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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2019年01月16日06時57分掲載
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コラム
トランプ政権の危険性 イランとの戦争前夜 そしてマティス国防長官の辞任
米国のトランプ政権と蜜月を演出してきた安倍首相である。トランプ政権が未だ発足する前の2016年の選挙直後から非公式に選挙に勝利したトランプ氏に一国の首相が会いに行ったことは多くの日本人のプライドを傷つけた。そのトランプ氏は選挙戦では外国に出兵するのはアメリカファーストの原則から無駄だとしばしば言っていたことから、米国の軍事介入や米国がしかける戦争が減るのではないか、と期待した人も少なくなかった。ところが、ニューヨークタイムズの1月16日の記事によると、米国はイランとの戦争前夜にある。
記事によれば昨年、国家安全問題担当補佐官のジョン・ボルトン氏がイランへの空爆の計画をアメリカ合衆国国家安全保障会議(NSC)を通してペンタゴンに打診していた。国防総省はイランの軍事施設への空爆などいくつかのプランを答申したが、当時、国防長官だったジェームズ・マティス氏ら幹部が空爆に強硬に反対したため、実施に至らなかったとされる。このボルトン氏がタカ派でイランに対する強硬策をしかけていることはすでに報じられてきた通りである。もし、空爆を機にイランと米国が本格的な戦争になっていれば世界状況は一変していただろう。また日本の自衛隊もいずれ中東へ出動することになったに違いない。イランとの戦争回避に貢献したマティス長官が辞任した今、トランプ政権の将来の要求をつっぱねることのできる長官がいるだろうか。現在は副長官だった元ボーイング社のパトリック・シャハナン氏が代行している状態である。
記事によると、イランへの空爆の寸前に至った理由はイラクの米大使館施設にイランが支援しているとみられる地元軍事勢力がロケット弾を撃ち込んだことへの報復だったとされる。もし米国がイランを空爆した場合、イラク政府がイラク内の紛争の理由となっている米軍の駐留をやめるように要求してくる可能性があった、と匿名で米官僚が話している。イラクには昨年夏の時点でおよそ5千人の米兵が駐留していた。イスラム国掃討作戦の終了により、今後減らしていく方針ということだが、イランと米軍が戦闘に入った場合、どうなるかは未知数である。このイラクの再建を巡ってシーア派のイランが影響力を拡大しようとしており、それを阻止したいスンニ派との確執が起きている。そこに米軍が巻き込まれていく可能性があり、集団的自衛権を憲法解釈の変更で容認したため自衛隊も出向いていく可能性も出てきた。米国の対イラン強硬策を支持しているのはイスラエルである。ボルトン氏が今後さらに強硬策を続けていくとすれば、まだまだ日本がアメリカの戦争に巻き込まれる可能性は残されている。
記憶をたどればイラン空爆は2013年秋にも起きかねなかった。この時は化学兵器を持つシリアへの米軍による空爆作戦だったのだが、オバマ大統領が直前でイランとの国交正常化を打ち出し、危機の回避につなげることができた。イランは同じシーア派系の政府を持つシリアと軍事同盟を結んでいることから米国がシリアと戦争になればその背後にいるイランも米国と戦闘に入ると見られていたのである。そして、そこにもイランの核兵器開発を叩きたいイスラエルやサウジアラビアの狙いがあった。英国のジャーナリストで中東に詳しいロバート・フィスク氏は当時、シリア空爆計画の真の狙いはイラン空爆に外ならなかったと書いていた。そしてボルトン氏がトランプ政権の外交政策を握っている以上、イラン空爆の可能性はまた出てくるかもしれない。
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