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2019年04月27日13時30分掲載
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中東
シリア:米有志連合の攻撃で大量のラッカ市民が犠牲に 無差別攻撃で町は瓦礫に
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは4月25日、米国主導の有志連合によるラッカでの作戦で多数の民間人死傷者が出ていると報道した。アムネスティとシリアやイラクなどの紛争地での国際的な軍事行動を監視・記録する非営利組織エアウォーズは、多角的、徹底的な調査で、紛争に巻き込まれた民間人の死傷者状況を、2年がかりで追跡してきた。その結果はウェブサイト上で公開された。有志連合の攻撃は無差別と呼べるほどに不正確で、町中が瓦礫になっている。アムネスティによると米、英、仏各軍は、全死者数の1割についてその責任を認めたが、9割を否定している。以下、アムネスティ国際事務局による調査結果のあらましを紹介する。(大野和興)
有志連合は住宅街を含むラッカの町を破壊し尽くした。2017年6月から10月までの5カ月間で数千回の空爆、米軍は数万回の砲撃を行い、合わせて民間人1,600人以上の命を奪った。
3カ国は、1,600人超の民間人犠牲者を出した事実を認め、なぜこれほど多数の市民を巻き込んでしまったのか、その要因を徹底的に調査し、今後の教訓にすべきである。
【最先端の調査】
アムネスティの調査員は、2017年の戦闘期間中を含め4度、ラッカを訪れ、計2カ月あまり滞在し、攻撃を受けた200地区を訪れ、生存者や目撃者400人以上から話を聞いた。アムネスティの「Strike Trackersプロジェクト(ラッカ紛争被害解析サイト)」では、11,000以上の建物が攻撃を受けた時期を割り出した。また、124カ国、3千人超の協力を得て、衛星画像2百万点以上を分析した。さらに、世界の6つの大学に拠点を置くアムネスティ・デジタル検証チームが、紛争中に撮った動画の信ぴょう性を検証・確認した。また、調査員は、紛争中とその後のSNSの投稿など数千点の公開情報を元に、爆撃で死亡したとされる1,600人超の市民一人ひとりを調べ、千人あまりの名前を特定し、そのうちの641人について、現地で裏付けを取った。残りの犠牲者についても、複数の情報源から信ぴょう性が高いことを確認した。
これに対して、有志連合は、死者全体の約10%、159件について、殺害への関与を認めたが、残り90%は、「信憑性がない」として切り捨てた。しかし、有志連合は、市民の死傷報告について、現地調査や住民への聞き取りなど、十分な検証もしていないことは認めた。
【被害の実態を視覚化】
アムネスティとホロスクライブ社(英国のVR会社)は、双方向型サイトを共同開発した。写真、ビデオ、360度動画体験、衛星画像、地図、グラフや図表化したデータなどを組み合わせたもので、見る者は戦争の犠牲者や生存者らが置かれていた状況を実感させられる。ラッカを訪れ、攻撃された地区の市民に会い、証言を聞き、破壊された家屋を見て回り、ユーフラテス川にかかる橋も中央競技場近くの市街地も見る影もなく破壊された様子が手に取るようにわかる。
【町中が瓦礫に】
市民に多数の犠牲者を出したのは、驚くにはあたらない。有志連合の攻撃が、無差別と呼べるほどに不正確だからである。
ある米軍士官は、一連の作戦で砲弾3万発を使ったと豪語した。6分毎に1発の攻撃を4カ月間続けた計算になる。目標に誘導できない迫撃砲は、100メートル以上もの誤差があり、人口密集地では無差別攻撃に近い。ラッカ西部の貧困層が住む町ダライヤが、その標的の一つだった。2017年6月10日、有志連合が砲弾の雨を降らせ、ファティマさん(当時9才)は兄弟3人と母親を失った。わずか1日で隣人含む16人が犠牲になった。ファティマさんは生き残ったとはいえ、右足を失い、左足にも大けがを負い、車椅子生活を余儀なくされた。
2017年9月25日の空爆では、ラッカ中部の5階建ての集合住宅が廃墟になった。住宅の地下に避難していた子ども20人を含む32人以上が犠牲になった。さらに、生き残った親族を含む27人が、1週間後の空爆で亡くなった。家族を亡くした女性は「息子が目の前で、炎に包まれて焼け死んだ。子ども4人、夫、母、姉妹、家族全員亡くなった。有志連合は、私たちを解放するために来たはずではなかったのか」と嘆く。
【米英仏は今こそ責任を果たせ】
アムネスティが指摘した犠牲者の事例の多くは、国際人道法違反に当たり、さらなる調査が必要だ。
アムネスティなどNGOには、ラッカの攻撃で亡くなったすべての民間人を調査する人的財政的資源はない。アムネスティとエアウォーズは、米英仏に対し、報告された市民の犠牲者について公正で実効性ある調査を速やかに行うこと、そして、その結果を開示することを強く求める。
また、3カ国は、戦術、攻撃の方法・手段、計画・計画段階での予防的措置などの開示、および犠牲者と家族に対する補償とそのための基金の創設にも取り掛かるべきである。
(アムネスティ国際ニュースから 2019年4月25日)
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