東欧の音楽の盛んな街、プラハで活躍している若いバイオリニスト、ルドミラ・パヴロヴァー （Ludmila Pavlova）さんが新たな音楽トリオを結成したと連絡をくれました。メンバーには日刊ベリタでも以前紹介したクラリネット奏者のアンナ・パウロヴァ―（Anna Paulova）さんが参加しています。パウロヴァ―さんはプラハの春・国際クラリネットコンクールで二位に輝いています。そして、もう一人、ピアニストにはヨハンナ・ハニコーヴァ(Johanna Hanikova)さんが参加しています。ハニコーヴァさんもまたスメタナ国際ピアノコンクールで入賞した経験がある人で、3人いずれも実力が認められた若い演奏家です。
トリオの名前はMuchaで、チェコ読みでは「ムハ」となるのだそうですが、今回の翻訳ではミュシャとしておきます。これはトリオの名前がチェコ出身の美術家でアール・ヌーヴォーという流派に属するアルフォンス・ミュシャにちなんでいるからです。連絡してくれたルドミラ・パヴロヴァ―さんは去年、富士山麓でコンサートを開いた経験もあり、前回とは違った仲間とも一度来日公演したいと思っているそうです。トリオの演奏のいくつかはYoutubeでも紹介されています。甘い旋律もあれば激しい情熱的なパートもあります。以下に2曲のリンクを紹介します。
●こちらはショスタコーヴィッチ作曲のバイオリンとクラリネットとピアノのためのワルツです。
https://www.youtube.com/watch?v=LAUeifyAgpk
●次のリンクはハチャトリアン作曲のクラリネットとバイオリンとピアノのための曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=i4MLIBQYq_A
ルドミラ・パヴロヴァ―さんにミュシャ・トリオ結成についてお聞きしました。
（以下はルドミラ・パヴロヴァ―さんの寄稿）
Ｑ ミュシャ・トリオの活動について
As a Mucha trio we are enjoying to play the concerts for the lovers of classical music. The combination of clarinet, violin and piano creates colorful images and represents the diversity of modern instruments.
ミュシャ・トリオとして、私たちはクラシック音楽ファンのための演奏を楽しんでいます。クラリネットとバイオリンとピアノのコンビで色彩感あふれる世界を作り出しています。そしてそのコンビは近代楽器の多様性を表しています。
Ｑ どのような経緯でトリオを結成したのですか？
Anna was playing solo concerto with orchestra and I was in the audience. The tender sound in quiet parts and energetic intense passages she created made me come to her and ask if she would like to play a trio with me. Without hesitation she nodded. After some time we met at the Academy of performing arts in Prague also our pianist Johanna and we started to play immediately with all our passion.
アンナはオーケストラでソロ演奏をしていました。私は聴衆だったのです。静かなパートの優しい音色とエネルギーに満ちた力強いパートを奏でるのを聞き、トリオに参加してくれないか、と私はアンナに頼みました。アンナはすぐに応じてくれたのです。その後、しばらくしてプラハの音楽アカデミーでピアニストのヨハンナと出会いました。3人はすぐにやる気に満ちて演奏を始めました。
Ｑ トリオの仲間について教えてください
As a trio we need to have some things in common but our diversity is also important. It brings the new ideas and we can discuss about the musical subjects from different points of view. I cannot really say in a few words what is characteristic for Anna or Johanna. They both are amazing players and I am glad that their musical description would be so difficult to write down, because it means that it is too complex.
トリオとして私たちには共通のものが必要ですが、同時にまた違いも大切です。それは私たちは新しいアイデアをもたらします。というのもそれぞれ異なる視点から曲について話し合うことができるからです。アンナとヨハンナの性格について簡単には表現できません。二人とも素晴らしい演奏家です。でも二人の奏でる音楽の特徴はとても言葉で表現しがたいものがあり、ここで書くことはとてもできません。とても複雑な味わいなのですから。
Ｑ これまでどんな楽曲を演奏してきましたか？
We love to play trios from A. Khachaturian, D. Shostakovich, D. Milhaud and W. von Baussnnern, but we love to study also the very difficult pieces like Contrasts from B. Bartok where I need two violins that I have to change during the piece.
私たちはハチャトリアン、ショスタコーヴィッチ、ミヨー、フォン・バウスネルンらのトリオの曲を演奏するのが好きです。しかし、コントラストが難しいバルトークの楽曲のすべてを研究することも好きなんです。私はその場合はバイオリンを途中で替えなくてはなりませんからニつのバイオリンが必要です。
Or trio were honored to be one of the last performers of "Trio a tre" from the czech composer Karel Husa before he died. This composition is definitely the hardest we have ever played and maybe also therefor Mr. Husa wrote us thankful letter from America.
チェコの作曲家、カレル・フサが亡くなる前の彼の曲" Trio a tre " の最後の演奏家になりましたが、とても光栄に思っています。この曲は私たちが経験した中で最も演奏が難しいもので、だからこそ、フサさんはアメリカから感謝の手紙を私たちトリオに送ってくださったのだと思います。
During the festival Podkrkonossske hudebni leto we played a premiere of the trio written by the young czech composer Katerina Horka. We love to go deeper and deeper into the new musical experiences.And yes, we love czech beer!
Podkrkonossske音楽祭の時、私たちは若いチェコの作曲家カテリナ・ホルカの曲を演奏しました。新しい音楽の経験をもっともっと深堀していきたいと思っています。そしてもちろん、私たちはチェコのビールも好きです！
寄稿
Ludmila Pavlova
ルドミラ・パヴロヴァ―
記事
村上良太
■音楽にかける青春 富士山の麓でのコンサート ルドミラ・パヴロヴァー（バイオリン奏者）
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201702282300092
■音楽にかける青春 バイオリン奏者 ルドミラ・パヴロヴァー Ludmila Pavlova 人は演奏している音楽とともに生きていかなくてはならないことを知りました
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201508200021584
■音楽にかける青春 アンナ・パウロヴァー（クラリネット奏者） ’Now I cannot imagine my life without clarinet’ Anna Paulova
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201508010952116
■音楽にかける青春 岩��宙平さん（２８） プラハで指揮者デビュー Chuhei Iwasaki
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201607030236520
|
