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2019年01月08日09時27分掲載
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社会
オバマケア、また危うし
オバマ大統領が2010年に可決させたアメリカの医療保険制度改革であるいわゆる「オバマケア」、正式にはAffordable Care Actが危機にさらされている。細かく見ると複雑になるので、ごく大まかに書くとアメリカには日本のような国家が運営している国民皆保険と言う制度がない。民間医療保険に加入するしかないが、ジョージ・W・ブッシュ大統領時代に数千万人もの人々が医療保険に加入していないために病院制度の枠外に置かれている、という事態にさらされていた。これを何とかしようということで、医療保険加入に際して障壁になっていた過去の病歴とか、年齢などの条件で加入が難しくなったり、保険料が高くなったりしないような法律を制定した。その一方で医療保険に加入しない人には税金でペナルティを課す、ということにした。
こうしたオバマケアのおかげで数千万の人々が医療保険に加入することができたのだったが、2015年にはオバマケアは違憲ではないか、という訴訟が起こされ、最高裁で辛くも合憲判決となってオバマケアは生き延びた。しかし、昨年12月にまた憲法訴訟がテキサスの連邦裁判所で起き、地元の裁判官がオバマケアに違憲判決を出した。この裁判官はニューヨークタイムズの1月3日付の社説によると、Reed O'Connorという人で共和党寄りの判決をいつも出す人だと書かれている。違憲訴訟が起こされた理由はAffordable Care Actの法制化では医療保険に加入しない人にはペナルティを課すとしていたのに、実際には実行されなかったことから、この法律全体が無効だということのようである。つまり、1つの法案と言うものは全体が関連しあっているのだから一部が実行に付されないなら、全体が無効だという主張のようだ。
テキサスの連邦裁判所で違憲判決が下されたために、今後はFifth Circuitと呼ばれる上告審で争われる。そこで違憲判決が支持されればいよいよ再び最高裁に上ることになる。トランプ大統領は就任からコツコツ司法の世界に共和党寄りの判事を就任させて司法界を大きく動かしてきたことから、2015年のオバマ政権下でのジョン・ロバーツ長官の判決のようにはいかない可能性もある。三権分立と言っても、ホワイトハウスが裁判官を任命するわけだから、司法界は長期的には行政の影響を受ける。
所詮は遠いアメリカのことだから、と思って看過することはできない。というのはアメリカで起きていることは次々と日本に持ち込まれているからだ。そしてフランスにおいてもである。オバマケアを突き崩そうとする勢力は日本の国民皆保険制度も解体しようとするだろう。そのあたりの研究は本山美彦京大名誉教授による『売られ続ける日本、買い漁るアメリカ――米国の対日改造プログラムと消える未来』(ビジネス社, 2006年)などの一連の書籍に記されている。
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