シェイクスピア劇に関する短いビデオ映像がフランスで話題を呼んでいる。南仏ニースのサッカーチーム(OGC Nice )の選手たちが一人ひとりシェイクスピアの一節を語っているものだ。映像は2分20秒。登場する選手たちの多くは黒人や移民の子弟と思われる。彼ら一人一人がシェイクスピアの言葉を見事に自分の言葉にしている。その力強さが胸を打つ。まさにシェイクスピアの魅力が凝集されていることを感じさせられる。演出したのはフランスのニースで劇場のディレクターとして活躍してきた舞台演出家のイリーナ・ブルック(Irina Brook)氏だ。(ガエル・シモン氏との共同演出とクレジットされている)
■シェイクスピア劇の台詞をサッカー選手たちが語るビデオ
https://www.youtube.com/watch?time_continue=41&v=PhP-A2Nzx1Y&fbclid=IwAR3janyaYCWwDCDrjwWPneXpVkepNVJgtp5_B37R6wfahwzqvDG7aSZZHWM イリーナ・ブルックさんに、ビデオをどのような意図で作ったのか。また、選手たちの最初の反応はどうだったのかなどを聞いた。
(イリーナ・ブルック氏, Irina Brook )
"I have been filled with the words of Shakespeare since childhood, as my first theatre experience was my fathers Midsummer Nights Dream. Since becoming a director I never cease to be moved and amazed by the magic of the language, it is somehow the deepest and yet the most universal and accessible to all. "
「私は子供のころから、シェイクスピアの言葉を浴びてきました。最初の演劇体験は父(ピーター・ブルック)が演出した「真夏の夜の夢」でした。私自身が演出家になってからも、シェイクスピアの言葉の魔術に心を動かされたり、驚かされたりしなかった日はありませんでした。シェイクスピアの言葉は非常に奥が深く、さらに世界中の人々に親しまれることのできる普遍性を持っていると思います。」
"I have been running a big theatre in Nice and have used Shakespeare as my number one author for bringing in new audiences and youths who think theatre is not for them. The perfect test was to have his texts spoken by our local OGC Nice football team. They rose to the challenge and through their capacity for intense concentration which they access in their game, we were able, in a very short time, to achieve these moving results."
「私はニースの大きな劇場を運営してきました。シェイクスピアは常に私が一番よく演出した劇作家でしたが、それは演劇が自分たちには関係がないと思い込んでいる人々や若者たちに劇場に足を運んでもらうためでした。その完璧な試みこそ、地元ニースのサッカーチームの選手たちにシェイクスピアの一節を語ってもらうことでした。選手たちは試合で見せる強い集中力を注いで、この試みのために一肌脱いでくれたのです。おかげで非常な短期間に、大きな成果を上げることができたわけなんです」
インタビュー 村上良太
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