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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2019年04月30日15時01分掲載
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コラム
天皇と歌舞伎町 大野和興
テレビが「平成最後の・・・」と朝からわめいている。そういえば昭和最後の日、ぼくは新宿の歌舞伎町にいた。
1週間ほど東北の村々でいろんな人の話を聞き歩き、最後は確か、置賜百姓交流会の仲間と一杯飲んでの帰りだった。新聞、テレビは陛下のご病状と称して、「下血」状態(糞に血が混じること)を懇切丁寧に教えてくれていた。誰が扇動したのか、歌舞音曲の自粛が広まり、映画館、寄席、料亭、飲み屋、キャバレー、クラブなど横へ並べと店を閉めているというニュースの東北の村で知り、上野駅のつくとその足で歌舞伎町に向かったのだ。
歌舞伎町は当時、日本一、もしかしたら世界一アナーキーな街だった。まさか歌舞伎町まで、という思いがあった。ところがついてみると、まさに自粛の町の様相を呈していた。「これが天皇制なのか」と感嘆した。反天のみなさんが理論あるいは理屈でこねまわす天皇制論議には堪能していたが、現実の“草の根天皇制”を目の当たりにして、おそれとおののきさえ感じた。
一つだけ営業している業種があった。テレクラだ。当時、隆盛を極めていたセックス産業のゲリラである。伝え聞くところによると、男が店に入り、電話を待つ。そこに見知らぬ女から電話が入り、いろいろ話して気が合えば待ち合わせをしてすることをする、という仕組みらしい。お互いの性欲を満たしあうのに至極簡単便利なシステムは頑張っていたのだ。今の電子を介したインターネット出会い系より、声という生身を介するだけ人間的でもある。
天皇制打倒のカギはここにあるとうれしくなって店の前に立ったのだが、何しろ1週間の村歩きで匂いたつばかりになっているうえに、伝え聞くだけでテレクラの仕組みもよくわからない。これじゃなあ、とあきらめた。 いま思えば残念なことをした。権力の芸術ともいうべき天皇制と生の根源ともいうべき性欲が相まみえ、対峙する歴史的瞬間をのがしてしまった。いいルポが書けたのになあ。
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